退職の教員の自宅から、放射性物質 富山大 本人はすでに死亡

前多健吾
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 富山大は16日、退職し、すでに亡くなっている理系学部の元教員の富山県内の自宅から、放射性物質が入る金属缶を発見したと発表した。大学は、容器を杉谷キャンパスの放射線管理区域に移した。測定の結果、人体や周囲の環境への影響はないという。

 発表によると、教員の家族から8日、大学に「自宅の物置に放射性物質らしきものがある」と連絡があった。翌日、職員が調べたところ、放射性物質が入る金属缶(直径約10センチ、高さ約20センチ)を確認したという。

 汚染がないか測定したところ、金属缶の表面から、放射能を放出する炭素同位体の炭素14とトリチウム、保管場所でも炭素14が検出された。いずれも微量で、人体や環境に影響するレベルではないという。

 缶のラベルなどから、購入の経緯を調査し、この教員が50年前に購入していたことが分かった。ただ、自宅に持ち帰った理由や、保管時期などは不明という。

 金属缶は未開封で腐食もないため、大学は「中から放射性物質が漏れたとは考えにくい。缶の表面などに何らかの形で付着したのではないか」と説明した。缶の中身の状態は不明という。

 こうした経緯を受け、大学は放射性同位元素等の規制に関する法律の「放射性同位元素等の管理区域外漏洩(ろうえい)」にあたるとし、14日に原子力規制庁に報告した。大学の放射性物質が学外に持ち出されたケースは初めてといい、斎藤滋学長は「今後、このようなことがないように指導を徹底する」と話した。

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