「見計らい」で購入本を選定、図書館と書店タッグ「鳥取方式」高評価
鳥取県立図書館(鳥取市)が今年度の「文字・活字文化推進大賞」(高橋松之助記念顕彰財団主催)に選ばれた。文字・活字文化の振興に業績をあげた団体や個人に贈られるもので、県内の書店と連携した取り組みなど地域貢献を長年続けていることが評価された。
東京出版販売(現トーハン)の社長を務めた故高橋松之助氏の遺志を受けて創設された賞で、読書の推進に貢献した学校に贈られる「朝の読書大賞」とあわせて受賞者が毎年選考されている。
第17回となる今年度の文字・活字文化推進大賞は県立図書館のみが選ばれた。財団事務局によると、県内の団体や個人が受賞するのは2009年の第3回以来2度目。11月1日に東京で表彰状などの贈呈式がある。
県立図書館は1990年の開館当初から、原則として県内の書店から本を購入している。公共図書館は一般的に東京の専門業者に本を発注することが多いため、県立図書館の取り組みは「鳥取方式」と言われ、書店が持ち込んだ本の中から司書が「見計らい」で購入する本を選んでいる。電子書籍も地元の書店を通じて契約しているという。
また、県立図書館が事務局を務める県図書館協会は、県書店商業組合と共催で様々な活字に親しむ催しを開いている。全国で書店が減少する中、本を貸し出す図書館が、本を販売する書店の経営の助けとなる取り組みを進めていることが、「地域の文字・活字文化推進の中心として長年活動している」と評価された。
このほか、ビジネス支援や子育て支援、高齢者向けサービス、市町村立図書館や学校図書館などとの連携についても「県民に役立ち、地域に貢献する図書館を実践している」とたたえられた。
小椋誠副館長は「書店との共存や他の図書館との連携は常に意識している。今後も工夫した取り組みを進めていきたい」と話している。
評価された鳥取県立図書館の取り組み
・地元の書店から図書を購入する「鳥取方式」を開館当初から実践
・電子書籍も地元書店を通じて契約
・本や書店、図書館にまつわる心温まる体験談を県民から募集して表彰する「エピソード大賞」を鳥取県書店商業組合と共催
・書店の店頭で本の内容を短い文章で紹介するカード「ポップ」を中高生から募集して表彰するコンテストを書店組合と共催し、受賞作品を書店や図書館で展示
・起業や商売に役立つ情報や本を紹介するビジネス支援サービス
・子ども連れでもゆっくりと本を選べる託児サービスなどの子育て支援
・老後の暮らしに役立つ本を集めたコーナーや音読教室などの高齢者サービス
・県内の市町村立図書館や高校、大学などとのネットワークを活用し、全県民を対象にした図書館サービスの展開