排気ダクトからウラン粉末170キロ 26年間未点検の核燃料事業所
原発の核燃料を加工する「原子燃料工業」(本社・横浜市)の熊取事業所(大阪府熊取町)で、約26年間にわたり点検されていなかった排気ダクトの内部に約170キロのウラン粉末がたまっていたことが分かった。22日の原子力規制委員会の定例会で報告された。
外部への漏洩(ろうえい)や、従業員の被曝(ひばく)線量が増えるといった影響は確認されていないという。
規制委によると、今年4~5月に排気ダクトの改造工事をした際にウラン粉末がたまっているのが見つかった。同事業所では、核燃料の原料であるウラン粉末を扱う設備から放射性物質が漏れないよう、気圧を管理する排気設備がついている。この排気設備からウラン粉末が吸い込まれ、排気ダクトにたまっていたという。
規制委は、設備の構造から排気ダクトにウラン粉末がたまることは予測できると指摘。適切に点検せず、大量のウラン粉末が排気ダクトにたまった結果、大きな地震が発生すればウラン粉末の一部が環境中に放出される恐れがあったとして、問題だと判断した。
一方、核分裂が連続して起こる「臨界」になるには少なくとも約2千キロのウラン粉末が必要といい、臨界になる恐れはなかったと評価。すでにウラン粉末は回収され、排気ダクトも粉末がたまりにくい構造にするなどの対応がとられているという。