「憎むのが一番簡単だけど」 空爆で親戚奪われたガザ出身者の訴え

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後藤遼太 三井新
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 電話口で母が泣いていた。

 「あの子たちに、神のあわれみがどうかありますように」

 東京都に住むITエンジニアのモハメド・ファラジャラさん(27)のもとに今月中旬、アラブ首長国連邦(UAE)に住む母から連絡があった。パレスチナ自治区ガザ地区に暮らす親戚の家族5人が、空爆で亡くなったと知らされた。

 その前の週に、母のいとこ一家7人が空爆の犠牲になったばかりだった。母から送られてきた写真には、砂ぼこりにまみれて床に横たわる5人の子どもの姿があった。乳幼児もいた。ポリ袋に入れられた父親は、顔だけを出していた。

 ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃した今月7日以降、イスラエル軍の報復による空爆で殺された親戚の数は16人になった。そのうち、9人が子どもだった。

 「最初に感じたのは悲しみと絶望、無力感。何もできない。悔しい。でも、だんだんと気持ちが空っぽになってしまった」

イスラム組織ハマスとイスラエル軍の衝突による犠牲者が増え続けています。パレスチナ自治区ガザ地区では人道危機が深刻化。イスラエル軍の地上侵攻も迫っているとされます。双方にゆかりのある人たちが、「憎悪の連鎖を止めて」と日本から願っています。

空爆下には200人の親戚が

 ガザ出身の両親の元にUAE…

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この記事を書いた人
後藤遼太
東京社会部|メディア・平和担当
専門・関心分野
日本近現代史、平和、戦争、憲法
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    増田ユリヤ
    (ジャーナリスト)
    2023年10月29日1時10分 投稿
    【提案】

    仕事柄もあって、連日イスラエルとガザのニュースを見ないわけにはいかないが、苦しくて仕方なくなる。この記事で語ってくれているイスラエルやパレスチナの人たちの心情はいかばかりか。みな当事者だ。それでも、憎しみの連鎖を止めなければならないと言い、

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イスラエル・パレスチナ問題

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