大学のフリーアドレス化「個人研究室廃止で支障」 教員の訴え棄却

水田道雄
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 新校舎になって個人研究室が廃止され、決まった部屋や席がない「フリーアドレス」の職場になったことで研究活動に支障が出ているとして、梅光学院大学(山口県下関市)の専任教員や元専任教員9人が大学側を相手取り、計約1200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、山口地裁下関支部の榎本康浩裁判長は18日、訴えを棄却した。原告側は控訴を検討している。

 判決は「教員と大学の雇用契約では、研究室を利用させることが大学の付随義務になっている」と指摘した上で、研究室の面積、利用形態、設備について具体的な定めや基準はなく、大学側がどのような研究室を設置し、割り当てるかは「相当に広い裁量を有している」とし、「原告らの権利や利益を侵害したとはいえない」と結論づけた。

 判決後、市内で報告会が開かれ、原告の男性教授(53)は「与えられた研究スペースは机の上の狭い範囲だけで学生や第三者も出入りできる。自宅で作業している人も多く、判決には納得できない」と話した。

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この記事を書いた人
水田道雄
岡山総局|市政担当
専門・関心分野
スポーツ全般、地方政治、選挙
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    常見陽平
    (千葉商科大学准教授・働き方評論家)
    2023年7月18日21時51分 投稿
    【視点】

    ■快適な環境で働く権利を  論争の発火点になりそうな、注目の事案である。大学だけでなく、民間企業も含めオフィスのあり方を問うものだ。  個人研究室廃止に踏み切った大学が存在することを知らず、自分がいかに不勉強だったかを猛反省した。企業に

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