難病だって、外出できなくたって ロボットで演じた「星の王子さま」
難病で歩行が難しい、化学物質の過敏症で外に出られない――。そんな14人が、「星の王子さま」を朗読劇で演じた。体も距離も関係ない。それを可能にしたのは、「分身ロボット」の存在だった。
「全部の星が君の友達になる」。東京都内で開かれた45分の試写会。演じたのは、飛行士役以外はすべて高さ23センチ、重さ680グラムの小さなロボットだ。
試写が終わると、ロボットたちが一斉に拍手する。操作したのは、体が徐々に動かなくなる難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」や重度の心臓疾患などを抱える14人。「舞台俳優になる夢がかなった」「遠くにいるのに、みんなと作品を作れた」と言い合った。
14人は昨年11月、神奈川県の共生共創事業の朗読劇のオーディションに応募し、全員が合格。外出困難者が社会で役割を持てるよう開発された分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」が割り当てられた。カフェや自治体の窓口で使用されることはあるが、今回のように大勢が参加する演劇に使われた例はほとんどないという。
手を上げたり、頭を左右に振ったり。パソコンやスマホで操作するほか、目の動きだけでも動かすことができる。せりふは、操作する人の声がそのまま聞こえる。8日間の稽古と3日間の撮影で、完成した。
消えたかった私 「自信がなくて 申し訳なくて」
「ユキウサギ」のハンドルネームでツイッターに投稿する女性は、生後直後の病気や薬の投与で外出ができない。大学卒業後に症状が悪化し、誰とも話さない日も。それが何年か続くと、「言葉がなにも出てこなくなった」という。
昨秋から、オリヒメを使って…
【初トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら