「漫画村」に広告掲載は「違法行為への幇助」 広告会社に賠償命令
村上友里
国内最大級の海賊版サイトといわれた「漫画村」(2018年に閉鎖)に広告を出していた広告会社2社に対し、サイトに無断で漫画を掲載された漫画家の赤松健さんが損害賠償を求めた訴訟の判決が21日、東京地裁であった。田中孝一裁判長は「被告の2社はサイトが著作権侵害をしていると予見でき、違法行為への幇助(ほうじょ)は回避できた」と認め、請求通り2社に1100万円の支払いを命じた。
赤松さんの代理人弁護士によると、違法な海賊版サイトに広告を出す広告事業主に賠償責任が認められるのは異例という。
判決は、広告業界団体が2017年から広告掲載先から違法サイトを排除する取り組みを始めたことをふまえ、被告の2社が「著作権侵害を予見できた」と判断。そのうえで、漫画村の運営者が著作権者の許諾を得ているかを調べる注意義務を2社が負っていた、と指摘した。
さらに、漫画村の運営が広告事業主からの広告料収入に頼っていたことを受け、2社が「著作権侵害を補助した」とも認定した。
赤松さんの漫画が同年に無断掲載されたことについては、「消費者の購買意欲が低下し、正規品の売り上げが低下した」とした。