高齢者4人に1人が労働者 総務省推計、65歳以上人口が29%超に
総務省は20日の敬老の日に合わせ、2015年の国勢調査を基にした高齢者の人口推計を公表した。65歳以上の人口は前年より22万人増えて3640万人、総人口に占める割合(高齢化率)は29・1%となり、それぞれ過去最高を更新した。政府が「生涯現役社会」を目指す中、高齢者の就業率は25・1%と初めて「4人に1人」に達した。
高齢者の女性は2057万人(女性人口の32・0%)、男性は1583万人(男性人口の26・0%)。1947~49年生まれの「団塊の世代」を含む70歳以上の人口は2852万人(総人口の22・8%)と、前年より61万人増えた。
30%に迫る高齢化率は世界最高で、2位のイタリア(23・6%)、3位のポルトガル(23・1%)を大きく上回る。
高齢者の就業者数は17年連続で増え、906万人と過去最多を更新した。就業率も9年連続で上昇して25%を超えた。日本は主要7カ国(G7)の中では最も高齢者の就業率が高い。
就業者全体に高齢者が占める割合も、過去最高の13・6%になった。産業別に見ると「卸売業、小売業」が128万人と最も多く、次いで「農業、林業」が106万人、「サービス業(他に分類されないもの)」が104万人で続いた。
働き方は、パート・アルバイトなど非正規の職員・従業員が7割を超える。その理由について、男女ともに3割を超える人が「自分の都合のよい時間に働きたいから」と答え、最も多かった。一方で、「家計の補助などを得たいから」と答えたのは女性で2番目(21・6%)、男性で3番目(16・2%)だった。
政府は「生涯現役で活躍できる社会を創る必要がある」とし、高齢者の就労を進める一方で、高齢者に新たな医療や介護の負担を求める社会保障改革を進めている。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、高齢化率は今後も上昇を続け、71~74年生まれの第2次ベビーブーム世代が65歳以上となる40年には、35・3%になる見込みだ。