敵失に乗じた野党共闘 無党派層呼び込みには限界も

編集委員・堀江浩
[PR]

 25日投開票された衆参3選挙は野党が3勝したものの、激しく競り合った参院広島選挙区を除くと野党の迫力はいまひとつだった。

 衆院北海道2区では、早々と当選を確実にした立憲の松木謙公氏の出口支持率と、対立した候補の出口支持率の合計に大きな差はなかった。野党「共闘」の結集力もすべてにおいて強固とまでは言えず、無党派層からの得票は4割台と支持の広がりを欠いた。

 参院長野補選は2019年参院選とほぼ同じ構図となり、「弔い合戦」となったが、当選した羽田次郎氏の勢いは兄の雄一郎氏の19年の得票率55・13%を大きく上回るほどではない。

 政府の新型コロナウイルス対応に厳しい目が注がれ、「政治とカネ」をめぐる問題で自民が守勢に立たされる中での国政選挙だったが、しっかり野党が勝ったと言えるのは参院広島選挙区ぐらいだろう。それも今回の再選挙のきっかけとなった買収事件が起きた現場である。

 一般に、補欠選挙や再選挙は衆院総選挙や参院の通常選挙に比べて投票率が下がる。守りの姿勢の自公が組織選挙に力を入れる一方、野党側は候補の一本化で「共闘」したものの、無党派層を大きく呼び込むような選挙には至らなかった。「コロナ禍」で疲弊する有権者の心を与野党ともにつかみかねたようにも見える。

 秋までにある総選挙の行方をうらなう衆参3選挙と言われたが、与党側の「敵失」に乗じて野党が勝った側面が強い結果となった。

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません