朝日新聞デジタル

新鮮な生エビを使ったカンジャンセウでお正月を

FOOD
2024.12.12

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  • 冷水希三子
    料理家・フードコーディネーター

    レストランやカフェ勤務を経て独立。季節の食材を使ったやさしい味の料理が評判を呼び、雑誌や広告などで活躍中。器選びや盛り付けに至るまで、その料理の美しさでも注目を集めている。著書に『ONE PLATE OF SEASONS-四季の皿』(アノニマ・スタジオ)、『スープとパン』『さっと煮サラダ』(ともにグラフィック社)など。

  • 著者
    関めぐみ
    写真家

    スポーツ誌、カルチャー誌、女性誌などで活躍。また、広告やカタログ、CDジャケット、俳優の写真集なども担当。書籍に『8月の写真館』『JAIPUR』など。アメリカ、ワシントンDC生まれ。

  • 著者
    小林百合子
    ライター・編集者

    1980年兵庫県生まれ。出版社勤務を経て独立。山岳や自然、動物、旅などにまつわる雑誌、書籍の編集を多く手がける。女性クリエイター8人から成る山登りと本づくりユニット〈ホシガラス山岳会〉発起人。著書に『最高の山ごはん』(パイ・インターナショナル)、『いきもの人生相談室』(山と溪谷社)、野川かさねとの共著に『山と山小屋』(平凡社)など。

料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんが読者と私たち編集部のリクエストに応えて料理を作ってくださるという夢の連載。今回はエビを使った韓国料理、カンジャンセウをご紹介。車エビを使えば華やかで、年末やお正月の食卓にもぴったりです。

―― 冷水先生、こんにちは。なんともう師走(しわす)です!

冷水 今年ももう少しで終わりですね。長かったような、あっという間だったような……。

―― 毎年思いますね(笑)。ともあれ、今年もおいしいレシピをたくさん教えてくださって、ありがとうございました!

冷水 あら、もう締めくくりですか? 年末年始は大勢で食卓を囲む機会も増えると思うので、この連載も力の入れどころですよ(笑)。

―― そうでした! 来たるべき年末年始に向けて、ぜひぜひお料理のアイデアをいただけたらと思っています。

冷水 何か華やかなお料理がいいですよね。あとはみんながわっと喜んでくれるような……。

―― お正月のおせち料理をはじめ、年末年始は和食が多くなりがちだなと思っていまして……。今年はちょっと趣向を変えて、異国の食文化も取り入れてみたいななんて気持ちもあります。

冷水 いいですね!

新鮮な生エビを使ったカンジャンセウでお正月を
今回は車エビを使います。生食用の殻付きエビならどんな種類でも大丈夫です

―― またしても超個人的な好みで恐縮なのですが、私は冬といえば韓国のカンジャンケジャンが食べたくなるんです。日本の韓国レストランでも食べられますが、結構いいお値段がして……。

冷水 カンジャンケジャンはワタリガニを醬油(しょうゆ)とにんにく、タマネギなどで漬けた漬けたものですね。生のワタリガニは手に入りづらいので、家庭で作るのにはハードルが高いですね。代わりにカンジャンセウはどうでしょうか?

―― カンジャンセウ……とは?

冷水 韓国語で「セウ」はエビという意味です。ワタリガニの代わりに生のエビを使った料理です。

―― エビだったら手に入りそうですね。ぜひ教えてください!

冷水 わかりました。ではまず味の決め手となるつけダレを作っていきましょうね。

―― 楽しみです!

新鮮な生エビを使ったカンジャンセウでお正月を
つけダレは材料を全て小鍋に入れて煮るだけ。ナツメを入れることで砂糖の量を控え、自然な甘みをプラスできます

冷水 つけダレのレシピはさまざまあると思いますが、今日は家庭でも作りやすいようにアレンジしています。調味料は醤油、酒、みりん、砂糖、香りづけには白ネギの青い部分、しょうが、にんにく、赤唐辛子、そして甘さを加えるためにナツメを入れます。

―― 全部日本で手に入る食材ですね。

冷水 小鍋に調味料と水、白ネギの青い部分、スライスしたしょうが、半分に切ったにんにく、種を抜いた赤唐辛子、1cmの粗みじん切りにしたタマネギ、ナツメを入れます。火にかけて沸いたら弱火にして、5分ほど煮てください。

―― すごく手軽ですね!

冷水 煮たあとは氷を張ったボウルなどに鍋を入れて、冷まします。その間にエビの準備をしましょう。

―― 立派なエビですね! まだ動いてます。

冷水 今日は年末年始を意識して、新鮮な車エビを用意しました。生食用であれば赤エビなど、どんなエビでも構いませんよ。

新鮮な生エビを使ったカンジャンセウでお正月を
エビの背わたの取り方はこんなふうに。エビを折り曲げて、殻の隙間から竹串などで背わたを引き出します

―― 赤エビは大きいので、食べ応えが出そうですね。甘エビなどで作ると、よりおつまみ感が出て、それはそれでいいかも。

冷水 これからタレに漬け込むのですが、エビの殻を剥いてから漬けると味が濃くなりすぎてしまうので、殻付きのまま漬けます。ただ背わたはしっかりと取り除きましょう。

―― 殻付きのまま背わたを取るには……どうしたら……?

冷水 エビを背の部分を外にして両手で持ちます。手前に少し折り曲げると殻の間に少し隙間が空くので、そこに竹串を入れて背わたを引っ張り出してください。

―― あ、スルスルっと背わたが出てきました。面白い!

冷水 背わたがあると食感が悪くなるのでね。さて、つけダレが冷めたので、最後の工程に移りましょう。ジッパー付き密閉袋につけダレとエビを入れて、粗みじん切りにしたタマネギとレモンスライスも加えます。冷蔵庫で一晩置けば食べごろです。

―― なんとも簡単で、驚きました!

冷水 カンジャンセウは漬け込むことで生まれるエビのねっとりした食感が魅力です。一晩置いてから食べてみて、もう少しねっとり感を出したいなと思ったら、追加で半日か1日寝かせてみるのもいいかもしれません。

―― 新鮮な生エビを手にいれることが最大のポイントですね。

新鮮な生エビを使ったカンジャンセウでお正月を
つけダレとエビ、玉ねぎとレモンスライスをジッパー付き密閉袋に入れて、冷蔵庫へ。一晩置いてから食べます

冷水 前日に作っておいたものがあるので、ぜひ食べてみてください。

―― う〜ん、プリプリとねっとりの中間くらいの食感で、甘辛いつけダレがよく染みて、最高ですね! エビ1尾でご飯を1杯食べられそうです(笑)。

冷水 韓国では「ご飯泥棒」と呼ばれているくらいですからね。

―― 余ったつけダレをご飯にかけて食べるのも、おいしいです。

冷水 ご飯に韓国のりを加えて食べても、おいしいですよ。

―― それはもう最高ですね! お酒にもすごくよく合うし、年末年始にぴったりのメニューですね。

冷水 車エビを使うと豪華でおめでたい雰囲気が出るので、お正月におすすめです。子供さんと食べる場合は唐辛子の量を調節するなどしてみてください。それではみなさん、良い年末年始を! 来年も一緒にお料理を楽しみましょうね。

カンジャンセウ

◎材料

  • 生食用エビ
    200g
  • タマネギ
    1/10個
  • レモンスライス
    3枚
  • A

  • 醬油
    50ml
  • 50ml
  • みりん
    25ml
  • 80ml
  • 砂糖
    小さじ2
  • タマネギ
    1/10個
  • 白ネギの青い部分
    1本分
  • しょうがのスライス
    1片分
  • にんにく
    1片
  • 赤唐辛子
    1/2本
  • ナツメ
    5g

  1. Aの材料すべてを小鍋に入れて火にかけ、沸いたら弱火にし5分煮る。
  2. エビは殻をつけたまま、竹串などを使って背わたを取り除く。
  3. 1を氷水などにつけて冷ましたら、2のエビとタマネギ、レモンスライスと一緒にジッパー付き密閉袋に入れ、冷蔵庫で一晩おく。
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4nBgoHUyBd3d
2024年12月19日 5:16 PM

エビやカニの甲殻類を丁寧にいただき新しい年を迎えたい。ていねいにレシピ通り冬の休みに作ってみたい。

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4nBgoHUyBd3d
2024年12月19日 5:16 PM

エビやカニの甲殻類を丁寧にいただき新しい年を迎えたい。ていねいにレシピ通り冬の休みに作ってみたい。