リーマンショック後の景気回復は2011年には始まっており、完全失業率にしろ、有効求人倍率にしろ、就業者数にしろ、マネーストックにしろ、コアコアCPI上昇率にしろ、黒田バズーカこと異次元緩和が公表された2013年4月4日、もしくは野田総理が解散総選挙を決定した2012年11月14日以降に大きなトレンドの変化は観測されない*1。ここから異次元緩和が景気回復にほとんど寄与していない可能性は高い。
2016年6月28日火曜日
2016年6月27日月曜日
職業プログラマが圏論をスルーすべき理由
情報系の大学の学部を出た人々が増えたせいか、HaskellやScalaなどの関数型プログラミング言語が流行ってきて、最近はクライスリ圏、モナド、モナドと呟く人々をネット上でよく見かけるようになった。圏論プログラミングなるモノが流行っていると勘違いしだす人もいるようだ。しかし、これらの言語に触れた人は少なくないと思うが、圏論について学んだ職業プログラマーは少ないと思う。これから学ぶべきなのか気になっている人もいると思うが、実際問題使い道が無いので、スルーした方が無難だ。
2016年6月25日土曜日
脱成長路線に陥っている第二次安倍政権
リーマンショックからの景気回復が続いている可能性が高いとは言え、2012年末からの第二次安倍政権の経済環境は、特に雇用面で良好であった。有効求人倍率はバブル期の水準であり、完全失業率も20年来の低さになっている。生産年齢人口の減少に関わらず、就業者数も増加している。2015年度の大卒就職率も、記録をとり始めてから最も高い数字である。懸念の財政赤字も2014年4月の消費増税の効果により、大幅な改善となっている。だが、賃金の伸びは低迷している。何故であろうか?
2016年6月24日金曜日
2000年以降の日本のフィリップス曲線
学部のマクロ経済学でも取り上げられるせいか、ネット界隈でもフィリップス曲線が言及されることは良くある。これはインフレ率*1と失業率の関係を表したグラフで、政策的にインフレ率を上げれば失業率が下がると言う大誤診を引き起こした経済学史的には重要なものだ。
相関を因果と読み誤りやすいので、少なくないマクロ経済学者が注目して欲しくないと思っていると思うが、昨日も言及されているのを見かけたので、あえて最近の日本のデータで確認してみよう。
2016年6月22日水曜日
ビットコインへの興味が薄れて、ブロックチェーンへの関心が高まる
ビットコイン(Bitcoin)は中央管理機構を持たないP2P型の電子マネーで、2013年から2014年にかけて注目されていた。取引所の破綻があったせいか、決済に時間がかかるなどの利便性に問題があるためか、それとも税制上不利な立場に置かれたせいか*1、本格的には普及せず、既に忘れ去られつつある存在となっている。ブームとはこういうものなので意外性は無いが、なぜかその要素技術であるブロックチェーンへの興味関心が高まっていて、気味が悪い。
為替相場にかかった異次元緩和の魔法が解ける
2013年4月の異次元緩和後、特に2014年11月以降の追加緩和の後、為替相場は大きく円安に振れた。教科書的な為替相場の説明である金利平価から言うと、これはかなり不思議な現象だ。これは、購買力平価と実質金利差で為替レートが定まると言うもので、誤差は相当あるものの大雑把には説明力があると思われている。ゼロ金利下でマネタリーベースを引き上げる量的緩和を行っても、金利を引き下げる事ができないから、この理屈では為替レートは動かないように思えるのだが、実際は経験則を大きく超える動きがあった。しかし、ここ一ヶ月で為替相場は大きく振り戻し、金利平価の経験的な誤差の範囲内に戻ってきた。
2016年6月17日金曜日
三歩ひいてディープラーニングを見つめる
ディープラーニングと言う言葉を目にした人は少なくないと思う。人工知能に分類される一つの技術だが、ニューラルネットワークと言ういかにも人工知能といった名称の数理モデルを駆使しているところから、人々の興味関心を強く引いているようだ。これ自体は悪い事では無いが、実態以上に評価しようと画策する人々が出てきており、ディープラーニングが注目された翌年から第3次人工知能ブームが始まったかのような言説を見かける*1に、流行を作りたがる業界病を感じざるをえない。本当にブームなのか。報道だけ先行しているのではないのか。騙されないように、最低限の知識は入れておいた方が良さそうだ。
2016年6月13日月曜日
2016年6月12日日曜日
業界全体の管理職の比率が9割になる条件
『IT人材不足が深刻化、2030年には78.9万人不足に 経済産業省調べ』と言う記事が出ていて注目を集めているのだが、「日本では約47%が一般社員だが、米国では9割近くが管理職」と言う部分に引っかかった。命令をする人が9割で作業員が1割で仕事が捗る気がしない。もの凄く階層が深い組織だとありえるのか。気になったのでフェルミ推定してみる。
2016年6月11日土曜日
文系プログラマから見た「いまさら聞けない!コンピュータの数学」
学習ガイドラインとしてだと思うのだが、ソフトウェア・エンジニアの数学学習のために、情報処理学会誌「情報処理」の2015年5月号の特集「いまさら聞けない!コンピュータの数学」が勧められていた*1ので、確認してみた。計算機工学に必要な数学のための本が十分ではない事を背景に、どういう種類の数学が必要になるのかさわりの部分を紹介する特集で、内容は興味深い。しかし、大学一、二年次の数学の続きを説明するものだけに、基礎的な大学数学の知識が無いと十分に理解できないかも知れない。
2016年6月9日木曜日
東京財団版長期財政推計モデル(β版)がリフレ派の何かに作用中
ネットで公開されている簡素な財政シミュレーター『東京財団版長期財政推計モデル(β版)』でネット界隈の最近は反増税派になっているリフレ派の皆様が、財務省の手下の財政再建派の経済学者の仕事が粗雑過ぎると狂喜している*1。しかし、そういう行為が楽しい年頃なのは分からなくもないが、作りがシンプル過ぎる、構造が単純すぎると言う批判は、それでも機能するのであれば十分なわけで、不適切なものであろう。また、話題のモデルは財務省の仕事ではないので、色々と誤解があるようだ。