評論集の中に「チャーチル財務相の帰結」という文章があった。
金本位制への復帰に際して、
旧平価解禁で10%切り上げになったポンド。
海外の物価が10%上がらない限り、
国内物価を切り下げないといけない。
購買力平価説に従えば、そういう話だ。
輸出産業はともかく、国内産業の賃金を切り下げるためには
金融を引き締めて、「意図的に」失業者を増やさないといけない。
そうやって労働市場の供給が過剰になると、
賃金が下がり、一般物価が下がるはず。
チャーチル氏がイングランド銀行や財務省に
そそのかされてやった旧平価解禁は
そこまで織り込んだシナリオということになる。
本人が意図しているかどうかは、
ケインズの知ったことではない。
金本位制の為替安定のメカニズムというのは、
誰も表だって言わないけれど、
そういう仕組みなのだと、ケインズはいう。
・・・こうした政策の真実は、2年ほど黙っていれば、よいでしょう。
効果が一巡して、政治的に安全になるでしょうし、
あるいは財務相閣下が下野されているかもしれませんし・・・。
ケインズならば財務相にこうアドバイスしただろうに、とさえ書いてある。
金本位制のゲームは、きれいなうわべの奥に
こうした残酷な面をもっているという話でもある。
実際には、1926年のゼネストが、ケインズの言説を
裏書きした格好になった。
本書は原著の論文を取捨選択した、とある。訳者が「一般理論」との関連を意識してのことだと。
大昔の岩波書店みたいに偉そうな態度は気に入らない。要は違う本やから、essays in persuasionなんて、金文字で入れないで欲しかったわ。
とは言え、ケインズの一生を後づける意味で本書は有用かもしれない。
インド省の役人に始まり、金本位制、金為替本位、第一次大戦での国際金融と戦争債権の返済、ドイツ賠償金の支払い可能性。
戦間期のヨーロッパをどう支えるか、大恐慌とヨーロッパ・アメリカの運命と政策立案、ソビエトロシアの試み、第二次大戦と英国の戦時金融、アメリカからカネを引き出し、飛行機や戦車をもらう方法、レンドリースの罠、戦後国際金融秩序、ブレトンウッズの交渉、心臓発作…………を、逐一ではないまでも、おおよそ後づけることが、日本語で一冊で、出来る、かも。
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ケインズ説得論集 単行本 – 2010/4/1
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マクロ経済学の祖といわれるケインズは、実はタイムリーに現実経済を解説した時論家でもあった。デフレの本質を的確に捉えた彼の経済論はいまこそ読むべき価値がある。ケインズ経済時論集が一流の翻訳家により復活。
- 本の長さ264ページ
- 言語日本語
- 出版社日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
- 発売日2010/4/1
- 寸法13.8 x 2.6 x 19.6 cm
- ISBN-104532354110
- ISBN-13978-4532354114
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- 出版社 : 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版; New版 (2010/4/1)
- 発売日 : 2010/4/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 264ページ
- ISBN-10 : 4532354110
- ISBN-13 : 978-4532354114
- 寸法 : 13.8 x 2.6 x 19.6 cm
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- 2010年6月20日に日本でレビュー済みAmazonで購入
- 2010年8月1日に日本でレビュー済みAmazonで購入1919年から1931年までのケインズの論説が編集されている。学術論文ではないので、分かり易く説かれている。
第1章「インフレーションとデフレーション」、私はその時代にインフレとデフレについてどのような議論が展開されていたのか興味を惹かれて読んだ。まだ金本位制を引きずっていた時代の議論であるが、ケインズの議論は今読んでも古さを感じさせない。ただし、金本位制を廃棄し、管理通貨制度&変動相場制になり、しかも莫大な財政赤字を赤字国債の発行でファイナンスしてもインフレではなくデフレに悩まされている日本の状況は、やはり特異で、当時のケインズの議論からストレートな解法のヒントは得られないようだ。
予想に反してそれ以上に興味深かったのは、第3章「自由放任の終わり」である。ケインズは政府は経済過程にできるだけ介入せずに「自由な市場のメカニズム」にゆだねておくのが最良の策であるという自由放任の原理を批判するわけであるが、ここでケインズはアダムスミスを含む古典派経済学者の批判ではなく、再評価を展開している。
ケインズは自由放任(レッセフェール)について、「(アダムスミスなど)偉大な経済学者の著書にはそのような教義は書かれていない。偉大な学説を平易に解説して通俗化した著者らが論じた見方である」と批判する(p179)。「レッセフェールという言葉は、アダムスミスやリカード、マルサスの著書では使われていない。自由放任の考えすら、教条的な形ではあらわれていない。」(p181)
そして経済的な自由放任とダーウィン主義の通俗的な連結に批判の矛先を向ける。経済的な自由主義の主張は、理論的な分析を展開する目的で「単純化のために導入された不完全な仮説に基づいている点が忘れられやすい」と論じている(p188)。
こうしたケインズの当時の議論は、戦後の比較的近年のアダムスミスの再評価とも通じ、今日的な意味を失っていないどころか、ますます問題は先鋭化していると言うべきだろう。
ケインズが今この世に蘇ったらならば、経済理論の数学的な精緻化や統計データの飛躍的な整備にもかかわらず、経済学の諸問題は自分が生きた時代とその本質においてあまり変わっておらず(進歩しておらず)、また自身の過去の議論がその後に通俗化された形で利用、普及したことを批判するんだろうなあ、と思わずにいられない。
- 2016年6月8日に日本でレビュー済み20世紀最大の経済学者ケインズによる時評論集。
古いものは1919年、新しいものでも1930年代前半辺りと、
少なくとも80年以上前、ものによっては100年近く前の論評なのですが、
今読んでも違和感なく読めるのがすごいです。
金本位制の時代の著作ですが、インフレやデフレに対する慧眼は見事なものがあります。
有名どころだとイギリスが金本位制に復帰した直後に書かれた
「チャーチル財務相の経済的帰結」が収録されています。
旧平価で金本位制に復帰することの害悪を説いたものですね。
面白いところでは「孫の世代の経済的可能性」。
1930年からみた100年後の世界の経済予想です。
条件付で語られているところがあるので方向性として当たっているかは微妙ですが
なかなか興味深いです。
「自由放任の終わり」は経済学者の言う自由に不信を持っている人にオススメ。
初期の経済思想家たちが述べていた「自由」が自由放任ではなかったことを示しています。
時評ということで一般向けの新聞、雑誌、パンフレットなどで発表された記事が多いようで
数学的な議論は少ないので、数字が苦手な人でも読みやすいと思います。
唯一の注意点は収録内容について訳者による編集が入っている点です。
取捨選択された収録内容の詳細は訳者あとがきに記載されていますが、
除外された中にも面白そうなものがいくつかあるので、
できれば除外は無しにして追加収録のみだとうれしかったです。
- 2022年1月4日に日本でレビュー済みAmazonで購入自由放任主義が主導した19世紀末イギリスのデフレ経済、続く第一次大戦後の金本位制復帰の緊縮が招く世界大不況...。世界大恐慌では、生産能力があっても工場の1/4が操業停止、1/4が失業し、資産価格下落で銀行も経営破綻する惨状だったとする。それでも、資本家側の政府は金本位制維持して緊縮に拘わる。本書には、そんな中で反緊縮を唱え、金本位制を憎むケインズの主張が描かれている。
ケインズの主張は明確だ。まず、金本位制を廃止し、中央銀行による金融緩和でデフレの元を断ち、積極財政に転じて乗数効果を誘う。これを呼び水に、信用創造で企業家に投資を促し、インフレに導く。更に、反緊縮には国際協調が必要だとし、見果てぬ夢・国際通貨バンコールを提唱する。かようにケインズは、デフレと失業が続くと「資本主義が基礎から動揺する。扇動や反乱、革命が起こる」と警鐘を鳴らす。
今と似ていないか?と思う。幸い大恐慌は訪れていないが、新自由主義下の緊縮経済で長期停滞が続き、パンデミックが襲う。自由主義からケインズ主義へ転換したように、新自由主義からニューケインジアン、そして、ケインズ主義に再び転換する兆しがようやく見えつつある。もっとも、ケインズが「大規模国債発行で支出を増やすのは戦争が唯一の目的」としたのは不吉だ。「歴史は少しだけ形を変えて繰り返す」のだと言う。であれば、戦争だけは避けて欲しいところ。それでも、ケインズ主義の反緊縮で長期停滞を脱すべき時が来たと思う。