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リクルート事件・江副浩正の真実 改訂版 (中公新書ラクレ 360) 単行本 – 2010/8/1

3.7 5つ星のうち3.7 17個の評価

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 中央公論新社 (2010/8/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2010/8/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 477ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4121503600
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4121503602
  • カスタマーレビュー:
    3.7 5つ星のうち3.7 17個の評価

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江副 浩正
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カスタマーレビュー

星5つ中3.7つ
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上位レビュー、対象国: 日本

  • 2010年9月5日に日本でレビュー済み
    ずっと前に電波少年で「リクルート株を売却した著者に松村邦洋がカレーを奢ってもらう」という企画を見て、「あんな大事件の首謀者なのに、気前いいなあ」とギャップを覚えるとともに、感心した。本書多くのレビュアーが検察の不当さや司法制度改革の必要性を訴えている。著者ももちろん、そのことを訴えようと全く割りに合わない本書執筆、出版に多大な時間を割いたのだろう。だが、私には、それ以上に著者の優しさ、温かみ、懐の深さを感じ取れた。本書を読み、リクルート事件の著者と電波少年の著者が20年近くを経て一つに結ばれた。著者は自分が便宜をはかることに見返りを求めない、優れたフィランソロピストだった。

    本書を通して、著者の感情は怒りよりも悲しみである。なぜ、検察はありもしない罪を自分に着せるのか、メディアはなぜ自分にバイアスを持たずに報道しないのか…そして、自分が販売した未公開株で大勢の人に濡れ衣を着せてしまった、という悲しみ。逮捕前から保釈後まで著者は長くうつ状態に悩まされ、早く出たいと思い贈賄的な要素を一部認める供述調書にサインしてしまった…というのも本書を読むとわかる。それにしても、有罪判決を下した裁判官と、事件の元主任検事と趣味の世界で親しく会話し、あれだけ苦杯を舐めさせられた新聞社系列から自分の主著を出す、著者の寛大さには驚かされる。

    序盤の、著者近くへ検察の手が伸びていくシーン、著者の恐怖がよく伝わる。また、取調べの際に、現・公取委委員の担当検事が、壁に向かって著者を何時間も立たせ続けたり土下座させたり…というシーン。このあたりは、著者の最も訴えたい、取調べの可視化につながる点でもあるが、迫真があってこちらもどきどきしながらページを繰った。ちなみに本書は新書を読んでの感想だが、旧作の廉価版というと文庫、という相場だが、今は新書で廉価版。文庫より読みやすいかもしれない。
    11人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2021年4月20日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    本書には、マスコミ=第四の権力という、江副氏の実感が繰り返し出て来る。2021年の現在こそ「報道しない自由」や「報道を創る自由」など揶揄されるのも見聞する。でも、リクルート事件当時は、まさか朝日新聞社が、無実の罪を大々的に報道してるとは、大衆は
    思わなかった。リクルート事件が起こったことで、政治が変わったことを分析してみるのも面白いかもしれない。個人的には、リクルート事件を隠れ蓑にして、消費税を導入したと思っているが、その後のバブル崩壊からのデフレスパイラル。全ては
    リクルート事件から始まっている。我知らず激動の事件に巻き込まれた人のドキュメントとしても読ませるし、取り調べの可視化など
    現代社会に対する提言も数多い。江副氏のあくまで上品な人柄と、筆致が救いだ。
    3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2010年10月17日に日本でレビュー済み
    大阪地検特捜部の前田主任検事が証拠隠滅で免職になった。フロッピーディスクデータの改竄が明らかになっては逃れようがない。これは前田検事の個人プレーなのか?特捜部の捜査の実態を如実に示す本書は格好の手掛りを与えてくれる。本書から特捜検事が自ら描く構図に合わせた調書へのサインを強要する存在であることが良く判る。法曹界では証拠の改竄はご法度でもシナリオ捜査は長く不問に付されてきた。しかし調書のでっちあげと証拠の改竄は五十歩と百歩の違いでしかない。シナリオ捜査の権化のような宗像紀夫元東京地検特捜部長(リクルート事件の主任検察官)がメディアに登場して特捜部の堕落を説くに至ってはお笑いもここに極まる。シナリオ捜査こそが特捜部の常套手段であることを白日のもとに曝した本書の刊行は真に時宜に適うもの。リクルート事件が何であったかを知るには本書は序の口に過ぎない。報道の旗振り役だった朝日新聞には、本書補完のため、事件の公判全記録を文庫版で刊行することを期待したい。
    7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2021年1月6日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    部下の押収資料も見ていないで調書をとろうとする傲慢さが本書で書かれている。特捜検事は暇でないのは分かるが、この程度の低いモチベーションと職業規範、頭の悪さに驚きました。東大法学部などの高学歴出身で司法試験に合格したエリート集団とは思えない。日本の司法は所詮この程度かと考えさせられる。また、検察組織の欠陥もあることが垣間見れる。警察のネズミ取りのように起訴=実績と考えたり、法でなく倫理で価値基準を判断したり。
    2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2014年2月4日に日本でレビュー済み
     本書は、江副浩正氏がリクルート事件の報道、取り調べの経過や裁判について述べたものです。

     のちに「リクルート事件」と称されるニュースが最初に報道されたのは昭和63年6月18日の朝日新聞朝刊(P18)、であった。

    特捜とメディアの共演(P97)
     宗像紀夫検事は部屋に入ると周囲を見回したあと着席した。
    「あなたはどこが問題になると思っていますか」
    丁寧な言い方だった。だが、どこが問題なのか教えてほしいのは私の方だ。
    宗像検事が帰って客室のテレビをつけると、テレビ東京が「本日、東京地検特捜部は江副前会長を取り調べた模様」と報道していた。私はその早さに驚き、特捜はやはりメディアと繋がっていると確信した。

    特捜の取り調べ(P133)
     逮捕直後、神垣検事は私の正面に座るやいなや、大声で言った。
    「お前の家のガサ入れ(家宅捜索)で何も出なかった!病院にもブツ(証拠物)はなかった!どこに隠したんだ!」
    「どこにも隠していません」
    「バカヤロー!嘘をつくな!」
    そもそも私には隠すべきものは何もない。

    法律上の罪と倫理上の罪の混同(P220)
     メディアは倫理上の罪も法律上の罪も区別せずに報道し、特捜はメディアが大きく報道することを立件する。そのため、検事にも倫理上の罪と法律上の罪の混同があるのではないだろうか、倫理上の罪は世代間でも、人によってもその捉え方が異なる。裁判所は両者を毅然と分け、法律に基づいて罪を裁くべきであろう。

    判決 懲役3年・執行猶予5年(P425)
     「結果的にはリクルートの利益になる行為であったにしても、それ自体としては違法不当な施策を行わせるものでも、行政の公正などを害するようなものでもなく、むしろ、国の正当な政策に適ったものであった」という文言は「事実上無罪に近い」と取れなくもない。

    なぜ、多額の政治献金をしたのか(P439)
     私は社員に、“外飯・外酒”を推奨し、自らも財界人に誘われ、日本YPO以外に、稲山嘉寛さんを囲む会、永野重雄さんを囲む会、三重野康さんを囲む会、眞藤恒さんを囲む会などに参加していた。それらの会のなかに政治家を囲む会があった。稲山さんは「政治献金は企業にとって必要なことである」と強調されていた。

    なお、政治資金規制法の改正は平成11年である。この頃、企業から政治家への献金は認められていた。政治資金規正法第5章第21条(会社等の寄附の制限)《改正》平11法159

    田原総一郎氏 「正義の罠」(P445)
     「各紙に政治家の名前が次々に報じられたとき、私は当時大和証券会長だった千野宣時に、「未公開株の譲渡は違法なのか」問うた。
     「企業がはじめて店頭や東証二部などに上場するときに、付き合いのある人、知人で社会的に信用のある人々に公開前の株を持ってもらうのは、ごく当たり前のことで、どの企業もやっている証券業界の常識ですよ」
     千野は躊躇なく答えた。「そんなことが違法だとなれば証券業界はやっていけません」とも強調した。

    リクルート報道((P442)
     朝日の記者から「横浜支局の山本博デスク、のちにテレビ朝日の「報道ステーション」に軍事評論家としてときどき登場している田岡俊次氏、産経から朝日に転じた落合博美氏の三人がいなければ、あれだけ大規模かつ長期間にわたってリクルート事件を報道することはできなかっただろう」と聞いたことがある。

    東京地検特捜部
     弁護士からは「吉永祐介検事正や宗像紀夫主任検事、神垣清水検事の3人がいなければリクルート事件は立件できなかったでしょう。ロッキード事件からリクルート事件までが特捜の最盛期でしたよ」と言われた(P447)。

    裁判
     音楽を通じた交流は、最後の裁判長だった山室惠さんともあった(P452)。(退官後は東大法科大学院教授など)

    弁護団が検察庁へ出かけ、押収物の中から昭和57年のパーティー券購入や、昭和58年11月の500万円の献金に関する伝票を探し出した。だが、検事はこれを隠し虚偽の筋書きを作り上げたのである。
    公判が進む過程で、弁護士に言われた。
    「58年以前の献金を外したのは、その前後の献金に賄賂性がなくなるからですよ」
    それを聞いて、私はまたも、「検事によって罪は作られる」との思いを新たにした(P265)。

    6回目の調書取り消し
    宗像検事自身が「検事正が調書に目を通してだめな調書は取り直しさせられる」と言っているように、実際は検事正が他の人の調書とのすり合わせを行って、有罪に持っていくのだろうと、私は推測した。
    再び取調室に戻る。
    「被疑者の言い分も聞かずに、検察庁で筋書きを作り調書を取るというのは順序が逆じゃないですか」
    私はそう反論したが、宗像検事も譲らない。
    「すでに最終着地の段階だ。ここで君に抵抗されると着地できない。請託の色合いをもう少し調書に入れさせてくれませんか。悪い求刑にしません。そのことは検事正も了承されておられる」
    「就職協定が廃止されても、リクルートはまったく困りません。困るのは大学です」
    「いまさらそんなことを言われても困ります。あなたの言い分も汲んだ調書にする。頼みますよ」(P266)

    現行の司法制度を改めてもらいたい(P463)
     日本の司法制度は、諸外国でも稀な密室での取り調べによる検事作成の調書に重きを置き、調書の中の有罪にできる部分のみが開示される。その結果、有罪率は99.8%に達する。
    11人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2018年1月10日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    江副さんは、政治家との関わりに対して、悪意なく金銭の授受があったところから、その進取性に法的制約を受けた罪なき犠牲者です。江副さんは極めて真摯な人だと私は思うのです。
    4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2012年1月17日に日本でレビュー済み
    繰り返し読むことはないだろうと思ったので、図書館で借りて読みました。検察の厳しい取り調べはテレビドラマでよく見るシーンそのままだったので特に驚きもしませんでした。
    贈収賄に関する法律について詳しくないので、この事件が当時無罪に当たったのかどうか、この本を読むだけではわかりません。
    しかし、一般庶民の我々からみると江副氏の献金額は途方もなく巨額であり、常軌を逸しているように感じます。特段の見返りを期待したものではないとの記述があるように、内心では何の打算もない株式等の譲渡だったとしても、その行動は、十分疑わしい外観を呈しているように思うのが、正常な感覚だと思います。
    江副氏を礼賛するレビューが多数を占める中で、私は、このような行動を処罰する法律が当時、十分に整備されていなかったことにむしろ驚きを感じます。
    江副さんは有能な人格者なのだと思いますが、今の感覚で判断すれば、当時の行いは有罪と思うのが普通なのではないかとおもいます。
    ただ、この本に書かれていることが真実ならば、少なくとも、真藤恒、藤波孝生、辰巳雅朗、長谷川寿彦の各氏は全くの濡れ衣であったのだなぁと非常に残念な気持ちになりました。
    9人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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  • 2020年1月6日に日本でレビュー済み
     ゴーン氏が国外に脱出した2020年初頭、日本の国民は江副さんがこの本で記している「検察による取り調べ記録」をよく読むとともに、日本の司法制度に対する彼の控えめな主張を強く受け止めるべきだこ。改めてリクルート事件を振り返れば、江副さんには、意図的ではないとしても、軽率な行動があったようにみえる。その点で弁解の余地は乏しいが、検察による取り調べは人権を著しく無視したものであり、彼らの思い込みと執念たるや凄まじいものがある。
     ゴーン氏が国外に脱出したのは、日本の司法制度に対する絶望が一因であったという。およそ30年経過した今も前近代的な司法制度の根幹は全く変わっていないようだ。なお、本書には英訳版が出版されており、ゴーン氏はそれを読んだかもしれない。とすれば、ゴーン氏はなおさらのこと日本の司法制度に対する絶望感にとらわれたことだろう。
    2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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