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チューリングの大聖堂: コンピュータの創造とデジタル世界の到来 単行本 – 2013/2/22

3.7 5つ星のうち3.7 24個の評価

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グーグル、アマゾンが君臨する現代のデジタル世界は、もとをたどれば数学者チューリングの構想した「チューリングマシン」に行きつく。そして理論上の存在だったチューリングマシンを現実の装置として創りあげたのが万能の科学者フォン・ノイマンだ。彼の実現した「プログラム内蔵型」コンピュータが数に関する概念を変え、デジタル宇宙を創生したのだ。しかし、フォン・ノイマンがそれを成し遂げたのは、産業や学問のしきたりにとらわれない、プリンストンの高等研究所という舞台あればこそであった。チューリングは何を考え、フォン・ノイマンはどう立ち回り、アインシュタインやゲーデルを擁した高等研究所はいかにしてその自由性を得るにいたったのか。そして彼らとともにコンピュータ開発を支えた科学者・技術者はいかにして関わりを持つようになり、現代に直結するどんな偉業を成し遂げたのか・・・・・・
高等研究所などに収められた詳細な文献や写真資料、豊富なインタビュー取材をもとに、大戦後の混乱でこれまで必ずしも明らかでなかった歴史事情や、知られざる人々の肖像をちりばめて綴る、決定版コンピュータ「創世記」。
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商品の説明

著者について

◎著者紹介=ジョージ・ダイソン(George Dyson): アメリカの科学史家。著書に本書のほか、アリュート族のカヤックに関する『バイダルカ』Baidarka、デジタルコンピューティングとテレコミュニケーションを題材にしたDarwin among the Machines、宇宙探索に関するProject Orionなどがある。父は物理学者のフリーマン・ダイソン。姉は投資家でIT業界のオピニオンリーダーであるエスター・ダイソン。

◎訳者略歴=吉田三知世(よしだ・みちよ): 京都大学理学部物理系卒業。英日・日英の翻訳業。訳書にクラウス『ファインマンさんの流儀』、ファーメロ『量子の海、ディラックの深淵』、ウィルチェック『物質のすべては光』、ボダニス『E=mc2』(共訳)、マンリー&フォーニア『アメリカ最優秀教師が教える 相対論&量子論』、ガブサー『聞かせて、弦理論』、ジョンソン『もうひとつの「世界でもっとも美しい10の科学実験」』ほか多数。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 早川書房 (2013/2/22)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2013/2/22
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 648ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4152093595
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4152093592
  • 寸法 ‏ : ‎ 14.2 x 3.8 x 19.4 cm
  • カスタマーレビュー:
    3.7 5つ星のうち3.7 24個の評価

著者について

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ジョ−ジ・B.ダイソン
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上位レビュー、対象国: 日本

  • 2021年3月3日に日本でレビュー済み
    文庫本化されました。フォンノイマンの伝記です。
  • 2013年6月7日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    長編だが纏まりが無い。
    時系列が、はっきり言って滅茶苦茶と言っていいと思う。
    1945年前後の短い幅で頻繁に行ったり来たりして、人も死んだと思ったら次の段落で生きてたりでめまぐるしい。
    エピソードも、例えば何々の建物が建っていた土地は1500年代にナバホ族のインディアンが通っていた道で…とか
    フォン・ノイマンの二番目の奥さんの二番目の旦那がギャンブル好きで…
    どこそこに移動するのに何年にフェリー何々号を乗り継いで…
    とかコンピューターとまるで関係ない雑多な事が膨大に記述してあるのだが、肝心のコンピューターに関しては、真空管が何本でパンチカードが何枚でどのくらいの速さで計算できたか、みたいなカタログスペックを写したような記述ばかりであまり素人に分りやすくはない。
    人間ドラマ・・・でもないよなあ、最後らへんの、著者による空想小説?空想哲学?みたいなエッセイが面白かったのだが、実際に黎明期のコンピューターに関してはいまいち分らないままだった。

    インタビューや書簡の引用が多くて、体裁としては評伝っぽいのだが、整理されてない記事の切抜きを集めたスクラップブックというか、パソコン風に言うと分散して断片化されたファイルを順に読むようなそんな本。
    読み終えればまるでパズルのピースが嵌るように一枚の絵が・・・とはならなかった。

    予備知識ゼロの人間が読んでおもしろいかどうかは疑問。
    当事の事情をあらかじめ他の本などで読んで知ってる人向けの本だと思う。
    41人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2013年4月29日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    ゲーデルが、ノイマンが、オッペンハイマーが在籍した、史上最高の頭脳の殿堂プリンストン高等研究所。
    本作はそこで産声をあげた電子演算器がいかにして成長、発達し、やがては人類を飲み込む巨大な「生命」にまで進化を遂げたか、
    その黎明期におけるエピソードを豊富な資料をもとに描き出している。

    序盤の冗長な説明など、いささか構成に難があるのは否めないが、
    中盤から後半にかけては、緻密な取材によって裏付けされた当時の様子や、著者の持つコンピュータおよびプログラミングに対する深く哲学的な視点なども相俟って、
    実にグイグイと読ませる魅力に富んでいる。

    また掲載されている写真だけでも本作の史料価値は高く、
    ゲーデルとアインシュタインが一緒に写った写真や、ノイマンがノートに書きつけた論理演算のアーキテクチャのメモなど、
    コンピュータ科学史に興味のある方なら、それらを見ただけで深い感慨にとらわれる事請け合いであろう。

    そして今日なお、彼らの残した言葉は示唆に富んでおり、
    とくに人工知能に対する考えなど、本質的な部分の問いかけは当時すでに成されていた事に衝撃を覚える。

    個人的には著者の言葉である、「フォン・ノイマンの予想に反し爆発したのは爆弾ではなくコンピュータの方だった」という一文が興味深い。
    1953年当時、弾道予測や爆発の衝撃波、気象観測や恒星の進化までの計算を、わずか5キロバイトでこなしていたが、
    これは現在のMP3で圧縮された音楽の約1秒半の聴覚データに過ぎない。

    これを爆発と言わずしてなんと言おうか、

    そしてその爆風は今もなお勢いを増し、人類の歴史を飲み込もうとしている。
    本書はそうした経緯を俯瞰する意味でも、読んでおくべき本だと思う。
    24人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2015年11月15日に日本でレビュー済み
    ともかく、厚い本で、こんな650ページ(原書は400ページ弱)の本がベストセラーというのは、正直信じがたいが、本当に売れたのなら、この世界も捨てたものではない。
    口絵に写真やメモが80枚あるのが魅力的。さらに圧巻は、80人の主な登場人物の解説だ。この2つだけでも読んで見る価値がある。
    但し、内容は、時間も行き来して、確かに大聖堂の中を、アチラコチラと行き来している感覚がある。書評を見ても、期待はずれや難解というものが結構ある。
    これは、学術的な枠を取り外した科学史、米国プリンストンの高等研究所とコンピュータとそれに関わった、フォン・ノイマンを中心とした人々の物語といえようか。独立戦争の話など、私には面白かったが、なんでこんなに余計な話まで、と思う人もいるはずだ。
    好事家向きの本と言ってしまえがそれまでだが、コンピュータよもやま話の材料には事欠かない。
    同時に、第二次大戦を挟んだこの動乱の時代の人々の生き様と、ハンガリーという国の伏木さを感じた。歴史の玉手箱とでも言うべき内容。歴史好きにはお薦めということだが、歴史がないと一般に思われている米国が、このコンピュータの歴史では、最古とは言わないまでもそれなりの歴史の重みを積み重ねていること、そういう歴史評価の活動に、我々はどのように参加しているかを考えさせられた。
    13人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2014年1月25日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    アランチューリングの功績は大学時代に授業で受けていた。最近、昨年読んだ吉田氏の素数夜曲の中でラムダ記法について勉強し、今までと異なる評価を感じていた。
    この本は専門書に近い。私はかなり専門知識を有していると思うが、知らないことがたくさん書かれている。陰極線管を表示に使うのは当然だがメモリに使うというのは到底思いつく手段ではない。32×32に画面を区別してどこにビームが当たっているかを情報として取り出す。DRAMのようにリフレッシュまでする。これを並列に多数並べてランダムアクセスメモリに仕立てる。現在なら1Bit(二通り)ずつ同時に16Bitまとめて処理するが、この方法では1024通り×40個というような使い方をしていたわけだ。詳しい説明はない。専門家でなければ理解が難しいかも。
    アランチューリングはノイマンと同じ時代の人で、お互い影響し合っていたようだ。実はチューリング自身が英国でコンピュータを作り上げており、歴史を覆すようにENIACより僅かに早いようだ。ノイマンは運動を全くしない人だったが、歩くことに関しては全く気にならなかったらしく、意外にも私と全く同じ性格。大型車が好きというのも。
    最初の方でアメリカ独立とともに移住したヨーロッパ人がニュージャージーのニューアーク、プリンストンの周囲に大学を作り上げるシーンがある。私も2回にわたりニュージャージーへ行ったことがあり、ニューヨークやワシントンDCとの位置関係や風景、ドライカウンティの状況が想像できる。ノイマンは恐ろしく数理学の達者な人物だったらしいが、この本を読むとプロジェクトを推進するリーダとしての能力も高かったように思える。また経営に関与していたこともあり、敵も多かったようだ。意外なことに。
    チューリングはノイマンより年上だと思っていたが逆のようだ。しかしチューリングがノイマンに影響を与えたことは間違いないようだ。
    この本は、章毎に物語があり、時代がさかのぼったり下ったりする。物語は独立しているが、数箇所で繋がっており、最後へ向けてまとまっていく。人工知能は意外なことにコンピュータの黎明期から技術者をひきつけていたのだった。計算機の能力は全くいたらなかったが、概念は早くから構築されていた。人工知能というより遺伝的アルゴリズムと言ったほうが適切か。そして気象について詳しく書かれている。気象は計算機が登場するまで経験に頼っていたが、気象予報に計算機が使えると早い時期に考えられていた。これは流体力学とほぼ同じ意味だ。計算機工学と応用先の関係は思ったより早くから取りざたされていたということだ。計算機のアーキテクチャは当時の天才的数学者が構築し、工学の匠が試作したが、当時のハードウェアの信頼性の低さは現代とは比較にならない。
    ところでこの本の翻訳者は直訳調で著者のインタビューワーとしての表現をそのまま使っているようだ。正直読みにくい。最後に関係者のその後の消息が書かれているが、チューリングが性犯罪で起訴され、ほぼ自殺と見られることはショック。
    12人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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  • 2013年6月22日に日本でレビュー済み
    チューリング・マシンや、ENIACの話を期待していた向きには、がっかりです。
    技術的な記載は、あまりなく、フォン・ノイマンやノバート・ウィーナー、その他たくさんの登場人物の人間関係が、延々と語られます。読んでいるうちに、誰が何だったか、錯綜してきました。
    そういえば、アラン・チューリングは、どれくらい出てきていたのでしょう。

    ノイマンもウィーナーも、コンピューター界の巨人で、更に、この本の途中に出てくるモンテカルロもオートマトンも、各々それだけで、まとまった本が書けるわけですから、これらを全部一冊に入れ込もうというのは、無理があったようです。
    20人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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  • 2015年9月1日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    コンピューターのことについて知りたいと思い、本書を手に取ったのだけれど、プログラム内蔵型コンピューターやランダム・アクセス・メモリ(RAM)が開発されるプロセスを知ることで、以前よりは理解が進んだ。まあ、しかし、それ以上に興味深かったのは水素爆弾を作ると言うあの当時の軍事的要請が今日的なコンピューターを生み出す原動力となり、そのような状況を利用して自らの数学的理想を現実のものとしようとしたフォン・ノイマンと言う天才がいたことだ。
    フォン・ノイマンは最初は純粋数学の分野で「集合論の公理化」などの研究をしていたが、ゲーデルの不完全性定理を知るにつけ、純粋数学の分野の限界を悟った。そのことが彼をして応用数学に研究の矛先を転換させるきっかけとなった。また連合国側に勝利をもたらすと言う使命感も応用数学を追求することになった背景にあったようだ。
    プリンストンの高等研究所で彼は、数学者・物理学者と技術者のチームを率いていたが、彼がチームリーダーとなる前は、スタッフは仕事の進め方について先が見えずに悶々としていた。しかしノイマンが、技術者達に対しては、比較的単純な指令によって動く機械を作ることを指示し、数学者たちのグループに対しては単純な指令の組み合わせによって必要を満たすプログラムを作成することを指示することによって、お互いの連携は単純になり、仕事が驚くほど簡単にはかどるようになった。彼のそのようなコーディネーターとしての能力は勉強になった。
    書評を書いている他の方々が、本書の時間の進行についていけないと指摘しているが、確かに最初は戸惑うだろう。時間は螺旋系に進行するような具合に文章が並んでいるからだ。私は読んでいる内に慣れてきて、却ってそのような時間の進行がツボにはまって快感になってきたところもあるが、慣れない方へのお勧めは、まず最後の方にある「訳者あとがき」を読んで大雑把な全体像を捕まえてから本書を読み進めるやり方だ。最初の方には「主な登場人物」についてのまとめもついており、途中で混乱してきた時に参考になる。
    最後に印象に残った場面を引用する。ノイマンはおそらく水爆の実験に立ち会ったことによる影響と思われる癌で衰弱していくのだが、死を目前にして厳格なカトリック信徒になる。死への恐怖からそうしたものと思われるが、そのようなノイマンに対して彼の娘のマリーナは『あなたは何百万人もの人々を亡き者にすること(水素爆弾の開発)を沈着冷静にじっくり考える人なのに、自分自身の死に直面することができないのね。』と言う。そうするとノイマンは『それとこれとはまったく違うんだ…。』と答える。水爆は彼を活かしてコンピューターを現実のものとするのを可能にしたと同時に、彼の命を癌と言う形で奪うことになった。
    コンピューターの恩恵にどっぷりと浴している我々は、その歴史的な起源を知ることで、この世界の土台となっている悲喜劇に種々の感慨を抱くことになる。
    19人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート