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サクナヒメと仲間が住む家の前の田は、一部ではありますが無事、田植えが終わりました。劇中、仲間の一人「きんた」が、あぜから田に手を伸ばし、水の中に指を入れるシーンが出てきます。きんたは「こいなもんか」と確信を得た様子で指を水から引き上げ、田に水を入れていた取水口を閉じます。これをやると水温は上昇していきます。田植え後の水の深さや温度の管理は、米作りの重要なポイントの一つです。
農水省が公開している「水稲の基本的な栽培技術」でも、田植え後の水管理が具体的に説明されています。
田植え後、苗が土中に活着するまで、水深は「3~4センチのやや深水」にするよう推奨しています。苗が低温や風による障害を受けるのを避けるためです。
活着したら、今度は水深を「2~3センチのやや浅水」にします。水温を上昇させて、苗から新たな茎が出る「分げつ」を促すためとしています。田の水を更新する場合、早朝にやるようにして、日中は「止水して水温を上昇させる」と説明しています。きんたが取水口を閉じたのも、稲をしっかり育てるために必要な管理作業の一つでした。
「人手かあ…」となげくサクナヒメ。自身の親友で、発明を司る神「ココロワヒメ」の名を挙げて「からくり人形の一体や二体、すぐ作ってくれそうなのじゃがのう」とぼやきます。
人手が足りないなら、機械の力で乗り切ろうというサクナヒメの考え方は、劇中だと絵空事のように語られますが、現実の農業では実現しつつあります。
「からくり人形」のような人型ロボットではありませんが、田の中を自動で走行し、苗を植え付けていく田植え機などが登場しています。限られた人手で、大規模な面積でも農作物を栽培できるよう、農家をサポートするために開発されました。
薬剤散布などを省力化するため、ドローンを活用する動きも広がっています。手作業だと長時間に及ぶ大面積での散布も円滑に進みます。
一方、機械化が進んでいるとはいえ、現実の農業でも人手不足は大きな課題になっています。
農水省が5年に1回調査している「農林業センサス」によると、農家が雇い入れて農作業に従事してもらう雇用労働者のうち、7カ月以上の契約を結んだ「常雇い」は2020年時点で15万7000人。前回調査から6万3000人も減りました。季節雇いなどの「臨時雇い」だと減少幅はさらに大きく、50万8000人減の94万8000人でした。
農業の働き手を確保するため、JAや自治体が今、新たな取り組みを始めています。バイトアプリを通じて短期間の農作業の働き手を募ったり、農業のアルバイトと観光を組み合わせた旅行コースを用意したりと、工夫を凝らして人手の掘り起こしを進めています。地方公務員が副業として、農作業に参加できるようにする仕組みを作る動きもあります。
サクナヒメたちは河童たちに会いに行きますが、最初は警戒されて話ができません。ですが、サクナヒメの仲間の一人「ミルテ」が鬼に襲われていた河童たちを助け、武神の子で鬼を退治できる力を持つサクナヒメがその鬼を倒すと、河童たちの警戒心もなくなっていきます。
今度は河童たちが力を貸して、田植えに加わります。新たに増やした田は、それまでサクナヒメたちだけで田植えを終わらすことはできていませんでした。河童たちの協力によって人手が増えて、田植えが一気に進み、増やした田を余すことなく活用できたサクナヒメたちでした。
テレビ放送の時間帯と放送局は次の通り。
▽毎週土曜日午後11時から=テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、TVQ九州放送
▽毎週火曜日午後9時半から=AT-X
▽毎週金曜日午前1時29分から=熊本県民テレビ
▽9月2日から毎週月曜日午前2時(毎週2話ずつ、最終回のみ1話)=富山テレビ放送
各種動画配信サービスでも配信されている。
(C)えーでるわいす/「天穂のサクナヒメ」製作委員会