メキシコ町長、子どもにプレゼント配った麻薬王に謝意 捜査対象に
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【1月1日 AFP】メキシコで子どもたちにプレゼントを配った悪名高い麻薬王に謝意を表した町長が、麻薬組織とのつながりを疑われて捜査を受けている。クラウディア・シェインバウム大統領が12月30日、明らかにした。
西部ミチョアカン州の小さな町コアルコマンのアナベル・アビラ町長が謝意を表したのは、残虐性で知られる麻薬組織「ハリスコ新世代カルテル」を率いる麻薬王、「エル・メンチョ」ことネメシオ・オセゲラ容疑者。同容疑者には、米麻薬取締局が最大1500万ドル(約23億5200万円)の懸賞金をかけている。
メキシコメディアによると、アビラ町長は公共行事で、「コアルコマンの子どもたちは、ネメシオ・オセゲラ氏とその子どもたちの高潔な行為に感謝します。贈り物をありがとうございます」と書かれた立て札をたてた。
シェインバウム大統領は記者会見で、「(アビラ)町長とこの犯罪組織に何らかのつながりがないかどうか、そしてなぜ立て札がたてられたのかについて、捜査が進められている」と説明。
「こうした立て札を明確に非難する」「こうした犯罪組織を支持するいかなる行為にも反対する」と述べた。
メキシコの麻薬組織が民衆の支持を得る目的で贈り物を配るのは今回が初めてではない。
2022年にも、ハリスコ州グアダラハラで麻薬組織の構成員とみられる人物らが、クリスマスの装飾を施したトラックからプレゼントを配布する様子を撮影した画像がソーシャルメディアに投稿された。これを受け当時のアンドレス・マヌエル・ロペスオブラドール大統領は、麻薬組織によるプレゼント配布にだまされないよう国民に注意を呼び掛けた。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)時にも、メキシコの複数のコミュニティーで麻薬組織による食料品配布が報告されている。
メキシコでは麻薬関連の暴力犯罪が相次ぎ、2006年以降45万人以上が殺害されている。(c)AFP