【9月30日 AFP】従業員の自殺が相次いでいる仏通信最大手のフランステレコム(France Telecom)で08年2月以降24人目の自殺者が出た。こうした事態を受け、同社の労働環境についての調査を求める声が高まっているほか、29日には同社のディディエ・ロンバール(Didier Lombard)最高経営責任者(CEO)の退任を求める声もあがった。

 24人目の自殺者は2児の父親でもある51歳の男性で、28日に高速道路の高架橋から飛び降り死亡した。この男性は最近、仏アルプス(Alps)地方のアヌシー(Annecy)のコールセンター勤務となっており、仕事のプレッシャーを訴える遺書を残していた。

 地元の労働組合によると、この男性はアヌシーの労働環境については「耐えられない」とし、異動前には情緒不安定を指摘されていたという。男性の妻は地元ラジオに対し、男性は自殺前、「常にリストラのことを口にしていた」と語っている。

 フランステレコムの従業員は29日、アヌシーや近隣のグルノーブル(Grenoble)とリヨン(Lyon)、ボルドー(Bordeaux)などで山猫ストを行い、過去18か月の間に24人もの自殺者が出ていることについて、何らかの措置を講じるよう求めた。

 これに対し、ロンバールCEOは、前月発表した人事政策の見直しに加え、管理職を3年ごとに異動させるという方針の凍結を発表した。

 一方、野党や労働組合は、同CEOの取り組みが不十分だとしている。仏社会党の報道担当者は、「責任ある企業トップとしては、PRに躍起になるのではなく、辞任するべきだ。それがこの問題で考えられる唯一の結論だ」と語った。社会党とフランス共産党は、議会による緊急調査を求めた。

 かつて国営の独占企業だったフランステレコムは、現在は規制緩和された通信市場で競争にさらされており、ここ数年で何度か大規模な再編成を余儀なくされた。そのため、従業員の間ではストレスがまん延している。
 
  フランス全体の自殺率からすると10万人の従業員を抱えるフランステレコム社員の自殺が極端に多いとは言えないが、職場で自殺したケースや、自殺の原因は仕事にあるとの遺書を遺したケースもあった。(c)AFP

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