生成AIはマーケティング領域にも大きな変革をもたらしている。しかし、その活用にはデータの適切な利用や法令遵守など考慮すべき点も多い。2024年12月11日に開催された「AI×マーケティングサミット2024」(宣伝会議主催)に、生成AI活用支援事業を運営するエクスプラザの内田寛氏が登壇。生成AI市場の現在と予測に加え、コンテンツ制作の効率化を実現するための戦略について解説した。
グローバルで195兆円市場へ。高成長を遂げる生成AI
2023年に生成AIの開発支援の事業をスタートして以来、2000件以上におよぶ生成AIプロダクトの開発・運用構築に携わってきたエクスプラザ。取締役COOの内田寛氏はセミナーの冒頭でまず、生成AI市場の急速な成長について言及した。
エクスプラザ 取締役COO 内田寛 氏
「2023年のChatGPT登場を契機に、生成AI関連のシステム開発予算が急増。市場は急速に拡大しています。2032年にはグローバルで200兆円規模になると予測されており、バズワードで終わるものではなく、今後社会実装が本格化していくと見ています」(内田氏)
内田氏は、特にアプリケーションレイヤーの成長に注目すべきだと指摘する。クラウド市場の成長過程と同様に、生成AI市場も初期段階では半導体やインフラ企業が市場を牽引するが、最終的にはアプリケーションが大きな収益レイヤーとなると予測される。
「生成AIの現状は、まだNVIDIAやAzureといった半導体・インフラ企業の収益が大きいものの、今後はアプリケーションレイヤーの進化が市場の成長を加速させると考えています」と内田氏。日本市場においても、生成AIアプリケーション市場は2023年の約1000億円から2030年には約1.5兆円にまで拡大すると見込まれている。
コンテンツ制作過程を生成AI時代にアップデート
生成AIはマーケティング領域にも大きなインパクトを与えている。内田氏は、「マッキンゼーの調査によると、マーケティングにおける生成AIの年間インパクトは約470億ドルにも及ぶ。これはコスト削減効果において全業界中3位に位置する」と説明。すでに電通、博報堂、サイバーエージェントといった大手広告会社も生成AIへの投資を強化しているという。
マーケティングプロセス全体を大きく変える可能性も秘めている生成AI。ChatGPT登場以前は、AIによる自動化はターゲティングや効果予測といった領域が中心だったが、今後はインサイトの抽出から企画立案、コンテンツ生成まで、より上流の工程まで活用できるようになると内田氏は語る。
内田氏は、マーケティング×生成AIの大きなトレンドとして、「コンテンツサプライチェーンのアップデート」と「ハイパーパーソナライゼーション」の2つを挙げる。Adobe(アドビ)の予測では、今後数年でデジタルコンテンツの需要は5倍に増加するとされており、生成AIによるコンテンツ制作の効率化はさらに重要になる。
「生成AIは、個々人の嗜好にパーソナライズされた多様な動画や記事コンテンツの大量制作を可能にします。しかし、真のポテンシャルを引き出すには、コンテンツ制作のライフサイクル全体を生成AI時代に合わせてアップデートさせる必要があるのです」(内田氏)
一方で、生成AIの活用には法令や権利関係への配慮も欠かせない。日本ディープラーニング協会や各省庁などが発表している生成AIの利用ガイドラインによると、自社・他社の機密情報や個人情報の入力は避けるべきだと示されている。また、生成されたコンテンツをそのまま商用利用する場合、権利関係に注意が必要となる。創作的寄与を加えることで著作権を主張できるものの、既存の作品と類似していないかを確認も重要だ。
高精度コンテンツを簡単に制作できる「Mark」
内田氏は、海外のAIライティングサービス事例として「writer」を紹介した。「writer」の特徴は、セキュリティやガバナンス、ブランド保護のための編集アドバイス機能が搭載されている点だ。法令遵守が求められるヘルスケアや金融業界でも安心して利用できるAIライティングツールとして、DeloitteやUberなどの大手企業に導入されているという。
残念ながら「writer」は現在英語のみの対応だが、エクスプラザでは同様の機能を持つコンテンツ生成AI「Mark(マーク)」を自社開発・提供している。「Mark」は、過去のコンテンツデータ、顧客データ、ブランドガイドラインなどを学習し、ターゲットに響くコンテンツを自動生成するサービスだ。記事、SEOコンテンツ、メルマガ、ホワイトペーパー、プレスリリースなどの様々なコンテンツ制作に活用できる。
「Mark」の特徴は、直感的な操作でプロンプト不要、AIの専門知識がなくても高精度なコンテンツを制作できる点にある。
「記事作成画面では、『プロジェクト』、『施策』、『ペルソナ』、また制作したコンテンツの与件や補足情報を入力する『概要』を入力するだけで、AIが記事と関連画像を自動生成します。用語チェック機能やパフォーマンススコア表示機能により、コンテンツの質と効果を担保。段落単位での画像・テキスト追加生成や画像編集機能など、コンテンツ制作を効率化する様々な機能を備えています」(内田氏)
主にプレスリリース、オウンドメディア、SEOメディアのライター向けに設計された「Mark」は、「ChatGPTの再来」「感動した」といった高い評価を得ているという。今後は生成可能な記事タイプをさらに増やし、また制作した記事コンテンツをメルマガなどの他コンテンツに変換する機能を実装する予定だ。
「『Mark』は生成AI登場以前と比べて格段に便利で、かつChatGPTでは実現できないインタラクティブなライティング経験をご提供できるサービスです。ご興味のある方はぜひお問い合わせください」(内田氏)
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