紫原明子 離婚は夫婦の関係が完全に壊れる前に
編集長インタビュー 紫原明子(上)賢い離婚ノウハウと、「息苦しくない家族のカタチ」
ネットで育った新しい世代の書き手として、「セックスレス」や「ママ友問題」、さらには「お母さんの恋愛」といったテーマに切り込み、『cakes』をはじめ多くのウェブ媒体で活躍するエッセイストの紫原明子さん。起業家の家入一真さんとの結婚、そして怒涛の離婚を経て、現在は14歳の息子と10歳の娘を育てながら執筆活動やウェブメディアのコンサルティング業などを精力的にこなすシングルマザーでもあります。今年6月には初の著書となる『家族無計画』(朝日出版社)を出版、そこでは仕事と子育ての狭間で「新しい家族の在り方」を模索する紫原さんの姿が浮かび上がります。
紫原さんが考える「息苦しくない家族のカタチ」ってどのようなものなのでしょう。「賢い離婚の仕方」から「アラサーの就活」「シングルママの恋愛」まで、日経DUAL羽生祥子編集長が直撃しました。
離婚は社会的失敗、か?
紫原明子(しはら・あきこ)
1982年、福岡県生まれ。高校卒業後、音楽学校在学中に起業家の家入一真氏とインターネットのコミュニティーサイトを通じて知り合い、結婚。その後、2人の子どもに恵まれ、2014年、家入氏が東京都知事選出馬を決意したタイミングで離婚、現在は14歳と10歳の子を持つシングルマザー。ブログ「手の中で膨らむ」が話題となり執筆活動を本格化、『cakes』『SOLO』など多くのウェブ媒体に人気連載を持つ。また、フリーランスで企業とユーザーのコミュニケーション支援やウェブメディアのコンサルティング業務等も手掛ける。「ウーマンエキサイト」では、泣いている赤ちゃんに慌てるママに向けて「大丈夫だよ」を伝える「泣いてもいいよ!」ステッカーを作るなど、「WEラブ赤ちゃんプロジェクト」を発案。6月には初の著書となる『家族無計画』(朝日出版社)、8月には『りこんのこども』(マガジンハウス)を出版
羽生編集長 18歳で起業家の家入一真さんとご結婚されて、19歳で第一子を出産、現在33歳の紫原さん。もう中2と小学校高学年になるお子さんがいるんですもんね。ご著書『家族無計画』を読んで「若干33歳なのに、もう50歳女性くらいの経験を積んでいる!」と恐れ入りました(笑)。今回は主に、「離婚のリアルとノウハウ」を教えてください! 家入さんと離婚されたのは31歳のときですね。周囲にはシングルママになって「せいせいした!」というママ友が多いのですが、紫原さんの場合は、100%カラッとしているわけではなくて、もう一度チャンスがあれば、再婚を「勝ちゲーム」にしてのし上がりたいという思いもおありのようで…。そんな思いがシングルママさんにはあるのか! と正直驚きました。
紫原明子さん(以下、敬称略) 女性って、子どもがいなくても楽しんでいる人が勝ちとか、逆に子どもがいても不幸なら負けというように、結局、<心持ち次第のところで張り合っていますよね。それは離婚についても同じで、せいせいした部分はありますが、一方で社会的に失敗だと思う人も多くて。もともと一緒にやっていこうと思って連れ添ったのに、やっていけなくなったわけだから。それに対する風当たりを感じることもあるので、精神的に弱った時などに、私のこういうところがよくなかったのかなぁとひとりで反省会を開いてしまうみたいなところがあるんです。
あとは、誰かと距離を縮めようとしたときに、ここでグイッといき過ぎちゃうとダメかなぁとか、失敗から学ばなきゃという思いで自分を制してしまったり。ふとしたときに、離婚を失敗だと思っている自分に気づくことがある。ただ、昔のほうが苦しかったので、今のほうがすっきりしているとは思います。