登録日:2011/08/09 Tue 18:35:42
更新日:2024/12/10 Tue 18:19:09
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家の外壁、樹の根本、幹、畑の野菜や生垣……庭中を隈なく探し回り、美しく輝く宝石のようなものを集めた経験はないだろうか。
空蝉……それはセミの抜け殻の事である。
日本語的には他にも色んな意味合いがあるが、この項目ではセミの抜け殻たる空蝉について説明する。
<セミの抜け殻たる空蝉>
セミは幼虫から成虫に至る過程でサナギを経ない、所謂
不完全変態を行う昆虫である。
そして、幼虫が3~17年もの年月を経て地上に進出、成虫になる際の脱皮の後に残されるのがこの
空蝉なのだ。
昆虫の外皮なため、甲殻類の殻と同じキチン質やキトサンでできているが中身が空という事もあり非常に脆い。
拾った空蝉をうっかりクシャッとしてしまったり、ポッケに入れてそのままにし後日ママンに叱られた人も多いのではないだろうか。
なお、キチン質もキトサンも基本的には無害なので空蝉は実は
可食物質だったりする。
それどころか
蝉退という名で生薬としても利用され、止痒や解熱に効果があるとか。
ジャイアンの某料理にも欠かせない食材である。
また、子供達の間ではやたら大きな空蝉を見つけた者、もしくはペットボトル一杯になるまで空蝉を集めた者は勇者扱いされる事もしばしば。
ここまで来るともはや笑えないレベル。
集めた空蝉はその後どうなるのかって?ママンにでも聞いとくれ。
<空蝉の種類と見分け方>
●アブラゼミ&ミンミンゼミ
最もポピュラーな空蝉。
その飴細工のように繊細且つ透き通った造形美は、見る者全てを魅了する大地の宝玉と呼ぶに相応しい逸品。
ミンミンゼミのそれはややアブラゼミに近いが、多少色が薄めで黄色っぽさが強い。
また、触角に毛が少ないのがミンミンゼミ、触角の第三節が第ニ節より長いのがアブラゼミという見分け方もある。
この違いが分かってこそ空蝉マイスターを名乗れるというものである。
●ニイニイゼミ
全体に泥がついているので一目瞭然。
あまり綺麗とは言い難いためか、チルドレンにはハズレ扱いされる事もしばしばでありいささか不遇な空蝉。
しかし、そのミニマムなサイズはなかなかにプリティーである。
まさに可憐な空蝉界の乙女と呼ぶに相応しい。
●ヒグラシ
アブラゼミより一回り小さめで、やや細めのボディラインが特徴のグラマラスな空蝉。
●ツクツクボウシ
ヒグラシに似ているが、少しばかり独特の顔の造りをしているのが特徴。
面食いなガールズもイチコロである。
●クマゼミ
少なくとも4cmはあろうかというその力強い姿に、大いなる大地の響きを感じずにはいられない空蝉界の巨獣。
重厚さときめ細かさを兼ね備え、まさに絶対にして絶大な魅力を放つ。その亀裂の中にあるのはもはや虚空ではなく子供達の夢と希望。
手に入れた者は勇者と讃えられ、羨望の眼差しを受け栄光を手にするだろう。
言わずと知れた最強の空蝉。
相手にもよるが、彼の存在ははかない物の象徴という空蝉のイメージを全面的に覆した。
<日本語としての空蝉>
空蝉の 身をかへてける 木のもとに
なほ人がらの なつかしきかな
――光源氏
「うつせみ」とは元来は「現し臣」であり、次第に「現そ身」となり、更に「現せ身」に転じたものと言われている。
万葉集の時代には生きている人間、あるいは人の世、現世の意に用いられていた。
だが、後に「空せ身」……即ち空しき人の身、魂のぬけ殻という反対の意味に転じていったという。
そして、その有様と蝉が遺していった抜け殻とが重ね合わせられ、「空蝉」となっていったと言われている。
現代の
俳句において「空蝉」は夏(晩夏)の季語。
もちろん、「セミの抜け殻」として扱って構わない。
我々が「空蝉」という単語を耳にする最も多い機会は、いわゆる忍法の『空蝉の術』であろうか。
これは、主に衣服などを本体とは別の場所に、さも人がいるように見せかけて配置することで、相手の誤認を招く術。
セミの抜け殻は「いるように見えて中身はすっからかん」であることが由来とされている。
もしくは、攻撃を受けた際に衣服だけを残し、本人はそこから脱している状況を作る術。
よく混同されがちな「変わり身の術」は、文字通り、身を丸太などの別のものと変える(入れ替わる)ことで攻撃をかわすものが多い。
この抜け殻は…
試練を乗り越え大空を手に入れた勇者の証なのでゲソ!!
私もアニヲタたちを見習っていつか地上を侵略するその日まで忍耐強くこの項目を追記修正するのでゲソ!!
クシャッ
- 雷鳴の勇者(29)「………」 -- 名無しさん (2013-10-10 08:20:12)
- キトサンって特防努力値を上げるアイテム… そんなことはともかく、空蝉の術って変わり身の術とどう違うんだろう -- 名無しさん (2013-10-10 09:22:02)
- ↑いろいろあるらしいが、一般的には丸太を使わないこととか聞いたことはある。 -- 名無しさん (2014-03-11 15:04:53)
- 去年、田舎の親戚の家で11月なのにいまだにセミの脱け殻が残ってて驚いた。 -- 名無しさん (2015-10-10 18:25:00)
- 地元はクマゼミだらけだからか、空蝉は寧ろミンミンゼミやニイニイゼミの方がレア物だったりする。 -- 名無しさん (2017-07-04 11:09:45)
- 庭のあちこちから集めた抜け殻を網戸にびっしり並べて親に怒られたことがある。 -- 名無しさん (2019-02-21 19:12:34)
- 初めてこの単語を知ったとき、あの蝉の抜け殻に対してこんなに美しい呼称があることに驚いた。 -- 名無しさん (2019-02-21 19:47:41)
- 日本語の良さが表れてるよね。 -- 名無しさん (2019-03-31 19:59:08)
- 源氏物語にも使われ、エロラノベ作家のペンネームにもつかわれている優雅な日本語 -- 名無しさん (2020-02-12 16:15:58)
- シチューの材料・・・もう書かれていたか。それ自体は無害とはいえ、そのまま使うのは衛生上問題がありすぎる -- 名無しさん (2020-02-12 16:25:46)
- ここからどうして、忍術の空蝉の術の名前につながったのかな。知っている師がいたら教えてくだされい。 -- 名無しさん (2020-02-12 16:51:20)
- セミの抜け殻は「いるように見えて中身はすっからかん」だから。 -- 名無しさん (2020-02-12 17:40:05)
- ↑ ほわあああ(感謝 -- 名無しさん (2022-09-03 19:53:06)
最終更新:2024年12月10日 18:19