登録日:2011/10/30 Sun 20:54:00
更新日:2024/11/30 Sat 17:16:51
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ドードー
鳥綱ハト目ドードー科
Raphus cucullatus
(仮名転写:ラプス・ククラートゥス)
ドードーとは、アフリカ大陸南東部・モーリシャス島を中心としたマスカリン諸島に生息していた鳥類の一種。「ドードー鳥」や「ドド」とも言う。
モーリシャスドードーとロドリゲスドードー(ソリテアー)の二種類に分類されるが、その両方が絶滅している。
また、かつてはレユニオン島にシロドードーがいたとされていたが、現在ではドードーの仲間とは認められておらず、飛翔力の弱いトキの仲間を誤認したものとされている。
●目次
〇「発見」から絶滅まで
時は1500年代初頭・大航海時代…
アフリカ大陸を抜け、インド方面への航路を探していたポルトガル人の手により、マスカリン諸島が発見される。
1598年、オランダのファン・ネック艦隊はモーリシャス島で発見された奇妙な鳥について初めての記録を残した。そう、本項目の主人公・ドードーである。
名前の由来は、鳴き声の擬音からともポルトガル語の「間抜け」という意味とも言われており、属の学名もラテン語で「魯鈍」を意味する。
1m近い巨体に、湾曲した大きな嘴、羽毛に覆われていない顔などと、比類なき形態を有する上に、
動作の緩慢さと、(
無人島の動物特有の)人間への警戒心の薄さから簡単に捕らえられてしまい、食用や観賞用としてヨーロッパへと運ばれていった。
ちなみに、江戸時代の
日本にも出島に持ち込まれていて、日本の記録にも残っているが、日本人の美意識には合わなかったようで売買は行われなかったらしい。
また、島にはそれまで存在していなかった
犬や
ネズミが野生化し、ヒナや卵を食い荒らすようになり生息数は激減。
1681年にはモーリシャスに住むドードーが姿を消し、ロドリゲス島のロドリゲスドードー(ソリテアー)も1708年を最後に目撃証言が途絶えた。
〇生態
ただ面白い鳥ということでこれといって学術的に注目されてこなかったのが原因で、実はあまりよくわかっていない。
後述する剥製管理の杜撰さも、ドードーがたいして人間にとって注目されていなかったことを示すエピソードである。
例えば動きが愚鈍だった、人間を警戒しなかった、というのも今では怪しいと言う説も浮かんでいるくらいである。
実際、ドードーの羽で叩かれた、その大きな嘴で突付かれた、という話もあり、入植者にも嫌われていたという話もあるくらい。
繁殖期は特に気性が荒かったとのことなので、単に虫の居所が悪かっただけかもしれないが…。
肉は脂が多く、煮込むと肉が固くなることから味が悪く嫌われていたが、保存食としての価値を見出されてからは食用としての需要も伸びたようである。(後述)
飛べないというだけあって陸上生活を基本としており、巣も地上に作っていた。そしてその巨体に見合ったデカイ卵を一個だけ産み、一羽ずつ育てていたらしい。
ただこの卵はネズミなどに食べられてしまったとか。
〇絶滅後
捕らえられた数とは裏腹に、ドードーの剥製や標本は殆ど残されておらず、完全な状態で残された剥製は1683年に作られた物が唯一だった。
しかし1755年にあまりにも汚くなった為に焼却され、比較的状態の良かった頭部と脚のみが残された。
チェコのストラホフ修道院の図書館には、全身をチャコールでコーティングされたドードーが展示されている。
……が、実際はエイのミイラを加工してドラゴンに仕立てたもの。要は河童のミイラみたいなもんである。
2006年にはかなり状態が良い化石をオランダの調査隊が発掘。
〇フィクションにおけるドードー
何と言っても、世界的に知名度を高めたのは『不思議の国のアリス』だろう。物語序盤で登場し、不思議の国の住人の御多分に漏れず人語を話す。
日本では『
ドラえもん』で、
のび太が絶滅した動物を一ヶ所に集めた島を作ろうとする話(「モアよドードーよ永遠に」)に登場。
この選択が後にのび太を救う事になる(大長編ドラえもん『
のび太と雲の王国』)。
- 「Final Fantasy XIV」にもモンスターとして登場。様々な生産修行用素材を落とし数が多いため狩られまくる。
- 「マリオのスーパーピクロス」にもこの生物をモチーフにした問題が出た。ワリオのピクロス(時間無制限+ヒントなしの上級者向けルール)で登場。ただし表記は「ドゥードゥー」である。
- 「ポケットモンスター」には「ドードー」というポケモンが登場するが、外見は特に似ておらず設定についても元ネタにはされていないようである。
そもそもポケモンの方はDoduoで、本家の方はDodoである。
- PS2ゲーム「Neo Atlas」にも交易品として「ドードーの帽子」が登場。
高く売れるが史実同様絶滅するイベントもある為、大事にしたいのなら売りに出さない事。
- 「アンパンマン」ではドードーが生き残っている島が存在している話がある。
- 「ハリー・ポッター」シリーズでは、「ディリコール」の別名で生存している設定。
姿を消す能力があり、そのためマグル(魔法使いでない普通の人間)はこの鳥が絶滅したと勘違いした、とされている。
- ザ・ペンギンズfromマダガスカルでは、「最後のドードー」というエピソードに登場。コワルスキーの発明で復元されるも、ちょっとしたアクシデントですぐに死んでしまうキャラクターとして登場。
- NHKの人形劇「海底2万里」ではネモ船長のペットとして登場。「ドードー」と鳴く。
- 「あつまれ どうぶつの森」では、新登場の航空会社・ドードーエアラインズのグランドスタッフであるモーリー、及びパイロットを務めるロドリーが登場。無人島の行き来や通信の際にお世話になる。
ドードーエアラインズのシンボルマークもドードー鳥のシルエットで、飛べない鳥ながら飛行機の運行中は羽をバタつかせる涙ぐましいモーションを見せてくれる。
- Grand Theft AutoシリーズにはDodoという名のセスナ機が登場する。
GTA3では主翼が水平尾翼と同じくらいの長さまで切り取られており、まさに「飛べない鳥」といった有様。一応、非常に飛ばしにくいだけで全く飛べないわけではない。
GTASAでは主翼が健在で、普通に飛ばす事のできる普通のセスナ機。
GTAVでは脚にフロートを付けた水上飛行機として登場。主翼も普通に付いており普通に飛べるのだが、過去作では「Skimmer」という名前だった。
- ロックバンド「the pillows」の楽曲にドードーを題材とした『Wake up! dodo』がある。歌詞で「ぶ厚い羽」の「飛べない鳥」に言及している他、PVではバンドのマスコット「バスター君」と共にドードーが登場する。アルバム『Wake up! Wake up! Wake up!』の事実上の表題曲。
〇その他
- 愚鈍なイメージのあるドードーだが、上記にもあるように1m近い巨体だった上に、意外と気性が荒い一面もあり、モーリシャスの探検隊はよく噛まれたらしい。
- モーリシャス政府は1968年に独立した際に国鳥に制定。絶滅した鳥を選んだ国は今のところモーリシャスのみ。
独立前から使われていた国章にもドードーが描かれている。
- 鳥類研究家の間では、ドードーを詳細に研究した人は早逝するというジンクスがある。
日本人では蜂須賀正氏侯爵がまさにそれで、早逝のみならず、
女性がらみの醜聞・自殺未遂・自家用飛行機の墜落事故・爵位取り上げ(蜂須賀小六直系の名門)・研究論文出版直前に逝去(享年五十歳)
と散々な生涯を送った。
- 食用にされたとあったが、実際にはドードーの肉は長く煮込んでも硬い上、脂が多過ぎてマズかった。ついたあだ名は「ヴァルクフォーゲル(オランダ語)」。
剥製が当時の技術で作れなかったのもこの脂が要因(作ってもすぐ腐ってしまう)。
ただし保存技術の未熟な時代、寄港地で容易に入手できる肉というのはかなり利用価値が高く、不平不満とは裏腹にかなりの勢いで船員のお腹の中に消えていった。(その際は、塩漬けの干し肉にして何とか食べていたとの事。)
そして、食用をやめた頃には、もう遅かった…。
- ちなみに、現在のクローン技術で再生させる事は理論上は可能だが、
モーリシャス島はもうドードーが生きられる野生環境ではなくなってしまっている為、あまり再生させる意味がない、との事である。
(せいぜい動物園で見世物にされるのがオチ。確かにこれでは本当の意味で蘇ったとは言えないだろう)
- ドードーの絶滅後、ある学者が島に調査しにいったところ、その島にのみ生息しているタンバラコクという固有種の木が老木しか見つからなかったという。
これはドードーがその木の実を食べ、糞として排泄されてから初めて発芽できるようになっていたためである。
ドードーの絶滅がこの木にとっても大きく影響しているということである。
なお、タンバラコクは近年自然界で若木が発見されており、この説には異議が唱えられるようになってきているようである。
追記・修正は祟られるのを覚悟の上でお願いします。
- ライオンファンガイアのラッパ吹いてる彫刻の下に注目。 -- 名無しさん (2013-10-25 17:08:57)
- ディルドー?(難聴) -- 名無しさん (2013-10-25 17:38:44)
- 復活させる意味がなくなってしまったっていうのは正論だけど悲しいよな… -- 名無しさん (2013-12-10 12:03:33)
- ↑正論には常に悲劇が付きまとうのさ…… -- 名無しさん (2013-12-10 12:23:28)
- マジバケにも出るね。あれは呪いでほかの生き物が変わった姿だけど。 -- 名無しさん (2014-03-01 01:45:44)
- トリコのビリオンバードの元ネタはこれって話もあるそうだね -- 名無しさん (2014-03-03 22:14:42)
- ソウルキャリバー4で -- 名無しさん (2014-04-21 23:09:16)
- ↑投稿ミス。ソウルキャリバー4でこいつが走り回りまくってるステージがある -- 名無しさん (2014-04-21 23:13:51)
- しかしポケモンの方とは似ても似つかぬな。 -- 名無しさん (2014-04-22 06:13:08)
- ちなみに当時の日本にも持ち込まれたらしい。見栄えのいいものじゃないのであまり日本人の注意はひかなかったようだが。 -- 名無しさん (2017-09-24 21:11:47)
- どこかのマンガでみたけどドードーの雛鳥は人間が持ち込んだサルとか見れば大好物だったから狙われ続けて次の世代残せないで絶滅したとか聞いたことあるけどホンマかいな? -- 名無しさん (2018-09-09 18:57:05)
- 近年のアフリカ、特に南側は、ヒヒがレイヨウを襲って食うそうだし意外と嘘でも無いかも。 そういう雛を襲うのは猫だと思うが。 -- 名無しさん (2018-10-16 00:37:08)
- 個人的にはWake up! dodoのイメージが強い。公式MVも味のある名曲 -- 名無しさん (2019-08-31 10:42:12)
- 化石が存在するほど息が長い種だったんだな。共生に近い関係にある木もあるし -- 名無しさん (2019-11-05 19:53:22)
- SCPにもあるけどね。 -- 名無しさん (2019-11-24 11:41:19)
- ゼロワンではこれがモチーフであるドードーマギアが第1、第2、第3形態に進化していく他、直属戦闘員のヒナ、仮面ライダー雷、アークマギア(ドードータイプ)と大活躍。 -- 名無しさん (2020-01-05 14:26:36)
- ↑もう書いてある事をわざわざコメントする意味ってあんの? -- 名無しさん (2020-01-05 14:43:20)
- 「荒野のコトブキ飛行隊」にもドードー船長なる鳥のキャラクターが登場するが、人語を解する、地図を読める、剥製のふりをして敵を欺く、男女の機微を理解した上で男を煽るなど、鳥離れした知能の高さを見せるので本当に我々が知る鳥のドードーなのか疑わしい。あと空を飛ぶし。 -- 名無しさん (2020-04-20 12:16:19)
- 共生の木を含めて生きられる環境ごと復活…ってのはやっぱり難しいか -- 名無しさん (2020-04-20 12:43:59)
- どうぶつの森の世界だと元気に飛行機のパイロットやってる -- 名無しさん (2020-04-20 12:44:57)
- このテの話を聞くと人間の罪深さがキツいが、それが結果を知ってるがゆえの「お前らなんてことを!」「おお、かわいそうに…当時の人間許せん」的なもんなのかな -- 名無しさん (2020-09-09 20:23:25)
- ドードー研究家が早逝するのはドードーの祟りだろうか...... -- 名無しさん (2020-09-09 20:47:41)
- 子供のころ不思議の国のアリスで知って、しばらく空想上の鳥かと思ってた -- 名無しさん (2020-09-24 23:16:42)
- ↑3 まあ結果論だね。生きる為には狩ったり交易しないといけないし、なんなら動物保護って感覚もほとんど無かっただろうし -- 名無しさん (2020-09-24 23:38:38)
- 『フランメルズの大冒険』に登場するドッティは知的で大人な女性(雌)というドードーモチーフのキャラクターとしては特異な性格になっている -- 名無しさん (2021-11-24 19:17:51)
- 澁澤龍彦がドードーの噺を書いていたはず -- 名無しさん (2022-01-21 14:43:00)
- ドードー(本物) -- 名無しさん (2022-01-21 15:10:29)
- ドド(それいけ!アンパンマン) -- 名無しさん (2024-10-26 23:24:44)
最終更新:2024年11月30日 17:16