登録日:2009/07/23 Thu 23:42:41
更新日:2024/12/30 Mon 18:30:13
所要時間:約 16 分で読めます
アルバス・ダンブルドア(Albus Dumbledore)とは、
ハリー・ポッター・シリーズの登場人物。
生没年:1881~1997
フルネームは“アルバス・パーシバル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドア”(Albus Percival Wulfric Brian Dumbledore)。
今世紀で最も偉大な魔法使いと称される。
演:リチャード・ハリス(1~2)/マイケル・ガンボン(3~)/ジュード・ロウ(ファンタスティック・ビースト)
吹き替え:永井一郎(劇場版&
ゲーム4以後)/大木民夫(
ゲーム1~3)/
森川智之(ファンタスティック・ビースト)
毛髪の色は銀色。ただし加齢によるもので、若いころは鳶色だった。
目は鮮やかなブルーで、人々からは「内心まで見透かされそう」といわれる。
かなりの高齢だが背は高く、腰も曲っていない。走る速さはハリーが追いつけるかどうかというレベル。
茶目っ気たっぷりでユーモアに溢れ、生徒から絶大な信頼を受ける
ホグワーツ魔法魔術学校校長。
かつては“変身術”を担当していた。
趣味は室内楽とボーリングで編み物も嗜むらしい。
彼が創り出す守護霊も所有するペットも飼育困難な“不死鳥”。フォークスという名前をつけている。
ちなみに、このフォークスの尾羽が
ハリー・ポッターとヴォルデモートの杖の芯に使われている。
グリンデルバルドとの決闘を語り継がれる
他者と隔絶した魔法力を有する。“
不死鳥の騎士団”創設者として第一次魔法戦争の頃からヴォルデモートへの抵抗組織を率いていたが、その強さは老いてもなお
ヴォルデモート卿も積極的な戦いを避けるほど。
ニワトコの杖によって魔法力が大きく増幅された状態だったとはいえ、2人の闇祓い(キングスリー、ドーリッシュ)、アンブリッジ、ファッジを僅かな時間で叩き潰し、ヴォルデモートと
魔法省で戦闘になった際はヴォルデモートを
許されざる呪文の使用を縛った上で圧倒してみせた。
もっとも、6巻では自身の衰えとヴォルデモートの強さに大きな動揺を受けたとスネイプが語っていたり、スラグホーンに自分が鈍く遅くなったと自嘲するなど寄る年波には勝てない様子。
ダンブルドア自身も"ホグワーツ始まって以来の秀才"の呼び声が高かったが、半世紀後に現れたトム・リドル(在りし日のヴォルデモート)に同じ称号を取られている。
その上ハリーに対し「自身がどれほど強力な保護呪文をかけたとしても、完全に力を取り戻したヴォルデモートからは守り難い」と告白しており、加えてヴォルデモートにかけられた闇の魔術に対する防衛術の教授職の呪いを20年以上解呪できていないところを見るに、地力の魔法力や闇の魔術の知識でヴォルデモートの後塵を拝している感は否めないようだ。
しかし、作者のJ.K.ローリング女史がファンサイトにて語ったところによれば、「ニワトコの杖の芯材に用いられたセストラルの尾の毛は、死を目撃した者しかセストラルを見られないように、死を受け入れることができる魔法使いが主人でないと扱うことはできない」とのこと。
例えニワトコの杖の忠誠心を正しい手続きで奪ったところで、誰よりも"死"を恐れたヴォルデモートがダンブルドアの様に杖の力を真に引き出せたかは甚だ疑問である。
「結局、きちんと整理された心を持つ者にとっては、死は次の大いなる冒険にすぎないのじゃ」
アルバス・ダンブルドアの最大の強さとは、彼の深き知性にこそあるのだ。
蛙チョコレートのカードによると、
- “最強の闇の魔法使い”ゲラート・グリンデルバルドを破る。
- ドラゴンの血の12種類の使用法を発見
- ニコラス・フラメルとの錬金術の共同研究
その他様々な功績を立て、勲一等マーリン勲章を授与された他、大魔法使い、
魔法戦士隊長、最上級独立魔法使い、国際魔法使い連盟議長、ウィゼンガモット最高裁主席
魔法戦士…………と様々な称号、肩書きを有する。
そんな
作中最強クラスのジジイであるばかりか、心から悔い改めているならば大きな過ちを犯した
セブルス・スネイプやドラコ・マルフォイ、あのヴォルデモートにさえ、やり直しのチャンスを与え、仲間として受け入れる
寛大さをも持ち合わせている。
一方で半ば押し付けるような形でハリーをダーズリー家に預け、様々な損害を与えながらも碌にフォローもしないなど、妹の一件があったためかマグルに対しては何処か冷淡な一面も持つ。
能力だけではなく
知識や洞察力といった面でも群を抜き、あらゆる疑問に的確な答えを指し示す。
古代の魔法について調べる、水中人の言語を使用できるなど、魔法界の多くの知識に通じ、また人間に対しても深い洞察力を備えている。
魔法使いは魔術に通暁すればするほど、対人スキルや論理パズルに疎くなりがちと言われる世界で、彼はその双方に長けているという希有な例である。
それでいて夢想家というわけでもなく、
吸魂鬼や巨人などが敵となり得ると懸念し、吸魂鬼に対しては魔法界からの追放を、巨人に対しては味方側に引き込むことを提唱している。
それだけ巨人の力を懸念しながらも、その血を引くハグリッドに対してはその個人の精神を見抜いて全幅の信頼を置くあたりがダンブルドアの慧眼の真骨頂と言える。
ただし一部は彼でも読めなかったことはある。
トム・リドルや死喰い人の陰謀の他には、悪戯仕掛人が密かに動物もどきの術を習得していたこともそう。
ただし後者に対しては「まことにあっぱれじゃ。わしにも内緒にしていたとは、ことに上出来じゃ」ととても嬉しそうにしていた。
6巻あたりになると、
多くの人間の心理を読み取ったうえで、手を下さずともすべてを思いのままに操るという
どこぞの暗黒卿じみた
知略を(表で)発揮しはじめ、もはや本人がいなくても、すべてを己のプランのうちに収めていた。
もちろん不確定要素があったし、さまざまに修正したが、それは同時に「多少のイレギュラーは誤差の範囲」「失敗を見越した流動性」「失敗したときの修正が巧みだった」ということでもある。
かつての弟子はこれだけは学ばなかったらしい
1巻『賢者の石』
2巻『秘密の部屋』
『秘密の部屋』の怪物が現れ、生徒や動物、ゴーストたちが次々と石化していくが、半世紀前に開かれたときと同じくダンブルドアには詳細が分からない。
さらに理事会を牛耳る
ルシウス・マルフォイの陰謀によりホグワーツ追放処分を受けそうになるが、一度出奔して帰還。
バジリスクと戦っているハリーに、フォークスと組み分け帽子を送り届けた。
3巻『アズカバンの囚人』
4巻『炎のゴブレット』
5巻『不死鳥の騎士団』
魔法省からネガティブキャンペーンを受け、
ガマババァ達によりアズカバン送りにされかけるが、一瞬の内に全員をKOして逃亡。
神秘部の戦いでは
不死鳥の騎士団としてハリーたちの救援に現れ、ヴォルデモートと戦った。
その後、ハリーに予言のことを伝える。
6巻『謎のプリンス』
ハリーに個人授業としてヴォルデモートに関する様々な記憶を見せる。
終盤ハリーと共に分霊箱の1つを探しに出かけるも、そこで大きなダメージを負ってしまう。
ホグワーツ帰還直後にマルフォイに武装解除をかけられ(この際ニワトコの杖の忠誠心がマルフォイに移動してしまった)、
その後スネイプに(事前の合意の上で)殺害された。
7巻『死の秘宝』
校長室の肖像画より、校長となったスネイプに指示を出していた。
また、アバダ・ケダブラを受けたハリーの頭の中に登場。
2度目の呪文を受けてまたハリーが生き残れた理由や、ハリーがヴォルデモートの分霊箱であったことなどを語った。
また自分の過去について語り、妹に対する自責の念を語った。その後ハリーが再びヴォルデモートと対峙することを後押しした。
6巻開始前にヴォルデモートの分霊箱を発見するが、その破壊の際に凶悪な呪いにかかり、余命一年になってしまう。
そこでスネイプと示し合わせ、彼に
自分を殺させる予定を立てることで、自身が持つ“死の秘宝”の1つ“ニワトコの杖”を葬る計画を立案する。
結果的にこの計画は失敗してしまうが、そのお陰でハリーはヴォルデモートを打ち倒すことができた。
7巻にて3人組に遺品を遺していたことが明らかになる。
を託した。
これらは後に重要な意味を持つ。
また、ハリーには“
グリフィンドールの剣”も贈っていたが、重要文化財のため
魔法省に遺贈拒否された。
「わしには才能があった。優秀じゃった。わしは逃げ出したかった。輝きたかった。栄光がほしかった」
「あの者の考えがどんなにわしを惹きつけたか、どんなに興奮させたか、ハリー、きみには想像できまい」
実は、グリンデルバルドとは短い間ながらも親友関係にあった。
ダンブルドアの入学前に妹アリアナがマグルの少年に襲撃され、ショックで妹は魔法を制御不能になり、
父パーシバルはマグルに復讐してアズカバンに送られ、その後死亡。
一家はゴドリックの谷へ移住し、母ケンドラがつきっきりでアリアナの世話をするようになる。
当初は「犯罪者の息子」という見方もされたものの、入学後1年経たないうちに「ホグワーツ始まって以来の秀才」と謳われる。
在学中の功績としては、監督生および首席になった他、学校の賞という賞の獲得、
「秀でた呪文術へのバーナバス・フィンクリー賞」や「カイロにおける国際
錬金術会議での革新的な論文による金賞」などのさまざまな賞の獲得、
自身が執筆した多数の学術論文の「変身現代」「実践魔法薬」「呪文の挑戦」等への掲載、ウィゼンガモット最高裁への英国青年代表などがあり、
また錬金術師ニコラス・フラメル、歴史家バチルダ・バグショット、魔法理論家アドルバート・ワフリングなど、当時の著名な魔法使いと交流をしていた。
入学初日より同級生のエルファイアス・ドージと友達になっており、友人たちはアルバスを模範として見習い、アルバスも友人たちを常に手助けしたり激励していた。
ホグワーツ卒業直後、友人のエルファイアス・ドージと卒業世界旅行計画をしていたが、妹アリアナの発作により母が亡くなってしまったため、
家長となった彼はゴドリックの谷にある実家に留まることになる。
しかし、才能ある魔法使いとして将来を期待されたダンブルドアにとって、妹の面倒を一生見なければならないという人生は苦痛でしかなかった。
実を言うと、弟のアバーフォースは自分が家族の面倒を見ると主張していたのだが、それはアルバスのほうが認めず、彼を学校に行かせたという。
弟はホグワーツに行かせて自分は妹の面倒を見るといったのも、それにすぐに飽きたことを考えると、それが「立派な家長の取るべき選択肢」だから選択したに過ぎず、
アバーフォースが抱いていたような「家族を守りたい」という思いからではなかったのだろう。
しかしそれは、弟妹はもとよりアルバス自身の人間性も無視したいびつな選択に過ぎず、やがて家族関係の亀裂を招く。
そんな時、すでに偉大な闇の魔法使いとして成長していた
ゲラート・グリンデルバルドがゴドリックの谷を訪れた。
同じく素晴らしい才能に溢れ、同じく壮大な野心と向上心を抱いていた二人はすぐに意気投合し、魔法族がマグルを支配する計画を立てたり、“死の秘宝”の探求を行ったりした。
グリンデルバルドに協力したのは、単に彼との絆だけが理由ではなく、
革命の指導者となり栄誉を得ることや、死の秘宝を揃えて無敵になることに対する憧憬や野望、冒険的な愉しさの追及、
そしてなにより、“死の秘宝”の蘇りの石があれば両親が蘇って、自分は妹の世話から解放されるのではないか、と考えがあったからである。
だが、そんな生活をして妹をほったらかしにしていた兄に、弟アバーフォースがついに激怒する。
アバーフォースは兄とグリンデルバルドに詰め寄るが、兄の親友だったグリンデルバルドがあろうことかアバーフォースに“磔の呪文”をかけた。
それがきっかけで三つ巴の争いが起こり、それに巻き込まれてアリアナが死んでしまう。アリアナの葬式では怒った弟に鼻を折られている。
一方グリンデルバルドもダンブルドアと決裂し、彼と温めた計画を持って
逃げるように帰国し、後年決闘するまで会うことはなかった。
また、作者は後日、ダンブルドアの前にものまね妖怪のボカードが現れた時は妹の死体の姿になると語った。
おそらく、後年ダンブルドアは妹を死なせてしまったことを後悔していたのだろう。
自身の呪いで妹を死なせてしまったのではないかと慄き、その真偽が明らかになることへの恐れからグリンデルバルドとの対決を避けていたが、
ついに対決した際、グリンデルバルドに勝利し、グリンデルバルドからニワトコの杖の忠誠心を得ている。
上記の一件が切っ掛けでダンブルドアは自分が権力と名声に弱いことを知り、何度も魔法大臣になるよう請われても拒否し続け、教師としての人生を貫いた。
また、分霊箱破壊の際に呪いにかかったのもそれが“死の秘宝”の1つ“蘇りの石”だと気づいてしまったため。
亡き父、母、妹に会えると思って正気を失い、石で造られた指輪をはめたことで呪いにかかってしまった。
若いころのダンブルドアはいろいろな意味で不安定であったが、実はこの不安定さは老いてからも決して克服してはいなかったのだ。
むしろ、自分という存在への自己嫌悪、自分の判断に対する自己不信の念が深く根付いてしまった。
作中、しばしばあり得ないぐらい迂遠な策略を展開したのも、一つには悩みながら行動し、結果として対処が遅れたからである。
(例えば一巻だけをとっても、クィレルの正体を知っていたのだから、彼を直接倒してヴォルデモートごと滅ぼすなり、
賢者の石をさっさと破壊するなりできた)
本編におけるダンブルドアの本質は、「頭はいいのに自分を信じられず、失敗の可能性に恐怖して自縄自縛に陥り、結果として後手に回ってより苦悩を続ける」という、
グリフィンドール生の重視する「勇気」とは対極に位置する、臆病な人物であった。
ハリーからは、あまりの秘密主義ゆえに疑念を抱かれたこともある。
周囲があまりにも「偉大な老賢者」とばかり見るため、
そのようにしか振る舞うことができず、自分の悩みを打ち明けたり相談したりすることができなかった、そんな孤独な老人という一面もあった。
(実際、一巻時点で「みぞの鏡」を前にして「本当の自分は暖かいソックスが欲しいのに、周りは本ばかり贈ってくる」と嘆く場面がある)
総じて、自縄自縛に陥りひたすら「苦悩の悪循環」ばかりしていたのが本編におけるダンブルドアの本質だった。
しかし彼は、ついに死ぬまでそれを誰にも打ち明けられなかった……。
だがその死後、ハリー・ポッターはそうしたダンブルドアの「心の弱さ」を理解し、かつては理想化し、一度は幻滅したダンブルドアを許すことができた。
死ぬまで孤独だったダンブルドアは、死んでからは一人だけでも真の理解者を得たのだ。
後年、ハリーは自分の次男にダンブルドアとスネイプの名を取って『アルバス・セブルス』と名付けている。
彼は兄妹の中で一番ハリーに似ており、また唯一祖母であるリリーの目を受け継いだという。
余談
シリーズ終了後に、実はゲイだった、という裏設定が公表された。
恋したのはグリンデルバルドその人。彼の理想を手助けしたのも、彼への愛が少なからず影響したと思われる。この設定に関しては原語版で、既にそのような事実を匂わせる記述があったという考察もある(「ハーマイオニーが二人の関係を知ったとき、遠回しに『ひと夏の過ち』的な言い回しをしていた」など。聡明な彼女はこの時点で、ダンブルドアがそのような思いを秘めていたことを薄々察していたのかもしれない)。
グリンデルバルドがその想いに気付いてダンブルドアを利用する打算的な関係だったのか、はたまた純粋に友人として接していたのか、
その点については作者は敢えて言及を避けている。
ただしこのグリンデルバルドの件がダンブルドアの恋愛観に深い影響を与えたことは確かなようで、彼は生涯においてこれ以降恋愛を一切やめ独身を貫いた。
アリアナの事件に対する自らの自戒なのか、グリデンバルドが自分の恋愛感情を利用していたと考えた末の恋愛に対する不信感なのか、名言はされてない。
余談だが、ダンブルドアは未来から来たハリーなのではないか?という疑惑が浮上したことがあったが、
作者に全否定されている。
初代ダンブルドア役だったハリス氏は当初引き受けるつもりは無かったという。
が、お孫さんに「ダンブルドア役をしないならもう口を利かない」と言われたので翻意したそう。お孫さんGJ。
スピンオフ映画「
ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」では、1作目に名前が登場。
主人公ニュート・スキャマンダーの退学処分に反対していたことが語られている。
2作目『Fantastic Beasts: The Crimes of Grindelwald(邦題:
ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生)』以降に出演するとされており、既に役者も発表済み。
さらに若いころの姿も登場するということで、
ゲラート・グリンデルバルドとの関係や、ゲイであることが描かれるとか……?
追記・修正よろしくお願いします
最終更新:2024年12月30日 18:30