登録日:2025/01/31 Fri 00:09:00
更新日:2025/02/18 Tue 23:44:36
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ザカライア・トレンチは、フィンランドのゲーム会社レメディー・エンターテイメントの作品間で共有される世界観「RCU(レメディー・コネクテッド・ユニバース)」の登場キャラクター。
翻訳のブレにより「ザカリア・トレンチ」とも表記されるが、「ザカライア」の方が英語圏での発音に近い。
<概要>
青い瞳とダークブラウンの髪の白人男性。
2019年10月29日までアメリカ政府の機密機関「FBC(連邦操作局)」の局長だった。
元々は勤勉で努力家で謙虚だったが、余剰次元「スライドスケープ36」に潜む超常的存在「
ヒス」の共鳴体に晒されてからは極度の際限の無い疲労と不安感に襲われ、認知症となり、更に疑心暗鬼に陥り周囲の人間を全て敵だと思い込むようになってしまった。
ケイトという元妻と、スザンナという病死した娘がいた。
RCUにおけるアレックス・ケイシーと並ぶ
マックス・ペインのセルフオマージュキャラクターであり、演者が同じことや皮肉と比喩を多用した語り口調などかなり露骨に似せている。
また、頻繁に
「痛み」について言及する。
<パラユーティリタリアンとしての能力>
「パラユーティリタリアン」とは、超自然的な実用アイテム「パワーオブジェクト(OOP)」に接触し、余剰次元「アストラル・プレーン」を介してアイテムの力が結合された
超能力者のことである。
アストラル生命体も参照。
トレンチは複数のパワーオブジェクトと結合している。
◎トレンチに結合したパワーオブジェクト
最初に発見されたパワーオブジェクト。
変形する「生きた」銃。
触れた人間はロシアンルーレットを強要され、FBCに協力する超常現象生命体「ボード」に認められた者はFBCの局長となる。
逆に認められなかった者は発射された弾丸により死亡する。ひっでぇ。
そのためサービスウェポンは局長の証と言える。
余剰次元の生命体と会話ができるダイヤルの無いダイヤル式電話機。
結合した人間はテレパシーのように脳内に通知のベルが鳴り響き余剰次元の生命体からのメッセージを受け取ることになる。
「ボード」との通信で重用される。
煙が上がり続けるタバコと灰皿。
突破不可能な変化する迷宮を作り出す。
結合者が許可した人間だけを進ませることができるため、最強のセキュリティシステムとなる。
投影した画像を異世界のスレッショルドにできるスライドプロジェクター。
使用可能な8つのスライドの内7つは焼けてしまったが、その焼けた一つをトレンチが個人的に所持していた。
結合した人間が得られる能力は不明。
<来歴>
・局長になるまで
一方でトレンチの家庭は、彼自身によって崩壊した。
まだ未熟だった彼は自宅に「仕事」を持ち帰ってしまい、それが原因で娘のスザンナが超自然的な病気になってしまった。
トレンチは娘をダーリングに診てもらうためFBC本部「オールデスト・ハウス」に連れて行こうとしたが、妻のケイトはそれに反対して一般の医療機関に娘を診せた。
通常の医学でスザンナを救うことは出来ず、スザンナは亡くなり、後にケイトとは離婚した。
この一連の経緯がトラウマになったトレンチは残りの人生を安全確保とFBCに捧げることになる。
また、当時局長だったブロデリック・ノースモーアは「局長」になってから権力に対し異常なまでに執着するようになり、それと比例するようにパラユーティリタリアンとしての力も増大していた。
やがて力を制御できなくなったノースモーアは、トレンチを嫌いながらも能力は認めていたため彼を後任の「局長」に指名し、自ら局長を辞退して「NSC(ノースモーア・サルコファガス・コンテイナー)発電所」のコアとなった。
なお、オールデスト・ハウスの全ての電力はこのNSC発電所により賄われている。
家族を失い、失う物など無かったトレンチはサービスウェポンに触れ、ボードに認められ局長となった。
・局長となってから
ノースモーアと違い権力や超自然的なものを信用せず、スザンナのような被害者を出さないためオールデスト・ハウスを守るために尽力する。
研究リーダー、オペレーションリーダー、通信部署リーダー、セキュリティリーダー、捜査リーダーの5人の幹部からなる「管理チーム」を結成し、自身の活動をサポートさせた。
また、制御不能な超自然的アイテムである「変貌アイテム」や制御不能なパラユーティリタリアン、
超常現象生命体を収容する「
パノプティコン」の建設を監督した。
さらに、ノースモーアのように後任者を選べない状況を避けるために見込みのあるパラユーティリタリアンを集めて局長の候補として育成する「第一候補プログラム」を始動。
しかし、「P1」~「P5」のコードネームを与えられた候補者はトレンチを失望させる結果に終わった。
・オーディナリーAWE
2002年9月14日、メイン州オーディナリーで起きた
2名を除く全ての住人が消失するという変貌世界事象の現場にダーリングと共にレンジャー部隊を従えて赴き、生存者の
ディラン・フェイデンと事象の原因となった「スライドプロジェクター」を確保した。
スライドプロジェクターで使用できる8つのスライドの内7つはディランの姉ジェシー・フェイデンによって焼かれてしまったが、焼かれた内の一つをトレンチは個人的に所有することにした。
FBCの検査によりディランはノースモーアを越えるパラユーティリタリアンであることが判明し、トレンチは彼を「P6」に指定する。
しかし家族へのトラウマからディランの教育はダーリングに丸投げしてしまった。
ダーリングは研究第一の
サイコパスであり、ディランを実験用ラットのように冷徹に扱った。
その結果、ディランはストレスから暴走をはじめ、最終的にはFBCに対して敵対的になってしまったため、仕方なく彼をパノプティコンに収容することになった。
第一候補プログラムは大失敗に終わった。
また、ダーリングは唯一の無事だった「スライド36」をスライドプロジェクターにセットすることで行けるようになる余剰次元「スライドスケープ36」の研究をするために次元研究部署を設立した。
トレンチは周囲の反対を押し切ってダーリングと共に「スライドスケープ36」の探索を実施し、そこで超常現象生命体「ヒス」の共鳴体に晒されてしまう。
その後、ダーリングと共に巨大な多面体型の超常現象生命体「
ヘドロン」を発見。
これをスライドスケープ36から運び出して次元研究部署の最奥に収容し、次元研究の入り口を「灰皿とタバコ」の力で封鎖し、ダーリングと彼の助手だけが通れるようにした。
・ヒスによる腐敗
トレンチはヒスにより腐敗しながらも、人間としての外見を完全に保ち続けていた。
しかしその影響は甚大で、極度の疲労と不安に襲われ、多くの時間を並行世界の交差点である「オーシャンビュー・モーテルとカジノ」で過ごすようになった。
また、ヘドロンと敵対するヒスの「ヘドロンは危険な共鳴体だ」という囁きを信じるようになり、警戒し始める。
更に、ヘドロンを研究するダーリングに対して「汚染され操られている」と思い込むようになり、その疑念は彼が「ヘドロン共鳴体増幅器」を無償で配布し始めた時に確信に変わっていった。
やがてはオールデスト・ハウス全体がヘドロンに汚染されてしまったと絶望し、「局長」としてこの状況を打破するには唯一の味方である「ヒス」を利用するしか無いと考えるようになる。
・ヒスの侵略
これによりオールデスト・ハウスが一時的に「連邦ナイトスプリングス局」の研究施設に置換される変貌世界事象が引き起こされる。
トレンチは登場人物の「局長」の役を演じさせられることになり、世界を救うためだと信じてノスタルジア・セクターにてスライドプロジェクターを起動し自身が所持していた焼けたスライドを使って「スライドスケープ36」のスレッショルドを開き、「生命体」を解き放つ。
「生命体」の役を演じさせられたヒスは最初にトレンチを腐敗させ、腐敗したトレンチの先導により瞬く間にオールデスト・ハウスはヒスにより侵略された。
こうしてトレンチは生涯をかけて守ろうとしたオールデスト・ハウスをたったの半日足らずで壊滅させたのであった。
全てアランのせいのようにも思えるが、闇の世界で書いた創作が現実に反映されるには筋が通っている必要がある。
そのためこの最期が成立するには家族を失った悲劇的な過去や17年間に渡りヒスに汚染されていたという事実、前提が必要であり、アランは最後にトドメを刺したに過ぎない。
・『Control』
「世界を救うために」ヒスを解放したトレンチは局長室に戻り、サービスウェポンで
自害した。
何故
自殺したのかは
全く不明だが、「ボード」により局長失格と見なされたとする説がある。
その後、ディランの姉ジェシーがその身に宿す守護天使「
ポラリス」の導きによりオールデスト・ハウスに辿り着き、銃声を聞いて局長室に足を踏み入れる。
ジェシーはトレンチの遺体のそばにあったサービスウェポンを拾い、
新たな局長となるのだった。
このように本編でのトレンチはプロローグで死ぬ。
しかし死後は余剰次元生命体となったようで、ホットラインと結合したジェシーに対し一方的に生前の心情を語りかけてくるようになる。
また、ジェシーが初めて訪れたエリアなどを解説するチュートリアルの役割も担っており、序盤で死んだのに出番はメインキャラ級となっている。
ジェシーはヒスを封じ込めようと奮闘するも、ヒスにより腐敗したディランが呼び込んだヒス生物の大群によりヘドロンは倒されてしまい、ヘドロンを自身の共鳴体の触媒にしていたポラリスも力を失ったことで、ジェシーは守護天使の守護を失いヒスにより腐敗してしまう。
そうしてヒスにより汚染されたジェシーの精神世界に、
ヒスに取り込まれたトレンチが現れて彼女を引き込もうとする。
しかし超常現象生命体「
アーティ」の助言もありジェシーは
「ヒスは敵」という認識を崩さずにいることができ、サービスウェポンでトレンチのこめかみを撃つ。
すると、
その姿が現実世界で自害したトレンチの姿と重なるという意味深な描写が成され、トレンチは沈黙。
ジェシーはホットラインを通して語りかけてきたダーリングによりオーシャンビュー・モーテルに導かれ、そこでポラリスの力を解放して自身を浄化。
正気を取り戻してスライドプロジェクターを止めにノスタルジア・セクターへ向かった。
・『AWE』
直接は登場しない。
オールデスト・ハウスの閉鎖されていた「捜査セクター」にてトレンチを操ったアランの原稿の元になった『暗いスレッショルドを越えて』の脚本が落ちているのをジェシーが拾うことになる。
脚本は四枚あり、作中に登場する「局長」の行動がトレンチと完全に一致していることが分かる。
・『レイクハウス』
直接は登場しない。
2023年9月14日、共鳴体ベースの生命体「
闇の存在」により汚染されたFBCの施設「レイクハウス」にて、調査のためやってきたFBC捜査官キラン・エステベスがオーシャンビュー・モーテルを介して迷い込んだ並行世界に、
トレンチとジェシーが混ざった肖像画が登場する。
<余談>
- 「ホットライン」を通して語りかけてくるトレンチの映像はジェームズ・マカフリーが実写で演じている。
- 「トレンチの自殺」にはっきりとした答えは提示されていない。しかし精神世界とリンクする描写があることから、時空を越えてジェシーに撃ち殺されたと見なすこともできる。
- トレンチの人生はマックス・ペインのオマージュとなっており、黒幕により理不尽に妻子を奪われたマックスと自分のせいで娘を死なせ妻と別れてしまったトレンチは対称的である。
- 『MAX PAYNE 3』におけるマックス・ペインは声のみならず外見モデルもジェームズ・マカフリーであるため、同じく外見モデルもマカフリーであるトレンチとドッペルゲンガーになっている。
- トレンチは最初に生み出された『Control』のキャラクターである。
- トレンチのキャラクターコンセプトは「FBCという組織の擬人化」である。
- トレンチとのボス戦は無いが、作劇上のラスボスはトレンチである。
追記、修正は「痛み」を抱えてからお願いします
最終更新:2025年02月18日 23:44