ラゴン(ウルトラ怪獣)

登録日:2022/06/19 Sun 15:17:12
更新日:2024/10/27 Sun 18:08:17
所要時間:約 5 分で読めます




ラゴンはウルトラシリーズに登場する怪獣。
初登場は『ウルトラQ』の第20話「海底原人ラゴン」。


【ラゴン】

スペック

別名:海底原人
身長:2m
体重:100kg


概要

爬虫類が進化した半魚人のような二足歩行生物で、恐竜のいた2億年前には地球を支配していたとされる。
水陸両用で体の所々にあるヒレが特徴で手足にも水かきがついているため、泳ぐスピードが人間の10倍以上ととても速い。

日本海溝5000メートルの深海に棲息しており、その強烈な水圧にも耐える肉体は拳銃弾程度ではまるで歯が立たないほど強靭。
加えて鉄柵を簡単に引き千切ったり、家を軽く倒壊させてしまうほどの怪力を持つ。

知能はゴリラよりちょっと上程度(資料によっては小学生並みとする説も)とされ、本質的には大人しい性格をしており刺激しなければ無闇に暴れたりはしない。
音楽に強い興味があるのが最大の特徴で、怒って暴れている状況であっても音楽を聴かせることで一時的にだが大人しくすることができる。
「バッハが嫌いだったら?」「ベートーベンでも良いわよ」

ちなみに爬虫類のためか繁殖方法は卵生であるが、両生類のようなゼリー状の卵を産み落とすという変わった性質をしている。


本編での活躍

海底火山と地殻変動の影響で、岩根島近くにまで流れ着いたラゴンの卵は島の漁師の水揚げに誤ってかかっていた。

卵を取り返そうと上陸したラゴンはかなり気が立っており、不運にもエンカウントしてしまった島民を怪力で絞め殺したり、紛れ込んだ民家を破壊し島の自警団と争ったりと暴れ回る。まさに母は強し
「何だぁ?おめえは? あぁ?……うわ!出たーっ!」

取材のために島を訪れていた万城目たちが、滞在中に世話になる事になっていた海洋学者の石井博士の自宅にまで押し入ってきたラゴンは、博士の・文子にまで襲い掛かろうと迫る。
……が、たまたまラジオから流れていた音楽に気を向けたことで難を逃れた。ニュースに切り替わった途端、不機嫌になったが

ところが海底火山の影響で島がもうすぐ沈もうとしており、一刻も早く脱出しなければならないが、ラゴンがうろついているためそれもできない。
万城目はラジオの音楽でラゴンを引き付けようと囮になり、海岸まで誘導するが断崖に追い詰められてしまう。

海底火山の地震によってに落ちたラゴンは島から避難しようと漁港に押し寄せる島民たちの前に再び現れるが、そこで漁師が持っていたラゴンの卵が孵化していた。
ラゴンの目的がこの卵と生まれたばかりの子供であることを察した文子がラゴンの子供を差し出すと、親ラゴンはそれまでと打って変わって大人しくなる。

子供を取り戻したラゴンは静かに海の底へと帰っていき、島民たちが脱出してからまもなく岩根島も海中に沈んでいった。


【巨大ラゴン】



スペック

別名:海底原人
身長:50m(30mとも)
体重:2万t

概要

ウルトラマン』第4話「大爆発5秒前」に登場。

木星開発用の原子爆弾を6個積んだ輸送ロケットが事故によって太平洋に墜落し、その1つが日本海溝の深海で爆発し津波を発生させる惨事が発生。
その影響でラゴンの一個体が突然変異を起こして巨大化してしまったのがこの巨大ラゴンである。

原爆の放射能によって本能や精神に異常をきたしたようで極めて凶暴になっている上、大好きだったはずの音楽も嫌いになってしまい逆に暴れだしてしまう。
さらに口から白色の放射能光線を吐く能力まで身に着けてしまった。

巨大化の影響で元々強かった怪力や水泳能力も強化されており、海中にいながら海上に巨大な航跡を発生させるほど。
(人間が泳ぐ速度が大体時速10km弱の10倍が通常のラゴンの泳ぐ速度なので、マッハ5のガマクジラグビラ、マッハ2のゲスラほどではないが相当速いことが分かる)

ちなみに鳴き声も巨大化前とは全然違うものになっている(映画『ウルトラマンZOFFY』では前と同じ)。


本編での活躍

爆発しないまま安全装置が外れていた原爆の残る4個は無事回収されたが、最後の1つはラゴンの左腕のヒレに引っかかったままになっていた。
この原爆は強い衝撃を与えるとパイロットランプが点き、20秒で爆発するという性質がある。

原爆を捜索していた海上保安庁の巡視船を襲って沈没させ、さらにフジ隊員がホシノ君をお供に休暇中の旅行先の葉山マリーナにまで押し寄せてきた。
結局、せっかくもらった彼女の特別休暇は潰される破目に……。

ホテルの一室でお昼寝をしていたのを忘れて置き去りにされていた少女・ミチコを襲おうとするがホシノ君に投げつけられたナイフによって完全に怒り狂い、裏山に逃げた三人を追跡し始める。
原爆をつけているためにジェットビートルのアラシも手出しができず、逆に放射能光線で撃墜されてしまう。

音楽好きの性質を利用して海上自衛隊で音楽を流したものの、放射能によって巨大化した事で音楽好きという性質に異常をきたしていたのか逆に暴れられてしまい、まるで効果がない。
パラシュートで脱出したアラシにまで目を付けたラゴンを、ホシノ君が勇敢にも囮になって引き付けようとするが、ついには崖に追い詰められてしまう。

そこで登場したウルトラマンはラゴンの体から落ちた原爆を間一髪キャッチするものの、ラゴンの怪力の前に激しい苦戦を強いられてしまう。
ラゴンも自分のアクセサリーと認識していたのかウルトラマンが持つ原爆を奪い返そうと取っ組み合い、ついには地上へと落としてしまった。
崖下に転げ落ちた原爆はついに起爆装置が動き出してしまい、もう一刻の猶予もない。

ウルトラマンに放射能光線を浴びせてさらに苦戦させるラゴンだったが、反撃で放たれたスペシウム光線を喰らうと変な踊りをしながら、巨大ラゴンと比較するとあり得ないくらい高い崖から海上へと吹っ飛んで転落死した。

起動した原爆はウルトラマンの手によって全速力で宇宙へと運ばれ宇宙の彼方で爆発し、辛うじて地球への被害は食い止められるのだった。
マッハ5の飛行スピードでは20秒以内ではとても間に合わないはずだが……


【以降のシリーズにおけるラゴン】

映像作品

ウルトラマンギンガ

第4話「アイドルはラゴン」にて、久野千草がバルキー星人の手によってスパークドールズを用いて変身した姿として登場。
ウルトラマンギンガのギンガコンフォートによって元の姿に戻った。
スパークドールズ劇場」にも登場、意外とかわいい声で喋る。
ラゴン(SD)の声を担当した田中晶子氏はキングパンドンの声も担当。荒っぽい関西弁で喋るキングパンドンと180度異なるキャラであった。


ウルトラマンオーブ

第8話「都会の半魚人」にて、親子のラゴンが登場。空腹にあえいでいた所を魚屋の大将に匿われる。
後に魚を求め上陸したグビラに子供(ラゴンJr)が食べられかけるが、ウルトラマンオーブの活躍により事なきを得る。
その後、第24話「逆襲の超大魔王獣」で再登場し、超大魔王獣マガタノオロチから逃げるためか、グビラの背に乗って日本近海から離れる姿が目撃された。

ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ

ペギラに襲撃されたとある惑星の住民として登場。
ペギラに襲われたところを駆け付けたウルトラマンリブットに助けられ、ペギラが退治された後はリブットに感謝していた。


ウルトラマンデッカー


昔、ここいらは海だった。
海童(わだつみ)村は、海を通して遥か南太平洋、オセアニアあたりまで文化がつながっていた。

あたしたちの村は、海の向こうまで広がっていたんだ。

らごんさまは、海の幸をもたらし漁業の安全を守ってくださるが、
それを信じない者には、恐ろしい祟りが襲いかかる……。

第20話「らごんさま」に登場。
青海湾の内陸地に位置する海童村を埋め立てて造られた近代都市・ワダツミシティの住人を夜な夜な襲う謎の怪人。
民族資料館の浦澤ナギによると、海神村の伝承に伝わる『らごんさま』ことラゴンの祟りとされていた。
海神村では『らごんさま』を讃える羅権衆が存在しており、
渦目山にある『海女の岩戸』という岩門の前で『らごんさま』の面を被り、奉納の舞を踊りながらラゴンを送り返す『らごん踊り』を行う風習が重要無形文化財として存在していた。

天岩戸で被害者に付着されていた粘液と同じものを確認した新生GUTS-SELECTのカイザキ副隊長は、
南太平洋の人魚伝説、アメリカ・マサチューセッツ州のインスマス事件、旧約聖書に記された半人半魚の神・ダゴンといった世界各地に伝わる『深き者ども』という怪物の一種ではないかと分析。
被害者もまた、海女の岩戸を撤去しようとした市の建設会社社員や公共工事担当者ということが確認され、怪物の襲撃も無差別ではなく意図的なものではないかとリュウモンも推測していた。

その後、一連の事件はラゴンに変装したナギの手によるものだと判明。
ふとしたきっかけでラゴンの子(ラゴンJr.)を見たイチカは、彼女の手を握り少女時代の彼女とラゴンの思い出を垣間見、
彼女が羅権衆最後の生き残りとして海女の岩戸を守ってきたことを知る。
「自分が生きているうちに、もう一度あの子に会いたい」……そのナギの言葉に応えるかの如く直下地震が発生。
さらに、その影響で木っ端微塵となった海女の岩戸から巨大なラゴンが出現、荒神の如くワダツミシティを襲撃する。

都市の水没を避けるためデッカーとなり立ち向かうカナタだが、粘液まみれのラゴンに苦戦。
セルジェンド光線を直撃させるものの、口からの水流による反撃が直撃。そのまま海に沈みこんでしまう。
ナギはラゴンの怒りを鎮めるために舞を踊り、ラゴンはその舞に触発されるかのように鎮静化して一緒に踊り始めるが、直後、海女の岩戸が不可思議な光を発し始めた。
それは、舞によって送り返されるラゴンが帰っていくというところ…『この世ならざる世界』に通じる扉が開いたことの証。

ナギはかつて遊んだ、友人であるラゴンと今度こそ一緒に居るために、その扉をラゴンと共に潜って彼らが住む世界に行こうとするが、
イチカは、ナギがこちらの世界の誰にも別れを告げることなく『この世ならざる世界』に行くことをよしとせず、
「一度扉を潜ってしまったら『こっち』に戻ってこれなくなる」というカイザキの説得と制止を振り切って扉を潜り、ナギを必死で止めようとする。
そこに、ミラクルタイプにチェンジしたデッカーが合流し、その超能力をもって自分ごとイチカとナギをカイザキが言うところの『こっち』の世界に戻した。

ナギとイチカ、そしてデッカーが帰還した後、海女の岩戸は完全に崩落する。
崩落によって『この世ならざる世界』への扉が塞がれる瞬間、ナギはまるで自分に別れを告げるかのように手を振るラゴンの姿を見た。

さよなら……らごんさま……。

ラゴン…いや、『らごんさま』とは何者だったのか。そして、彼らが住む『この世ならざる世界』に通じていた海女の岩戸とは何だったのか。
海女の岩戸が崩落し、『この世ならざる世界』への扉が失われた今、その謎を知る手立ては完全に失われた。
しかし、この一件を通じて、ナギはイチカという、年の離れた新たな友人を得ることになった。
事件後、ナギの元を尋ねたイチカは、かつてナギがラゴンから貰った桜貝をプレゼントされ、そこから潮が流れる音を聞いていた……。


漫画作品

漫画『ウルトラマン THE FIRST』ではネロンガが目覚めたのと時を同じくして巨大化、伊豆に上陸。
ネロンガウルトラマンを相手取り3つ巴となり、爆弾を解体せねばならないため光線を撃てないウルトラマンを尻目に2対1で挟撃してダウンさせ、
その戦闘の最中にヒレから爆弾を落としてしまう(地面に着く前にウルトラマンがキャッチした)。
邪魔なウルトラマンを片付けたことでネロンガと戦い始め、最後はネロンガの暴君雷撃を受けて感電死してしまった。
そしてウルトラマンは科特隊と協力してネロンガを倒し、爆弾も宇宙に投棄された。

漫画『ウルトラマンSTORY 0』ではジャックが訪れた海洋惑星に住む人々がラゴンによく似た姿をしている。
ウルトラマンも元は地球人そっくりな種族なので、収斂進化してたまたまそれっぽい姿になったのであろう。
その他、別のエピソードでイカルス星人が繰り出した怪獣軍団の一体としても原典のラゴンが描かれているカットがある。


【余談】

  • デザイン担当の成田亨氏曰く「ごく当たり前に半魚人をデザインしました」とのこと。


  • 『ウルトラQ』に登場したラゴンはメスで哺乳類ではないのに乳房があり、『ウルトラマン』に出てきたのはオスとそれぞれ別個体がであることがはっきりしている。

  • ウルトラマン』第4話の冒頭で出てきたロケットは、東宝映画『地球防衛軍』に登場したマーカライト・ジャイロの流用。


  • 『ウルトラQ』に登場した怪獣が『ウルトラマン』で再登場を果たした初めての怪獣。ちなみに第9話のガボラも本来はパゴスが再登場する予定だったが、実現しなかった*1
    ケムール人も後に再登場するが、ウルトラマンとは戦わなかったため、ラゴンが唯一ウルトラマンと戦った『Q』怪獣となっている。
    「ラゴンは音楽が好き」という性質が知られている描写もあり、『ウルトラQ』と『ウルトラマン』は世界観がはっきり繋がっているのだと示す役目を果たしている。

  • 前述のように、『ウルトラQ』では卵を取り返すために島に上陸して暴れたが、総集編映画『ウルトラマンZOFFY』では特に理由もなく人間を襲うように編集されていた。


追記・修正はラゴンに卵と原爆を返してからお願いします。

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最終更新:2024年10月27日 18:08

*1 ちなみに着ぐるみはどちらもバラゴンの改造である。