登録日:2018/09/18 Tue 21:35:00
更新日:2024/11/18 Mon 18:34:04
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ペギラは、中心点で-130℃の冷凍光線を吐き、その際反重力現象が起こる。
一時的に重力が無くなり、物が紙のように舞い上がる。
出典:ウルトラQ/円谷プロ/第5話「ペギラが来た!」/1966年1月30日放送
出典:ウルトラQ/円谷プロ/第14話「東京氷河期」/1966年4月3日放送
ペギラとは、ウルトラシリーズに登場する怪獣である。初出は『
ウルトラQ』。
概要
種別:冷凍怪獣
身長:40m
体重:2万t
能力:口から吐く冷凍光線
南極に住んでいた
ペンギンが、核実験の放射能の影響で突然変異した怪獣。
最大の武器は口から吐き出す冷凍光線(当時の撮影技術の都合上、どう見てもガスにしか見えないが……)で、マイナス130度にもなるこの光線を浴びた物体は空高く浮き上がってしまう。
このシーンだけを見ると風圧で舞い上がっているように見えるが、実際にはこの光線の
反重力効果によるものである。
これは1960年代当時「超低温になると無重力状態になる」という学説があったためだが、ぶっちゃけ当時としてもトンデモ説だった模様。
また怪獣化した影響で、ペンギンでありながら
空を飛ぶ事も可能。この飛行の際には黒い煙を纏う。
南極のコケから生成される物質「ペギミンH」が
弱点。
なお、そのコケはアザラシにも有毒であるが、同じ哺乳類のはずの
犬には栄養価が高い模様。
デザインは成田亨氏、造型は高山良策氏が担当。
後年に
ガラモン、カネゴン、
ゴモラ、
ゼットン、
エレキング、
キングジョーetc…といった後世に残る名怪獣たちを世に送り出してきたコンビによって
最初に産み出された記念すべき怪獣である。
当時の怪獣は
ゴジラ(肉食恐竜)や
キングギドラ(
ドラゴン)、ゴロー(猿)にモングラー(モグラ)など、一目でモチーフが分かる「いかにも生物らしい怪獣」が多かったが、このペギラは「現実のどの生物にも相当しない」という点でも特異な存在と言える。
デザインの革新性の面でも、黄金タッグの初仕事という面でも、
日本の特撮史に大きな功績を残した怪獣である。
劇中での活躍
映像作品
第5話「ペギラが来た!」、第14話「東京氷河期」に登場。
第5話にて南極の観測所を襲撃。万城目や観測所の隊員達が作り上げたペギミンHを搭載した
ミサイルによって撃退され、逃亡する。
その1年後に当たる第14話では
東京を襲撃。温暖化の影響で南極が住みづらくなったため、北極へと移動する途中に立ち寄った模様。
第5話に登場したものと同一個体と思われるが、鳴き声が違うため、別個体とする説もある。
元
零戦パイロットの沢村照男が操縦するセスナ機(中には爆薬と混合したペギミンHが搭載されていた)の
特攻を受け、再び逃走した。
いずれのケースでも
死亡していない事から、『ウルトラQ』屈指の強豪怪獣として名高い。
放送当時の
漫画版では中城健と古城武司のバージョンに登場。
中城版は概ねTVシリーズ第5話と同様の展開だが、古城版は漫画版独自の後日談が描かれ、なんと
南極に出現した岩石怪獣ゴルゴスと激突、さながら怪獣大決闘の様相を見せる展開になっている。
なお、どちらともペギミンHによって死亡することなく退散するのは映像作品と共通である。
藤原カムイ氏の漫画版『ウルトラQ Unbalance zone』でも概ね映像作品と同じ展開を踏襲しているが、こちらではペギラの
弱点であるペギミンHの性質についても記述が割かれており、
「生物を発熱させる作用を有し、ペギラのような寒帯の生物が摂取すると適正体温以上に発熱させてしまう」と語られている。
TVシリーズ放送開始前に『ぼくら』誌で連載された絵物語版でも「ペギラが来た!」「東京氷河期」のエピソードが掲載された。
内容は概ね映像作品のシナリオを踏襲しているが、絵物語版「ペギラが来た!」ではペギラがペギミンHの散布を浴びて絶命するという展開になっている。
多数のエピソードに登場。
着ぐるみは2種類が存在しており、一方はアトラクション用で、もう一方は『ウルトラQ』のオリジナルの着ぐるみを改修したもの。
しかし、後者は元がオリジナルとは思えないほど劣化が激しく、特に頭部は新造形となっており、元の面影は欠片も残っていない。
いずれのエピソードでも、特に見せ場もなくレッドマンに倒されている。
- 『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』におけるペギラ
第1話「怪獣無法惑星」に登場。
レイの操る
ゴモラと戦い、死亡した状態で登場。
戦闘の末、自身の体内の冷凍液が漏れ出し、氷漬けとなっていた。
第1話「星空の声」に登場。
冒頭、世界各国に怪獣が出現したニュース映像の中に登場し、シンガポールを氷漬けにしていた。その後の消息は不明。
またオープニング映像で
ウルトラマンエックスが戦う怪獣達の中にも、その姿が確認できる。
Episode3にて登場。
水の惑星リクエターで周囲を氷漬けにしながら暴れ回っており、惑星の住民と思われる子供のラゴンに襲い掛かろうとしたところ、駆けつけた
ウルトラマンリブットに阻止され、戦闘に。
激闘を繰り広げた末にリブットのギャラクシウムブラスターを受けて撃破された。
初登場から53年となる本作で遂にウルトラ戦士との対決が実現したのみならず、更には相手となるリブットもこれが実写作品初登場だったため、かなり美味しいポジションを頂いたと言えるだろう。
第5話「ファースト・ジャグリング」にて登場。
アラスカに
封印されていたが、封印に使われた道具が日本へと運ばれたために封印が解かれてしまった。
これについて
ストレイジ開発班のオオタ ユカは
「封印の道具を狙って日本に襲来したのでは」と推測を立てている。
ナカシマ ヨウコが駆る特空機2号
ウインダムと戦うが、冷凍光線でウインダムを氷漬けにして動きを封じ、その後
ナツカワ ハルキが駆る特空機1号
セブンガーと交戦。
劣勢に陥るような事はなかったが、ハルキはペギラの動きを把握してセブンガーを操ったため、互角の戦いぶりであった。
更に今度はハルキが変身した
ウルトラマンゼット・
アルファエッジと交戦。
当初はゼット相手にも有利に立ち回っていたが、封印の道具がゼットの新たな武器「ゼットランスアロー」へと変わると相性の悪さからあっさりと倒された。
この回は最後に
ゼッパンドンが現れたために前座の扱いだったが、特空機を2機とも退け、ゼットとも互角に戦うなどかなりの強敵であった。
アバンのダイジェストに登場した3番目の巨大不明生物(後の
禍威獣)。
『ウルトラQ』同様に東京を氷河期にした事が触れられているが、なんと
人類の手による撃破に成功している。
作中ではとある「女性科学者」が弱点を発見したと説明されているが、それが誰かは不明。
その他の媒体
能天気な性格で
一人称は「オイラ」。
空も飛べるし冷凍光線の威力も劇中最強レベルのヨクナオール草(本体)を行動不能にするレベル。
しかし飛びながら放つと、自分が冷凍光線を浴びる。
第42話「ジャングルの王者パーザン」に登場。
本放送当時2月だったのに何故か猛暑に襲われていたペンギン村に現れ、あっという間に冬景色に変えていった。
著作権関連の意識や扱いがまだ緩かった時代に実現したゲスト出演で、
東映アニメーションが手掛けるペギラというある意味非常に貴重な個体である。
KADOKAWA版で
擬人化されている。デザインは今泉昭彦氏。
着物を着た
褐色ロリとしてデザインされている。着物を着ているのは
雪女のイメージか。
翼は振袖として、角は
アホ毛としてアレンジされ、当然ジト目である。
アニメ版と連動した小説『始まりの物語』では
アデリーナ・海堂が変身する怪獣娘として登場。
連載第3話において
悪の環境テロ集団「荒野の狼」相手に事態解決のため奔走する活躍が描かれた。
余談
- 初代『ウルトラマン』には有翼怪獣チャンドラーというペギラそっくりな怪獣が登場する。
ペギラとの違いは耳がある事、色が焦げ茶色である事、腹の斑点が多い事など。もちろんペギラの着ぐるみの改造である。
能力面では冷凍光線も飛行能力も持たないなど、ペギラの完全劣化版で、レッドキングに翼を引きちぎられた事で戦意喪失し、逃走した。
ちなみに劇中では両者がそっくりな点について言及されていないが、各種書籍では兄弟怪獣説(ぺギラが兄、チャンドラーが弟)、他人の空似説などが記載されている。
なお、『ウルトラマンパワード』にはパワードチャンドラーが登場するが、こちらは完全なオリジナル怪獣としてデザインされている。
- 『ウルトラマンレオ』には暴れん坊怪獣ベキラという極めて紛らわしい名前の怪獣が登場するが、特に関連性はない。
- 「東京氷河期」でペギラが東京へやってきたのは元々棲んでいた南極が人為的原因で温暖化し、北極へ移住を試みたためである。
だが「温暖化」の原因は温室効果ガスによる気候変動ではなく、なんと南極に設置された原子力発電所の事故。
「なぜ北極も寒いとペギラが知っているのか」「南極の気候が変わる程の原発事故とはどんな大爆発なのか」「怪獣物のお決まりとしてアザラシやシャチが怪獣になって暴れ出さないのか」「そもそも南極が温暖化したら東京は氷河期になる前に水没するのではないか」など謎はつきない。- 「南極にわざわざ原発を設置するはずがないのでは?」と思われるかもしれないが、実は1960年代、南極に原発は実在した。
アメリカのマクマード基地に年間を通じて火力発電用の燃料を供給するのが困難だった事から、「じゃあ燃料補給しなくていい原発を作ろう!」というアメリカらしいワイルド極まる発想により1962年に建設。
幸い我々の世界ではこの原発は爆発せず、燃料輸送技術の向上により1972年に閉鎖された。
追記・修正はペギミンHを見つけ出してからお願いします。
- ペギラの暴れっぷりに対するチャンドラーの情けなさよ -- 名無しさん (2018-09-18 23:28:59)
- デザイン・造形の節、小林晋一郎「バルタン星人はなぜ美しいか」を参考にしてます? -- 名無しさん (2018-09-19 00:46:23)
- オーブでは裏設定で第1話でガイさんが日本に来る前に北極で戦っている(冷凍車に乗っていたのはそのため)。ジャグラーによって怪獣カードがマガバッサーの復活に用いられた -- 名無しさん (2018-09-20 13:58:57)
- デザイン云々の話題を大幅削減。流石にくどすぎると思ったので…… -- 名無しさん (2018-11-18 13:32:37)
- 映像作品本編にてついにウルトラ戦士と激突! しかもその相手は…… -- 名無しさん (2019-09-24 19:51:44)
- Zでは後から出てきた「アイツ」にインパクトを持ってかれた感じがしたが、ウインダムを氷漬けにしたりセブンガー・Zの連戦でも優位に立っていたりなかなかの強敵だった。 -- 名無しさん (2020-07-20 12:47:12)
- その強敵に苦戦を見せてないリブットもやばい -- 名無しさん (2020-07-20 14:26:42)
- サーガや8兄弟の企画段階見る限りスーツはあの頃からあったけど使う機会に恵まれなかったのかな。 -- 名無しさん (2020-07-20 22:08:52)
- ペンギン野郎が空中戦でウルトラマンを制すインパクト -- 名無しさん (2020-07-26 00:56:49)
- 冷気で広域を危機に陥れ、空を飛び、相手を氷漬けにし、肉弾戦も強い。Q怪獣はガチだな -- 名無しさん (2020-07-26 04:41:32)
- 山本弘の考察だと、実はコイツはアザラシに近いのでは、という説。 -- 名無しさん (2020-07-26 07:14:01)
- ペンギンの突然変異というのは確かに無理ある。昔の怪獣図鑑では巨大哺乳類という記述もあったような・・・ -- 名無しさん (2020-07-26 08:26:29)
- ペギミンHで完全に退治できなくともレッドマンがいれば問題ないw。 -- 名無しさん (2021-12-15 02:06:39)
- オリジナルでも追っ払うのが精一杯だったペギラを倒してるとは、シンウルトラマンの世界の人間達も中々やるな -- 名無しさん (2022-05-21 20:50:11)
- Wikipediaから丸写しの箇所を削除しました。 -- 名無しさん (2022-06-04 15:15:50)
- 飛行速度マッハ80(ウルトラ戦士だとメビウスインフィニティーのマッハ40が最速) 勝てない(確信) Q怪獣の中ではバルンガを規格外にしても最強怪獣だと思う -- 名無しさん (2024-09-05 00:38:28)
- 現行ソフビのタグにはチャンドラーの金型を流用していることが明記されている。他の金型流用があるとみられる怪獣にはこの記載はないのだが -- 名無しさん (2024-09-05 00:57:45)
最終更新:2024年11月18日 18:34