225系近郊形直流電車

登録日:2010/07/18 Sun 05:20:11
更新日:2024/09/05 Thu 02:28:23
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225系電車とは、JR西日本が保有する鉄道車両。2010年から投入が開始された。

画像出典: 日本の旅・鉄道見聞録
URL: https://www.uraken.net/rail/alltrain/uratetsu225.html
閲覧日: 2024/09/05


目次


概要

1993年から2008年まで約15年もの間に926両が製造された223系の後継形式であり、この間に登場した新技術が多数投入されている。
本形式の設計を流用した兄弟車として、広島・和歌山・岡山地区用の227系、大阪環状線用の323系が存在する。また、北陸地区に導入された521系も途中増備分から225系に準じたマイナーチェンジが実施された。


車体

225系のコンセプトの1つである「安全性の向上」を実現するため、車体には様々な改良が加えられた。

先頭部は運転台周りを強化したことで相対的に屋根部分が弱くなり、衝突時にその部分が先に潰れて衝突の威力を減衰する衝撃吸収構造をJR西日本の車両として初めて採用した。この方式は「巴投げ方式」と呼ばれる。
窓は車体強度確保の為、大きな開口部を必要とする連窓をやめ、2枚の小型窓と1枚の大型窓によって構成する方式とした。なお、大型窓はカーテンレール用の柱を取り付けて連窓風としている。また、縦方向の寸法は223系と同じ950mmとしている。

その他では外板厚が223系比で2mm厚くなった他、接合部分の各所に補強が追加されている。
これらにより、225系は223系を上回る車体強度を有する。また、車体妻部には車両同士が衝突した際に相手方車両を外側に逃がすためにガイドが新たに設置されている。

なお、2010年12月17日にJR神戸線・舞子駅で発生した先頭車同士の連結部分からの転落事故対策として、1次車の途中から先頭車排障器に新たに放送装置を搭載し、当該先頭車が中間に入っている場合に注意喚起用の音声が流れるようになった。
この装置は既に落成していた車両にも搭載する改造が行われている。

2016年からは0・5000番台のマイナーチェンジとして100・5100番台が登場。
まず前面デザインが変更された。それまでは直線的で唐突感のあるものだったのが、先行して登場した521系3次車や227系に似た、曲線的かつ統一感の増したものとなった。
ただし、前面窓ガラスに関しては最高速度130km/hと在来線トップクラスの高速運転を行うことを考慮し、乗務員保護の観点から0・5000番台と同じ高さに縮小している。
また、前述の2形式と同様に新たに先頭部にも転落防止幌を設置し、連結面間の隙間を縮小している。
以降、前面転落防止幌は221系・223系や本形式0番台、521系1・2次車、207系にも取り付けられている。

2023年には新快速用のAシート車が登場。
先に登場した223系の改造車と同様に側窓回りが黒、窓下帯が青という独自のカラーリングとなっており(前面帯は従来車と同じ)、近郊形では異例となる片開き2ドア構造となった。
この形式は700番台に区分されている。


接客設備

225系のコンセプトの1つである「交通弱者への対応」を実現するため、また「安全性の向上」のために、従来の車両とは大きく変化した。
221系や223系では吊り革が、手摺りがまたはで塗装されていたが、これを咄嗟の時に目につきやすくするために全てオレンジ色で塗装し、吊り革については数が大幅に増やされた。また、直径やサイズも大型化されたほか、手摺りは端部を曲線的にして力が一箇所に集中しないように配慮された。

座席配置は0・100・6000番台が223系1000・2000番台を踏襲し、横2列+2列、扉間5列でドア脇の座席背面に補助席を設けた配置となった。シートモケットの色も223系1000・2000番台同様ブラウンだが、色調等が変更された。
対する5000・5100番台は223系2500番台を踏襲し、横2列+1列、扉間5列で補助席なしという配置となった。シートモケットの色は223系0・2500番台のライトブルー系から濃紺に変更。運転席のシートモケットはブラウンで統一されている。

内装の色は先に登場した321系を踏襲しつつ、端部の壁面の色は223系を踏襲して暖かみと明るさを共存させた色調としている。

なお、新快速用座席指定車両「Aシート」はリクライニングシートを装備しており、内装も茶色系と大きく異なる。

情報案内装置は321系と同様のLCDを全16面通路上に配置し、映像による旅客案内を可能とした。字幕は二ヵ国語表示となっている。

内装ではドア化粧板の端部を黄色で塗装し、挟まれ、巻き込まれに対する注意喚起を実施しているほか、乗降口床部に黄色の塗装を施して転落防止や段差に対する注意喚起の実施、ドア開閉表示灯を設置してドアの開閉動作に対する注意喚起を実施している。
また、更なるホームと車両間の段差低減のため、床面高さを223系2000番台の1130mmから1120mmへ、10mm低くしている。

100番台以降では本車両よりも先行して登場した227系に準じ、それまでは幕式だった種別表示器と、3色LED式だった行先表示器を一体化し、フルカラーLED化している。
ただし、前面の種別・行先表示器はフルカラーLED化こそ行われたものの、サイズの問題から一体化はされていない。
また、室内灯を従来の蛍光灯からLEDに変更し、消費電力の削減と照度の向上を図った。
これに伴い、これまでJR西日本の通勤・近郊形電車では標準装備であった蛍光灯カバーが廃止されている。


走行機器

これまでJR西日本の車両は電動車(M車)と付随車(T車)を組み合わせて編成されていたが、125系で初めて構築され、2両以上で運用する321系を製造するに当たって更に進化した「0.5Mシステム」を本形式で採用した。
全ての車両を電動車として車種構成を統一し、コストの削減や保守管理が容易となるように配慮されたばかりではなく、故障時の冗長性も高められている。

制御装置は223系と同じIGBT-VVVFインバータだが、制御群は1C1Mから1C2Mに変更されている。これは0.5Mとなったことや、全電動車となったことで冗長性が高まったためである。

モーターは運転性能の向上や寿命の延長を図るために出力が強化され、223系の220kWから270kWとなっている。
このモーターは今後の標準と位置付けられており、他形式には制御ソフトや歯車比の変更で対応するようになっている。

台車は321系のものを改良した軽量ボルスタレス台車で、軸箱支持方式はJR西日本の電車では標準の軸梁式となっている。先頭車用と一部の中間車の付随台車(モハ225形300・400番台のM3車が該当)には駐車ブレーキが取り付けられている。

パンタグラフは従来の下枠交差式からシングルアーム式となった。
クモハ225形・モハ225形に各1基ずつ搭載されているが、100番台以降では走行機器二重系統化の一環として、モハ225形100・400・5100番台のパンタグラフを1基増設して2基とし、1基が故障しても運転を継続できるように配慮されている。

223系との併結運用が主体となるため、223系との併結が可能となっている。
伝送システムが223系と225系とでは全く違うため、225系側が読替装置搭載で対応する。
伝送装置の伝送速度は0番台では10Mbpsだったが、100番台以降では種別・行先表示器のフルカラーLED化や一部機器の二重系統化に対応するため100Mbpsに強化され、一部の引き通し線が廃止された。
この関係で100番台以降では、0番台に比べて1.3~1.5t程度の軽量化が行われている。

100番台以降ではこの他に、福知山線脱線事故において乗務員がTE装置*1を作動させることが出来ず、対向から来た特急が事故列車とあわや衝突という事態を引き起こしたことから、このTE装置を自動的に作動させる車両異常挙動検知装置が搭載された。
これはシステムによって決められた以上の車体上下加速度(脱線)、車体左右加速度(転覆)、車体前後加速度(衝突)を検知した場合には、TE装置を自動的に作動させる装置で、521系3次車および227系、そして207系体質改善車に搭載されているものを225系用にシステムを書き換えて搭載している。

最高速度は0・100番台が223系1000・2000番台に合わせ130km/h、6000番台が「221系相当性能」の223系6000番台に性能を合わせているため120km/h、5000・5100番台が223系0・2500番台に合わせ120km/hとなっている。


編成表


運用

  • 0・100番台
JR神戸線JR京都線・琵琶湖線湖西線草津線赤穂線
主に新快速快速として使用される。一部に区間運転の普通運用もある。

  • 6000番台
JR宝塚線・福知山線
主に丹波路快速快速として使用される。朝晩には大阪発着の普通運用もある。

  • 5000・5100番台
阪和線大阪環状線関西空港線きのくに線
4両編成は主に関空快速紀州路快速として使用される。6両編成は103・205系に代わって普通運用に就いている。

223系とは運用上の区別などがされていないため、併結運転が実施されている。
このため、「225系が来たと思ったら自分の乗車位置に停まったのは223系だった」という事態も起こりうるので、225系に乗りたい場合は要注意。

また、6000番台は近年網干総合車両所の221系に代わり、神戸ルミナリエなど多客期のJR神戸線臨時新快速運用にも就いている。
6000番台は全て元々網干総合車両所配置の0番台であったため、ある意味里帰りしてきたとも言える。


 B 新追記 
 Special Editor 
 修 正 
Via Meiden Line
8

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最終更新:2024年09月05日 02:28

*1 ボタン一つで列車防護操作を自動的に行う装置。通常は運転台右側にある赤いスイッチを押して作動させる。