豆タンク

登録日:2012/03/24 Sat 07:53:13
更新日:2024/12/17 Tue 16:37:42
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豆タンクとは、軽戦車よりも小型で軽武装な戦車のようななにかを指す。
豆戦車やタンケッテとも言われる。

∩(>ヮ<)q「私のことですねーー!!」


∩(>ヮ<)q<経緯!

時は1920年代。
第一次世界大戦から数年が経ち、多くの国は軍縮の流れにあった。

そんな中、砲塔を搭載した安価な革新的な戦車として「ルノーFT」が登場。イギリス含む各国に戦車開発に刺激、特に軽量・簡素化の技術促進を促した。

そんな中イギリスは、高価な重戦車と安価な戦車を併用することで、予算と戦力を微調整しようとした。(いわゆるハイローミックス)
この「安価な戦車」として作られたのが、「カーデン・ロイド」という戦車であった。
ここで初めて、「豆戦車」と言う概念が誕生してしまったする。


∩(>ヮ<)q<概要とか!

元々、小型で軽快な偵察用戦車の構想は昔からあった。
豆タンクは一人か二人乗りで、武装は機関銃が一丁か二丁だった。(モノによっては機関砲を乗せたり、歩兵砲を積んだものもある)
そして装甲は貧弱であり、口径8mm以下の小銃や機関銃の普通弾が防げれば良い、程度だった。
対戦車ライフルには当然耐えられないし、歩兵砲の榴弾が直撃した場合でも撃破される危険性があった。


∩(>ヮ<)q<実際の活躍!


  • 「国が山ばっかでマトモな道路がねぇ!図体デカい普通の戦車は使えねぇよ!」
と言った、いわゆるインフラ整備が進んでいない国。

  • 「植民地広すぎる!治安維持に使えるお手軽な戦車は…」
と言った、植民地を持つ国。

  • 「うん。普通の戦車買う金無いわ。」
と言った、単純明快お金の無い国。

  • 「……これだけでいろいろごまかせないかな」
と言った、様々な用途で使うために作った国。

と言った事情を抱える国に、豆戦車は配備される事が多かった。

治安維持などでは豆戦車は一定の評価を得ている。
まともな対戦車兵器を持たない相手ならば、十分な戦力となった。
また、小型で取り回しが効きやすく、砲の牽引やトレーラーの輸送にも使われ、特にインフラの整ってない地域で活躍した。

しかし、敵が立派な軍隊となると、そうもいかなかった。
対戦車兵器にボッコボコにされ、機関銃では戦車などにも適うはずが無かった。

しかも豆戦車のライバルとなる軽戦車(戦闘車)が登場。
安さしか取り柄がない豆タンクと違って「そこそこの値段で、軽く、扱いやすく、エンジン馬力があるので多用途性に長ける」圧倒的コストパフォーマンスを誇っていた。

そんなわけで極々限られた用途のためだけに豆戦車という名の屑鉄を作るための工場ラインを維持し続けるわけもなく、
あっという間に衰退していった。


∩(>ヮ<)q<現代の豆戦車っ!


第二次世界大戦において、豆戦車の全体的な力不足が証明され、現代では豆戦車を配備する軍隊には存在しない……
というわけではなく子孫とも言える装輪装甲車や軽装甲車などが、偵察や早期警戒、歩兵援護と言った任務についている。
ただしこちらは歩兵レベルの銃弾のみならず、地雷や榴弾から破損は免れずとも乗員を保護する最低限の防備があったり、
輸送車や対空砲への転用を想定して、大国同士の戦闘でもそれなりに活用できるように想定しているなど豆戦車との相違点が多い。
というかまともな機能がない豆戦車と比べるのは少々失礼なレベル

∩(>ヮ<)q<有名な豆戦車達!!


  • カーデン・ロイド豆戦車(イギリス)
記念すべき豆戦車の始祖。
とある将軍が趣味で作った戦車から生まれた、と言う奇妙な経緯を持つ。
お手軽なお値段で様々な国に輸出され、魔改造されることに。日本では海軍もカ式機銃車として輸入品を採用した。
前述したハイローミックスはボツになり、結局牽引車みたいな使い方しかされなかったのは内緒である。
英本国における発展型がMk.I~Mk.VI軽戦車で、こちらは1940年まで生産された。

  • TKシリーズ(ポーランド)
カーデン・ロイドを参考、もとい魔改造して開発した豆戦車。TK-3、TKSが有名か。
ドイツと実際に砲火を交えたので、「豆戦車と言ったらTK」って程度には知名度がある…気がする。
ポーランドの装甲兵力の中心だったが…蹂躙されて終了。
ただ、20mm機関砲を装備したTKSのバリエーションは地味に強かったとか。
この20mm機関砲の元は対戦車ライフルであり、貫通力はそれなりにあったらしい。

  • I号戦車(ドイツ)
カーデン・ロイドを参考にしつつ、1930年代初期に極秘開発された訓練用戦車。
戦車の保有を禁じたヴェルサイユ条約の放棄前(再軍備宣言は1935年)だったため、生産中も農業トラクター(Las)と偽っていた。
中国やスペインなどにも輸出され、WWII開戦前に日中戦争(支那事変)やスペイン内乱で実戦を経験している。
III号戦車IV号戦車の整備が進まないせいで、対仏戦までの装甲師団ではII号戦車に次ぐ配備数だった。
WWII初期に引き上げられて他用途へ回されたり改造されたが、北アフリカ戦線や東部戦線でも顔を見せている。
ちなみにC型(VK6.01及びVK6.02)とF型(VK18.01及びVK18.02)はコンセプトも異なる新設計で、派生型と呼べるか怪しい。

  • C.Vシリーズ(イタリア)
カーデン・ロイドを参考、もとい魔ry
発展型にL3と言う豆戦車もある。
第二次世界大戦勃発時、イタリア軍の戦車の殆どがL3豆戦車だった。

  • T-27(ソ連)
カーデン・ロイドをry
反共勢力を○○したりする戦車。しかし、雪の上や泥沼を走ると、車体の底が接地してしまい、行動不能になったりしたらしい。
…足が地面に付かずに、バタバタしている幼女を彷彿とさせる萌え戦車である。

  • PPG(ソ連)
完成したら戦争が終わっていた、そんな豆戦車。どっちかと言うと牽引車。
兵士を乗せたソリを引っ張るという、色んな意味でソ連らしい作戦の為に作られた。
因みに英語にすると「Mobile Machine-gun Nest」。モビル・マシンガン・ネスト。滅茶苦茶カッコいい。

  • AH-IV(チェコスロバキア)
小国ながら地味に良い兵器を作る、チェコスロバキア。
この豆戦車も数カ国に輸出された。
カーデン・ロイドと違い、最初から砲塔も持ち、戦車っぽい形をしている。
ルーマニアに輸出され、大戦を生き残った20両は、エチオピアに売り払われ、80年代まで使われたとか。大往生である。

  • 九二式重装甲車(日本)
我らが祖国もちゃんと作ってます。
例によって例の如くカーデン・ロイドを参考にry
時代遅れの烙印を捺された騎兵科が、生き残りをかけて開発した。
「豆戦車」だと歩兵科の管轄になるので、「重装甲車」にしたとか。どの国でも発生する、装甲車両の取り合いの良い(?)例である。

  • 九四式軽装甲車TK(日本)
前線で応戦しながら、色々と牽引するために作られた車両。TKは「特殊牽引車」の略。カーデン・ロイドをry
牽引車の筈だったが、実戦で使うと結構活躍した。
(中国軍がまともな対戦車兵器を持ってなかった、インフラ整備が進んでいない、軽いため輸送が容易)
しかし、エンジン室と乗員が分けられてない、つまり「エンジンと乗員が同居」状態だったり、エンジンが非力など弱点があった。

  • 九七式軽装甲車 テケ(日本)
九四式を改良した限りなく軽戦車に近い豆戦車。多分豆戦車最強。
1/3程度が37mm戦車砲を装備して生産され、火力は高い。
エンジンも強化され、ちゃんとエンジンと乗員は別居状態になった。
「軽戦車で良いじゃん」と思われがちだが、重さが5t未満なので、標準的な貨物船のクレーンで吊り下げ可能。軽戦車にはできない軽業!
実戦ではその高い機動力と意外に優秀な火力で突撃、マレー作戦などで大きな戦果を挙げた。

  • 60式自走106mm無反動砲 106SP(日本)
小松製作所が開発した装軌式装甲車に日本製鋼所が製造した60式車載106mm無反動砲(105mm無反動砲M40のライセンス生産)を2門搭載した対戦車自走砲。
ちなみに実口径+1mmの106mmと称してるのは、M40の前任であるM27やそれをリバースエンジニアリングした国産の試作無反動砲との混同を避けるためである。
豆戦車ではないのだが、全長4.3m全幅2.33m全高1.38mと帝国陸軍の軽装甲車や軽戦車に準じる小柄さからマメタンという俗称で親しまれたという。
T-64やT-72が実用化されると陳腐化してしまったが、予算不足の影響もあり冷戦終結から20年近く経った2008年まで運用されていた。

∩(>ヮ<)q<余談!!


芝村裕吏の小説『富士学校まめたん研究分室』では主人公の女性自衛官が開発主導した新兵器として、小型多脚ロボット自動歩兵「まめたん」(開発時符号:LTK)が登場。
愛称の由来は主人公の同僚が「コンセプトや想定戦場が往時の豆タンクの子孫みたいだから」と命名したことからだが、この「まめたん」は実用化後その制御システムの優秀さや動乱のアジア情勢から各地で使われ、国内では警備・アメリカ等友好国に貸し出されたものは対人用に活躍。
同作から約半世紀後を描いた『セルフ・クラフト・ワールド』の時代でもより発達した「まめたん」が親しまれ、同時に開発初期の外国でのキルスコアから恐れられ、そして『セルフ~』終盤では登場人物達を合流させる端緒にもなった。
ある意味では(厳密には違うが)フィクションで一番成果をあげた豆タンクかも知れない…。

∩(>ヮ<)q<追記・修正しよー!!

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最終更新:2024年12月17日 16:37