登録日:2012/03/14(水) 08:05:25
更新日:2024/06/06 Thu 13:11:23
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過去の世代が達成したことは、いまやすべて無にひとしい。
『幼年期の終わり』はSF作家の巨匠であるアーサー・C・クラークの長編小説。
原題は『Childhood's End』。
~あらすじ~
アメリカとソ連が宇宙進出に躍起になっていた時代(新版では冷戦後平和になった世界)に、彼等は地球にやってきた。
宇宙船に搭乗する
宇宙人の代表は、「カレルレン」と名乗り、今後地球は自分達の管理下に置かれることを宣言。
カレルレンは国際連合事務総長ストルムグレンを通じて地球を実質的に支配し、その指導の下、国家機構は解体していく。
地球人はこの宇宙人を「オーバーロード(上帝)」と呼んだ。
その後、世界各国の首都の上空に宇宙船を停泊させ、姿を見せることなく地球を統治し始めた……
宇宙船が来訪するプロローグ、カレルレンの姿を探ろうと頑張る第一部、ついに「上帝」が姿を見せてからの地球を描く第二部。
そしてカレルレンの目的とタイトルの意味が明かされる第三部で構成されている。
クラークの短編小説「守護天使」が原型……というか第一部についてはこの短編ほぼそのままである。
「守護天使」はカレルレンの姿を突き止めたところで終わるが、
「幼年期の終わり」はその先の世界と人類の進化の結末を描ききっている。
~主な登場人物~
国際連合事務総長。
彼のみカレルレンと会い、話ができる(ただし姿を見ることはできない)。
カレルレンとは友人のように接する。だがあまりに姿を見せないため、最後の対談時「姿を見よう」作戦を実行。
彼の温情もあって姿を確認できたものの、彼との友情(あるいは彼のペットに対する様な優しさ)と姿に対しての感覚から、生涯秘密を明かすことはなかった。
宇宙人代表。
ただし、あらゆる意味で絶対的権力は持たない総督の立場にいる。
地球に来て以来、姿を表わすことがない。
ストルムグレンが議題を投げかけても基本的に「好きにしていいよ」としか答えない。ストルムグレンも「人類のことを真面目に考えてないでしょ」と言っちゃった。
地球人が宇宙船に
ミサイルぶっぱなしたり(傷ひとつつけられなかったが)、徹底した秘密主義故に存在を疑問視したマスコミが「実は
ロボットやモンスターじゃね?」と騒いだり、統治反対デモがあっても我関せず。
ついでに、新聞紙に掲載されている自分をネタにした漫画の原画をもらおうとしたりとかなりのお茶目さん。
ここだけ読むとどんなフリーダム統治だよwwと思うだろうが、自分が出した動物虐待に関する条例を守らなかったスペインの闘牛ファンの集団に、
一時的に苦痛を与えるという謎の技術でしっかり罰を与え、ストルムグレンが誘拐された時もギリギリまで観察して救助することで反対派の無力化を図った。
ストルムグレンを信用し、最後に友情の証を見せる。
そして彼の死後「オーバーロードが全人類に信頼されてから」その姿を全世界に公開し、堂々とした統治・観察・超技術の限定配布を開始した。
人類から見れば正に「超越者」とも言うべき存在だったが、その裏には…。
子供達の『変化』が始まった後、自種族の真の目的について全人類に語り、エンディングでは自身の心境等について独白した。
オーバーロードが人前に姿を見せて二十年後
(地球を訪れてから五十五年ほど経過)に、人類で最初に『変化』が訪れた子ども。
天文学者の青年。
後にジェフリー達の親になった人々とのパーティで「こっくりさん」的現象に遭遇し、そこで「オーバーロードの母星座標」を入手。
オーバーロードの母星に行くため、鯨の模型の中に潜んだら
浦島太郎になった(ちなみに密航時点ですぐにばれ、カレルレンが会見を行った)。
そして帰還した後、オーバーロードへと「幼年期の終わり」を実況生中継する役目を引き受けることに…。
「あと二十年後な!」
「我々はこの先どこへ行くのだろうか?」
「あれはアンコウです」
「わたくしは、ますます人間たちが気の毒になってきました」
「撮影禁止。イラストで残すならいいよ。つうか描け」
「さよなら、あなた」
「俺青二才すぎワロス…」
「実況初めてなんでうまくやれないかもしれないけど、よろしくです><」
「地球人ウラヤマシス」
オーバーロードが地球人をどこに導こうとしているのか……その結末は是非読んで確かめてほしい。
ストルムグレン
「カレルレン、この項目の追記修正についてなんだが」
カレルレン
「君の好きなようにやっていいよ、リッキィ。そうだ、萌えについて私の見解を語りたいんだけど」
- 最近読んだ俺にはタイムリーな項目 面白かったわ -- 名無しさん (2014-04-16 05:03:03)
- たまたま目に付いたから読んだけどバーローとなんの関係もないから、ただひたすらに寒い -- 名無しさん (2014-04-19 18:50:23)
- 作中バーローといえる要素皆無だしな… -- 名無しさん (2014-04-19 22:24:28)
- バーローの部分、修正するか? -- 名無しさん (2014-04-19 22:29:13)
- お願いします -- 名無しさん (2014-04-20 00:13:41)
- バーローって何? -- 名無しさん (2014-06-11 14:39:55)
- バーローというのはオーバーロードの略のつもりでは? -- 名無しさん (2014-06-11 16:33:50)
- 分かりにくいしネタにもなってないのが辛いな -- 名無しさん (2014-06-11 16:42:22)
- あまりネタに走りすぎると訳が分からなくなるぞ。 -- 名無しさん (2015-03-01 17:35:14)
- 寒い記事だな -- 名無しさん (2015-05-07 22:32:41)
- 読み終わって他のSFと違う感慨深さあったわ 寂しさと報われることのない種族への哀しさと -- 名無しさん (2016-02-06 21:42:44)
- 最近fate/grand orderでもこの言葉を見たけどこれが元ネタだったか -- 名無しさん (2017-01-06 22:25:01)
- 自分もFGOで興味を持って読んでみたが、只管に切なかった -- 名無しさん (2017-02-15 19:25:14)
- ブラボのエンディングの一つに「幼年期のはじまり」があるけど、これもこの小説が元ネタなのかな? -- 名無しさん (2017-02-15 20:57:15)
- センスオブワンダーとはこういうことかと知れた作品 -- 名無しさん (2017-06-01 18:41:43)
- この小説がウルトラマンジードのモチーフとは・・・ -- 名無しさん (2017-10-08 04:07:43)
- ガンダム002期の元ネタでもあるのかな?(ヴェーダ、イノベイド、純粋種) -- 名無しさん (2019-06-15 03:08:39)
- 宗教要素は話の邪魔になるから、序盤に割とさくっと排除してるの草 -- 名無しさん (2020-01-02 09:55:06)
- ジードのモチーフの意味合いとしてはガンダム00やエヴァみたいな話の元ネタじゃなくて要素や名前の元ネタだと思う、ケイがSF小説家だったり(乙一はSF主体の小説家ではない)終始リクのモノローグがある文学的表現が一例としてある -- 名無しさん (2020-03-25 01:20:45)
- 有名なものとして朝倉リクの名前はこの作品の作者アーサー・C・クラークのもじりってのもある、これから読むので話自体の関連性は分からないがこの項目見る限りカレルレンとストルムグレンの関係性はベリアルとケイの関係性とかぶる部分がある、リトルスター発症の流れや真実はこの作品読んでるとわかるネタもあるらしい、なにせこれから読むのが楽しみ -- 名無しさん (2020-03-25 01:28:12)
- もしかしたら、田中ユタカさんの愛人も、これの影響受けてるのかな? 超存在(実は妄想だったけど)がやってきて、人類を支配するところとか -- 名無しさん (2020-04-03 16:15:22)
- 過去を一方的に”覗く”だけの装置のせいで、モーセやらジーザスがもっていた高貴な神秘性が消え失せて、宗教の起源が明確になったおかげで効力が失ったトコ好き その理屈を章ごとに何度も書き記していくクラークの意地悪さは大好き ジョージが息子らが「自分が届かないトコ」に行くときこととなった辺りは、寂しいというか -- 名無しさん (2020-11-09 16:40:02)
- 希望に満ち溢れた明るいSFで、21世紀の閉塞した現状で読むと眩しくてつらいわ -- 名無しさん (2020-11-09 19:06:39)
- ガンダム002期どころか1期から要素入っててCBの直訳が天上人なのはCBがあの世界の人類に変革を齎すオーバーロードの役割を担ってるって暗喩でもある -- 名無しさん (2020-11-09 19:45:24)
- 明るいかなぁ 序盤は確かにそうだけど、結末はめっちゃ虚無的だと思う -- 名無しさん (2022-04-27 18:51:02)
- ↑人類の現状はこの小説風に言うなら「誕生と死が満ちる盛夏」ってとこだろうか。そんな混沌とした状況に比べればラストの「終末の冬」も読者に次第では希望になるのかもしれない -- 名無しさん (2022-06-03 19:58:08)
- ↑ 冬だろうか? 新しい時代に新しい世代が出発するんだから、宇宙の春じゃないですか。別に人類が人類のままである必要はないでしょう。 -- 名無しさん (2023-08-04 19:27:02)
最終更新:2024年06月06日 13:11