シンクロアンデット

登録日:2011/08/19(金) 23:47:42
更新日:2024/12/08 Sun 11:43:43
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かつて遊戯王に存在していた1ショットキルデッキ。

展開力を活かし、素材モンスターを次々と展開し連続のS召喚を行う。
通称【シンクロアンデ】【アンデシンクロ】と呼ばれる。




【シンクロアンデット】の最大の特徴は、異常としか言い様のない後攻1ターンキル率

しかもモンスター1体、ブラフ無しで4枚カードセットしてターンを渡してもキルしてくる。

一般的な先攻1キルデッキはこれと同等かそれ以上のキル率を持つが、先攻でキルし損ねてしまったり、後攻になってしまうと若干不利になる。
その点このデッキは後攻ワンキルを前提として考案されたものであるため、攻撃できない先攻型よりも大きな脅威となった。

サイドデッキによる対策が行われるマッチ戦でさえ実質1強であったことからもその異常性が窺えるだろう。




…少し話が逸れるが、シンクロアンデットが台頭する1つ前の環境ではあるデッキが流行していた。

かの有名な《レスキューキャット》を主軸としたシンクロ特化デッキ【レスキューシンクロ】である。

レスキューキャット》による展開力、破壊力は凄まじく、環境の節目となる制限改定ではキャットを始め多くの主要パーツが規制された。
……ある1枚のカードを除いて。



《大寒波》
お互いに1ターン魔法、罠を使用できず、セットも封じる強力なカードである。
さらにこの時の改定で、今まで規制されていた《D-HERO ディアボリックガイ》は無制限となっていた。




……実の所、この時代からシンクロアンデットは【レスキューシンクロ】よりも展開力や復元力など様々な面で勝っていた。

が、《D-HERO ディアボリックガイ》の規制やアンデット族チューナーの不在により、後一歩力及ばなかったのだ。




だが……




ゾンビキャリア
CSOCで登場したアンデット族チューナーモンスター。通称ゾンキャ。
墓地に存在するとき、手札一枚をデッキトップに戻すことで蘇生する起動効果を持つ。
《馬頭鬼》や《ゴブリンゾンビ》など、これらの恩恵を受けるチューナーはアンデットが渇望していたものだった。

アンデット族は昔から墓地肥やしからの展開力が凄まじかったのだが除去能力に乏しかった。

しかし除去効果を持ったSモンスターが登場したため、あとはチューナーを待つだけであった。

そのモンスターというのが《氷結界の龍 ブリューナク》・《ダークエンド・ドラゴン》である。

《氷結界の龍 ブリューナク》は《ゾンビキャリア》+《馬頭鬼》or《ゴブリンゾンビ》、《ダークエンド・ドラゴン》は《ゾンビキャリア》+《D-HERO ディアボリックガイ》で容易に召喚することができる。




アンデットは欠けていた全てを手に入れた




遂に1ショットキルが可能となったのだ……



さて、話を戻そう。 

遊戯王では基本的に通常召喚が1ターンに1度、特殊召喚は何度でも行えるが、《馬頭鬼》のように下準備が必要か、魔法、罠による補助が必要となる。

しかしこのデッキはアンデットたちの強靭な展開力により、魔法や罠の力を借りられない《大寒波》の適用下でも、容易にワンキルすることが可能なのだ。

速攻魔法である《緊急テレポート》を《大寒波》にチェーンすれば、《大寒波》の効果処理前にサイキック族のチューナーモンスターを展開することもできる。

召喚した《氷結界の龍 ブリューナク》を起点としモンスターを展開していく。
キーカードは前述した《ゴブリンゾンビ》と《馬頭鬼》である。

シンクロに使用した《ゴブリンゾンビ》の効果で《馬頭鬼》か《ゾンビキャリア》をサーチ。
《氷結界の龍 ブリューナク》でそれら、若しくは《D-HERO ディアボリックガイ》を破棄しながらバウンス。
《馬頭鬼》で《ゴブリンゾンビ》か《ゾンビキャリア》を蘇生し次のシンクロに繋ぐ……
初期手札に揃ってなくて《ゴブリンゾンビ》1回じゃ足りない?だったら墓地に作ればいいじゃない。

終末の騎士》《ダーク・グレファー》の2体で《D-HERO ディアボリックガイ》や《ゾンビキャリア》を墓地に落とせば割とどうにかなってしまう。

特に《終末の騎士》は《増援》でサーチでき、自身も星4であるため、《氷結界の龍 ブリューナク》を出すのに都合がよかった。

そして、主要モンスターの殆どが闇属性
それ故にボチヤミサンタイこと《ダーク・アームド・ドラゴン》も無理なく積むことができた。



( ^ω^)「でもシンクロアンデは先攻1キルできないんでしょ? じゃあシンクロアンデに先攻渡せばいいんじゃねwww」



そうもいかない。
ここで《大寒波》のもう1つの効果が活きてくる。《大寒波》はお互いに1ターンの間魔法、罠の使用と“セット”が出来なくなる。

《大寒波》が本当に恐ろしいのはこのセットを防ぐ効果。

シンクロアンデが先攻でこれを使うと、後攻側はモンスターを出すことしかできなくなる。

つまりこちらは次の自分のターン、伏せがないために安全に、かつ魔法カードを絡めて展開することができるということである。

◆その他のキーカード
《おろかな埋葬》《死者蘇生》《精神操作》
精神操作、《死者蘇生》で奪ったモンスターはシンクロに使用可能であり、おろかな埋葬で相手に壁が一枚増えようと《氷結界の龍 ブリューナク》でバウンスできるため、大したデメリットにはならなかった。

《闇の誘惑》
2ドロー後手札の闇属性を除外する魔法カード。多くが闇属性に属するアンデットにとってこのカードは優秀なドローソースと化した。

《異次元からの埋葬》
通称玄米。
誘惑や効果で除外された《ゾンビキャリア》や《馬頭鬼》の帰還、またダムドの弾の調達から墓地封じのための相手の除外カードに対するメタとしても機能した。
ただ重要な素材を帰還させるだけでなく、このデッキの弱点を補うことができるカードとして一役買い、一気に価格は急騰した。

ゾンビ・マスター》《生還の宝札
ゾンマは墓地にアンデットがいないと使えない点から、宝札は《大寒波》適用下では使えないことから当初は採用されてなかった。
1強であるという認識が広まるとミラー戦では効果の薄い《大寒波》が抜け《生還の宝札》が、相手の《ゾンビキャリア》を奪える点と準備が必要ではあるが手札のモンスターを送れる点と蘇生が評価されマスターが環境後期に採用されていった。




―――これ以上の恐怖は無いと思われていた。
次弾であるCRMSが出るまでは――――




ダーク・ダイブ・ボンバー
説明不要の壊れカード。
当然採用されるのだがもともとシンクロアンデは☆6、8を主軸としたデッキであったためそれ程活躍はしなかった。

それ程活躍しなかったというのは、活かしきれなかっただけである。
《ダーク・ダイブ・ボンバー》を最大限に活かしキル率だけならシンクロアンデを上回るデッキが派生したのだが、それはまた別のお話。


09/03/01、制限改定が行われシンクロアンデットは崩壊した。
だが前環境の【レスキューシンクロ】共々プレイヤーにS召喚の強さ、恐ろしさを伝えるには十分すぎる働きをした。
結局、第7期後半にあたる時期までS召喚を軸としたデッキはトップメタであり続けていた。

そして2015年現在。
魔界発現世行きデスガイド》や《輪廻天狗》といった強力なモンスター、《ペイン・ペインター》や《ユニゾンビ》などデッキ内に入るアンデット族チューナーの増加もあり、このデッキは着実に力を取り戻してきている。
現在はリミットレギュレーションの変更やカードプールの増加によって、単なる大量展開ビートとは言えなくなっている。
全盛期には及ばないものの、復活の日はそう遠くないのかもしれない。

ちなみにコレの動きをテーマ自体の特徴として取り込んだカテゴリが【魔妖】である。


余談だが、かつては口語や匿名掲示板で「アンデシンクロ」と呼ばれていたのだが、これが遊戯王文化に大きな影響を持つサイト「遊戯王wiki」で「俗称的である」という議論を呼んで最終的にこの名前になった。
当時のデッキ名が【ベン・ケイ1キル】とか【次元帝】とか【除去ガジェット】とか【チェーンバーン】みたいな「主だった方法+勝利の手段」「大体8文字が限度」という命名だったのに対し、これだけ順番が逆転し、9文字というリズムが悪い名前になっているのはそういう理由。
wikiを擁護するわけではないが、当時の荒れた空気から自分たちを守るための措置の一つだったのだろう。
当時はシンクロ直後のインフレ期ということで色々荒れた話題も多く、wiki側も今以上にピリピリした雰囲気だったのだ*1



追記・修正は《ゾンビキャリア》扱いのチューナーを用いてお願いします。

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最終更新:2024年12月08日 11:43

*1 本当に当時は急激なインフレのみならず、「アッパーデック社問題」「調整中」「物理的にも雰囲気もあんまりにも暗すぎる5D's序盤」をはじめ、現在でさえ1つ話題に出すだけで簡単に大荒れする話題が、現在進行形の状態でバーゲンセール状態だった。荒れない理由はどこにもない。この時期に有名な荒れネタである「カードが違うということです」や「ジャッジキル」の話題が多く出たことには、こういう背景があったのだ。