むくみ
公開日:2016/05/18
最終更新日:2025/06/25

この記事を監修したドクター
子どもと女性のための病院と研究所国立成育医療研究センター
手足や顔などのむくみの症状は、血液やリンパの流れが悪くなり、細胞と細胞の間に水分や老廃物が溜まることで生じます。むくみの背後に隠れた病気が無いかの確認をし、原因が見つかれば治療が必要です。明確な原因が無い場合は、漢方治療やマッサージ、軽い運動などでの改善も期待できます。
むくみの原因は?
むくみは、婦人科や女性外来で遭遇することの多い訴えのひとつです。むくみの部位や程度はさまざまで、いわゆる体質的な部分に加え、女性ホルモンの変動や生活習慣など、その原因は複雑だと考えられます。
全身のむくみの原因としては、塩分の摂りすぎ、低栄養(低たんぱく)、腎疾患、心疾患、新陳代謝の低下、月経時の一症状として起こることもあります。足のむくみは、運動不足による血流障害や立ちっぱなしや座りっぱなしなど、同じ姿勢を長時間続けることが原因のひとつと考えられます。
背景に器質的な疾患がないむくみは、一般的には現代(西洋)薬による治療の対象とはなりにくいもので、漢方治療の良い適応となります。
背後に隠れた病気があるかないかを確認しましょう
低栄養(低たんぱく)、腎疾患、心疾患、甲状腺機能低下症、リンパ流の停滞する疾患など、背後に隠れた器質的な疾患があるかどうかをチェックすることが大切です。また、薬による作用として、痛み止め(非ステロイド抗消炎剤)、降圧剤(カルシウム拮抗剤)、ステロイド(副腎皮質ステロイド、エストローゲンホルモン、プロゲステロンホルモンなど)、下剤(酸化マグネシウム)の服用、その他、ダイエットの有無、月経周期との関係、季節や時間による変動などを確かめておく必要があります。ご自身の状態の変化をメモなどで記録しておくと受診の際にも役立ちます。
漢方医学では、血液以外の水分である「水(すい)」の偏りがむくみであり、水は冷やす性質があって、冷えにもつながると考えられています。また、冷えの原因には水のほか、血流障害や新陳代謝の低下があり、その原因や体質によって、その人に合った漢方薬の処方や日常生活のケアを行います。
どんな治療ができますか?
器質的な疾患があれば、まずはその治療を行います。薬の影響に関しては病態を把握している主治医と相談してみることが重要です。ご自身で中止することは避けましょう。
疾患に関連しないむくみに関しては、減塩や食事内容のバランス改善、血流改善のための運動や、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かること、足浴や下肢のオイルマッサージ、散歩などの軽い運動などは有効です。日常生活でセルフケアして、生活習慣に上手に取り入れていくとより効果的です。
漢方薬では体力の有無や胃腸機能などの体質的背景を加味して、「真武湯(しんぶとう)」や「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」、水分代謝を促進する「五苓散(ごれいさん)」、防已黄耆湯 (ぼういおうぎとう)、腎機能をサポートする猪苓湯 (ちょれいとう)などにより改善が期待できます。なお、漢方薬でも肝機能障害などの副作用が出る場合がありますので、定期的な通院が必要です。
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