2008-01-01から1年間の記事一覧
気が滅入ることが多くなり、ここぞとばかりに相米慎二の映画「台風クラブ」「ラブホテル」(共に1985年08月公開)を見返したところ、余計に気が滅入ってしまった。女子とはしゃいだ過去は今となっては虚しさを引きだすばかりだし、汚れた天使に救われるあて…
地下鉄神谷町駅から桜田通りをロシア大使館方面にむかう途中で、ふいに脇に逸れると、異質の空間が広がった。ぶらぶらするうちにそこらは森ビルの再開発により買収が進められているのだと気づき、写真を撮ってまわる。屋外は人が住んでいた時のまま放置され…
地方者の私が"小石川"なる地名を憶えたのは、青木玉「小石川の家」によってであったろうか。そのせいかもしれないが、日傘をさす着物姿の女が風呂敷包みを抱えてとことこ歩いている、そんなイメージを持ってしまう。(←小沼勝「生贄夫人」のオープニングがこ…
どうでもいいことについて 私の祖母は老いて外出できなくなると、一日中洗濯物の乾き具合を気にするようになった。ほっておけば乾くものを、日がなそれを気にして過ごし、庭に出ては乾き具合の確認を繰り返すのであった。阿部和重「ニッポニアニッポン」を読…
中野ブロードウェイの混沌ぶりにもまして、そこの横町界隈がこれまたどうかしている。青葉(ラーメン)や陸蒸気(炉端焼き)などの飲食店が蝟集する傍らに西友もあれば駅前ソープもあり、はたまた黒木香が飛び降り自殺をはかったりもした地帯である。で、中…
第一部☆杉作J太郎 過日、学生の頃から今日までつき合いのあるやくざ者と「杉作J太郎はいったいいつみうらじゅんさんに逆転されたのだろうか」という、どうでもいい議題について語り合ったのだが、いったいいつ逆転されたのだろうか。90年代後半、夜の放送…
なじる男 大学に入り、はじめてそこに行った帰り、道端で小松方正に出くわした。東京ってすげえと想うた。その後、名画座に通い込むうちに、小松方正*1と同様に、やたらと刑務官や刑事といった官憲の役が似合う男に惹かれるようになった。戸浦六宏である。薄…
CM制作会社にはディスクという女子がいて、困るのは、その娘が名字でなく 下の名前で呼ばれている場合である。ゆう子さん・あい子さん・りょう子さん・けい子さん・まち子さん・かずみさん・ひろ子さん・まゆみさんとか。 …… おいおいこれは中島みゆきの「…
亀有東映としてスタートし、80年代初頭からは成人映画の名画座として、日活ロマンポルノ、ピンク映画の特集上映やイベントを積極的に行ってきた亀有名画座が、道路拡張工事の施行に伴い、99年2月末をもって閉館することになりました。亀有名画座の作りあげ…
もし、それができることだつたら、 生れるずつと前から二人が知りあつて、そして、恋しあつて、 こんな世のなかに生れなければよかつたのに。 金子光晴 「展望」(「金子光晴詩集」岩波文庫収録) 東京三ノ輪の浄閑寺は、吉原遊女の投げ込み寺として知られる…
映画「OLの愛汁 ラブジュース」(田尻祐司・99)で、主役の久保田あづみが自室にてダサいトレーナーを着ているシーンがある。そのダサさは、はたしてピンク映画の衣裳ゆえのダサさなのか、普通のOLと印象づけるための演出上のダサさなのか、判断がつかな…
廃村を告げる活字に桃の皮ふれればにじみゆくばかり 来て 東直子「春原さんのリコーダー」に載る短歌であるが、久世光彦はこう評する。「最後の字余りみたいな二文字が凄い。一文字分の空白の後に、怖いくらいの>がある。女にしか出せない、性的な声である」…
執行猶予中にだって選挙権はあるのだから、愚図のおれだって日本映画オールタイム10を選んだっていいはずだ。
どことなくいやらしい形状をした妙見島は、東京都江戸川区と千葉県浦安市の合間を流れる旧江戸川にある。"旧江戸川"というネーミングセンスに無慈悲を覚えつつも、そんなところに島があるなどと聴くとついつい行きたくなるもので、06年04月にのこのこと出か…
ジャニーズの嵐主演の映画「ピカンチ」(02)は品川の八潮団地を舞台とする。大井競馬場にいくモノレールから見るぶんには凡庸な団地群にしか見えなかったのだが、この映画でみるそれには惹かれるものがあり、DVDで件の映画を見るなり、すぐさま出かけた…
ストレートトークというCMの手法がある。人物が商品やサービスについて語る…アップルのジェフ・ゴールドブラムのCMが著名且つ典型だろうか。*1 これは広告主のメッセージでなしに消費者のメッセージとすることを目的とする場合に用いられることが多い。…
中原俊の「櫻の園」(90)は、中島ひろ子という地味な顔立ちの子が主役である。主役を演じる顔をした者が主役を演じた方が映画は安定するだろうから、「櫻の園」は不安定であやうい映画となる。このあやうさが「櫻の園」の魅力であり、それにより「櫻の園」…
タクシーで都心から帰宅する際に「ほにゃららほにゃららを通って"水道道路"を行きましょうか?」と運転手が問うてくる。その水道道路がなんだか知らんので、拒否する。それを繰り返すうちに水道道路とやらが気になり、地図で調べる。すると↓の様に真っ直ぐな…
公園六区の人通りもまばらな映画街をゆく。千円足らずで入れるくたびれた廃屋寸前の映画館の前に立つ。東京クラブ。中に入った。上野あたりの安映画館は男色者の巣窟で、連中、魔羅がついていれば誰でもよい。たまに、そうした映画館にも、男色者が好きなレ…
● 2003.11 新橋(東京都港区) 俗にいう駅前ソープ。 この眺めが好きであった。荒木経惟が[手前に下町・抜けに聖路加タワー]の構図を好んで撮るけれども、そういう意味でアラーキー的に想える。聖路加もここも電通つながりであるし。(↑は電通が隠れているが…
いま私のいちばん好きな町、立石には、いまだに立石ミリオンが残っている。ときどき、ここで三本立ての一本を見て、線路脇の、焼鳥一本六十五円の居酒屋で安酒を飲む。映画館とは、時代や状況からこぼれ落ちたいと願う落魄者にとって、もっとも心やさしい隠…
CM制作会社に入り初めての撮影後、テレシネ・カラコレを終えたところで、撮影技師が「がっかりした? あんなに時間かけて撮影しても、後でこんな風に色を調整すると知って」と微笑みかけてきた。CMの撮影の場合、おおむね1カット1時間かけて照明を作り…
90年代の終わり、ピンク四天王(瀬々敬久・佐野和宏・サトウトシキ・佐藤寿保)とそれに続く上野俊哉や田尻祐司・女池充ら*1が 陋巷の闇で輝いていた時代、葉月螢が女神であり、朝倉大介が黒幕であった。朝倉大介とは、ピンク映画の制作会社・国映の作品に欠…
97年03月06日に東京池袋の名画座・文芸坐は閉館する。ニュースステーションで中継が行われもした。最期の上映作品は成瀬巳喜男「歌行燈」であった。文芸坐は「文芸坐」「文芸坐2」「文芸坐ル・ピリエ」*1の3つの劇場と書店からなっていた。 (宣材「ぶんげ…
「時間ですよ・昭和元年」では、そのコンビも新しく細川俊之と安田(大楠)道代になった。吉原の足抜け女郎と、兇状持ちのやくざ者の設定である。---二人は、やがて心中するに違いない。 久世光彦「昭和枯れすすき」(「マイラストソング4 ダニーボーイ」収…
私大生の頃、水道橋ウインズA館の8階にほぼ毎週土日 通っていたのだが、そうこうするうちに顔見知りの年増女が出来て、ある日その年増女にお辞儀までされたことがある。やばいと想うた。どんだけおれはウインズに馴染んでいるんだよ…と。他に「トータライ…
四ッ谷・渋谷・茗荷谷と地名に「谷」のつくこれらの土地は、地下鉄が地上を走ることで その地がまさに「谷」であることを思い知らされる。同じく「谷」のつく鶯谷、ここは「谷」なんて呑気な言葉の似合う場所でないのはいうまでもない。駅前がいきなり陋巷……
○ 赤羽さゆりは東京都北区の赤羽出身。google検索すると2chのスレ「【深夜枠】サブカルなテレビ【単発物】」が上位にヒットする。ここの>>280「サブカル的番組と言えば、高橋幸宏が司会してた情報番組「AXEL」。思えば、当時(5年前くらい)が、俺的に…
高村薫の小説「照柿」は 偶然 出くわしたがために人生を狂わせていく三人の男女のお話である。その宿命はJR拝島駅から始まる。失業したおり、暇に任せて一思いに再読した その明くる日、無性に拝島駅が見たくなり、電車に乗ってわざわざ行ったのだが、もち…
● 2004.06 江戸東京たてもの園(東京都小金井市) 真ん中の写真は、もう少し下にふり 床への映り込みを見せるようにしないといけませんね。そもそも水平がとれていないのだれども。(こんな 安物カメラで4年前に撮ったものでも、このように腹立たしいのだか…