10月30日(木)~11月14日(木)の期間、一般社団法人 東京建築士会主催の「第24回 住宅課題賞2024」が開催され、建築・環境学部の川村彩良さん(建築・環境学科 すまいデザインコース3年)が板坂賞、保坂賞を受賞しました。
「住宅課題賞」とは、建築を学ぶ学生が、建築の基本である住宅の設計を通して建築への興味とその社会的な意義の認識を深めるとともに、大学間や第一線の建築士との交流によって建築教育に関する情報交換と向上を図ることを目的に企画されたものです。関東圏の大学より、各大学で開講されている設計に関するカリキュラムの中で課された、住宅課題の優秀作品を展示し、さらにその中から公開審査により「審査員賞」を数点選出しています。
今年度は39大学53学科から代表作品が出展されており、関東学院大学からは、川村彩良さんの「環境に働きかける家」、木下真之助さん(同学部同学科 建築デザインコース3年)の「シェアタウン~暮らしを拡張する建築~」の2名の作品が出展。11月2日(土)に行われた審査員4名による公開審査では、4時間にもわたる白熱した議論が交わされ、53作品のうち5作品が各審査員の名がつく審査員賞を受賞しました。そのうち、3作品が2名からの受賞となり、川村さんは見事「板坂賞」「保坂賞」の2つを受賞しました。
川村さんの作品は、「すまいデザインスタジオ1」の講義にて行われた、大学内の好きな空間で実寸大の作品を生み出すというインスタレーションから着想を得たもの。建物自体の形も、講義内で行ったドローイングやモデリングを通し、インスタレーションで感じた「存在しない誰かの気配」を視覚的に表現し、様々な素材を自由に組み合わせながら構想を深めました。そうして手を動かすことで形を追求し、目を瞑って紙を切るといった手を用いた作業から、偶発的に生み出された形を組み合わせて設計し楕円形の塔になったといいます。また、川村さんは「他人からどのように見られているかを考えることや、後悔したことや楽しかったことなど、過去の出来事を振り返ることが多いです」と話します。そうした経験をもとに、過去が繋がって末来の自分に影響しているという感覚を形にしたかったとし、11層の階層に分かれた楕円形の塔は、階層が上がるにつれて過去から未来に進む自分を重ねて設計。特に、地下1階と最上階の寝室フロアがお気に入りで、床をくぼませ、ベッドではなく建築そのもので寝ることで自分と住宅が共存する仕様にしたと、こだわりを見せました。指導にあたった助手の村山徹先生は、「建築は構造とどういう物が作りたいかが成り立ってこそのものですが、『すまいデザインスタジオ』の講義では、普段はやらない自由な発想で見たことがない建築をつくるということを目的に行っており、川村さんは自分の作りたいものがイメージできていたので、それをどう形にするかという部分で、適当に紙を切ってみてはどうか、というアドバイスを行いました」。
川村さんは今回の受賞に伴い、自身が建築を学ぶきっかけになった、憧れの保坂 猛(保坂猛建築都市設計事務所)氏から審査員賞をいただけたとのことで、その喜びはとても大きかったと話します。ですが、審査員からの、この作品はどのように出来上がったのか、この作品で伝えたいことはなにか、という質問や「建築は的確な方法で伝える力が求められる」という講評を受け、言語化が苦手だとし「デザインの意図や想いをしっかり伝えられるようにしなくてはいけない」と今後の課題も見つかった様子。
昨今、建築士はAIに代替できる職業と言われていますが、川村さん、村山先生は「今回の講義のように、インスタレーションから何かを作るということは人間にしかできません。作ることの楽しさや、作ったものへの想いはAIでは表現できず人間にしか生み出せないものです。そうしたことをカタチにしたり、講義を通して学び、伝えていければ」と話しました。
関東学院大学は、今後も学生に作ることの楽しさをしってもらうため、自由に考えを巡らせ思考できる講義を展開していきます。
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