国の中央省庁が2024年4月1日付で採用した博士号取得者が59人、修士号または専門職学位取得者が506人に上ることが、内閣人事局、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局、文部科学省高等教育局の集計で分かった。

 調査は26府省等(内閣官房、内閣法制局、内閣府、宮内庁、公正取引委員会、警察庁、個人情報保護委員会、カジノ管理委員会、金融庁、消費者庁、こども家庭庁、デジタル庁、復興庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省、人事院、会計検査院)に対して博士号取得者及び修士号・専門職学位取得者の採用人数調査を実施した。なお、いわゆる「満期退学者」や「法務博士(専門職)」は博士号取得者に含まない。

 内閣府によると、採用された博士号取得者は、研究職に23人、行政職に17人、教育職に13人で、この3つで全体の大半を占めた。採用方法では選考採用が41人で最も多く、次いで試験採用の15人。博士号取得者を採用した中央省庁は9府省で、このうち厚生労働省が19人、防衛省が16人と多かった。行政職で最多は厚労省の4人だった。

 採用された修士号または専門職学位取得者のうち、行政職には462人、研究職には29人がついた。採用方法は試験採用のうち総合職試験が335人で最も多く、試験採用の一般職試験93人、選考採用58人と続いた。内閣法制局、個人情報保護委員会、カジノ管理委員会、復興庁を除く22府省庁が採用している。府省庁別では農林水産省の107人、国土交通省の89人、経済産業省の66人、環境省の42人が目立った。

 文部科学省では、毎年、総合職全体で30名程度の博士課程修了者を採用しており、総合職採用者数に占める博士課程修了者の割合は2024~2026年度採用者平均が1割を超える。職員の適性や希望に配慮しつつ、博士の持つ能力を最大限に活かした柔軟な人事に向けて環境を整備し、今後も更なる増加を目指すとしている。

 防衛省・防衛装備庁でも博士号取得者は活躍している。装備品等の研究開発プロジェクトの実施や技術政策の企画・立案に従事する研究開発系技官を例にとると、約610名のうち、約165名が博士号を保有。博士としての専門的知見、研究マネージメント力を活かした大規模研究開発プロジェクトを主導している。博士課程修了者の採用は航空宇宙工学、バイオ情報科学、生命医用工学など様々な分野から毎年数名の実績があり、留学研修により、採用後の職員の博士号取得も支援している。

参考:【内閣府】各府省等における博士号取得者及び修士号・専門職学位取得者の採用人数調査結果の公表について

大学ジャーナルオンライン編集部

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