「名馬」を語る 芦毛伝説の“語られざる章”を担った馬ホクトヘリオス。若き柴田善臣騎手との蹄跡を紐解く 2025年9月5日 芦毛伝説に名を残す異端児 1980年代後半から90年代初頭、突如“芦毛旋風”が吹き荒れた。4歳(現3歳)の400万条件戦(現1勝クラス)から、8連勝で春秋天皇賞と宝塚記念の3つのGⅠを制覇したタマモクロスの登場。そして、タマモクロスの引退後、国民的ヒーローと化したオグリキャップ。有馬記念で感動のラストランを飾ったオグリ... 夏目 伊知郎
「名馬」を語る [メイショウ馬たちの追憶]ダービー馬 メイショウサムソン 2025年9月4日 「青地に桃襷、桃袖」の勝負服、「メイショウ」の冠名を持つ馬たちが、週末の中央競馬でいつも多く駆けている。レース中の馬群の中、勝負服を見るだけで一目でメイショウの馬とわかるほど印象的で、長年にわたって親しまれている。 冠名の創始者、松本好雄オーナーが、2025年8月29日にご逝去された。個人馬主として史上初となるJRA通... 夏目 伊知郎
「名馬」を語る 皐月賞馬・ジオグリフ引退に寄せて。ジオグリフが刻んだ「挑戦の足跡」を振り返る 2025年8月28日 2025年8月27日、ジオグリフの現役引退が発表された。 結局のところ「ジオグリフってどんな馬なのか」を、最後まで掴みきれないまま終わってしまったように思う。ただ言えることは、とんでもない強烈な黄金世代に生まれてしまった…ということである。生まれてきた世代が違えば、彼の蹄跡はもっと華やかなものになっていたはずだ。 通算... 夏目 伊知郎
「名馬」を語る 禍福は糾える縄の如し - メジロボサツとメジロドーベル 2025年8月23日 1.新たな「メジロ」の誕生 2025年1月、1頭の馬の名前が話題を呼んだ。その馬の名は「メジロピオラ」。「メジロ」は日本屈指のオーナーブリーダーとして名を馳せたメジロ牧場の冠名であるが、2011年のメジロ牧場解散に伴って姿を消していた。命名の経緯について、メジロ牧場の後継であり、メジロピオラを生産したレイクヴィラファー... 縁記台
「名馬」を語る 3つのティアラに愛を。儚さをまといながら記憶に浮かぶ名牝、スティルインラブ 2025年8月22日 京都競馬場のパドック裏に伸びる三冠馬メモリアルロード。 喧噪から少しだけ離れた小径は季節ごとの花に彩られ、遠くから子どもの笑い声や実況の余韻が風に乗って届く。静かに佇む歴代の名馬たちの馬像は、時を超えて訪れる人々を見つめている。彼らが織り成したドラマに思いを馳せながらゆっくりと歩くと、淀の地が見守ってきたたくさんの栄光... norauma
「名馬」を語る 薔薇はたしかに咲いた。ローゼンクロイツと中京競馬場 2025年8月16日 2005年の競馬界はディープインパクトの衝撃に揺れていた。シンボリルドルフ以来、日本競馬史上2頭目の無敗の三冠馬となった「日本近代競馬の結晶」の話題は、普段は競馬を見ないという人々にも時事ニュースとして知れ渡るほどであった。それこそが、ディープインパクトの異次元の強さ・影響力を物語っていた。そんなディープインパクトと共... 笠原 小百合
「名馬」を語る アイドル性と実力の掛け算。思い出の白毛馬、ユキチャン 2025年8月11日 今でこそシラユキヒメ牝系はブチコからソダシ、ママコチャがあらわれ、GⅠ馬の牝系としてマルガの未来へとつながっているが、初期は白毛という毛色だけがクローズアップされ、ただ珍しい毛色の一族だった。見た目で人を判断してはならない。ルッキズムなる言葉もまだ浸透していなかったころ、普通と違う外見を持つものはただただ異形という扱い... 勝木 淳
「名馬」を語る カフジオクタゴン - メジロ血統を受け継ぐダート活躍馬 2025年8月10日 つい、口にしたくなる馬名がある。たとえば、カフジオクタゴン。語呂がとても良い。馬主の冠名カフジに八角形のオクタゴンという、分解してみればいたってシンプルな馬名であるが、私はこの馬名が好きだ。 主に彼はダート中距離戦線で活躍し、主な勝ち鞍はレパードステークスである。そんなカフジオクタゴンの背景を探ると、そこにはメジロ牧場... 大守アロイ
「名馬」を語る 馬がいて、人がいて…。横山和生とハイランドピーク 2025年8月9日 爽やかな札幌の夏空。砂埃の向こうでひときわ大きな歓声が弾けた。 勝者、ハイランドピーク。その背には横山和生。彼は込み上げる思いを噛みしめるように左手を突き上げ、それから愛馬の首筋をそっと撫でた。父・横山典弘という偉大な存在を追い続けてきた青年が、ついにJRA重賞初制覇という勲章を手にした。 多くの競馬ファンにとって「横... norauma
「名馬」を語る [追悼]ありがとう、グラスワンダー。灼熱の時代を駆けた“マル外の怪物”の蹄跡を振り返る 2025年8月9日 力強く大地を蹴り上げ、隆起した筋肉を誇る栗毛の馬体がゴール板を駆け抜けた。誇らしげな人馬が、喝采を一身に浴びていた。 あの姿を、私たちは忘れない。 ひとつのいのちが、静かに天に旅立った。 グラスワンダー。灼熱の時代を生きた、マル外の怪物。享年30歳。本当に長く、よく、生きてくれた。今はただ、心からの感謝を伝えたい。 衝... norauma