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レコードを回している、ディスクジョッキー(DJ)の男性のイラストです。 – いらすとや

「有名曲なのに、なぜかフロアの反応がいまいち」

DJをやっていますと、ゲストとして呼ばれたイベントで他のDJさんのプレイを見ることができます。

とても勉強になるわけですが、一方で「やけに音に迫力のないDJ」に遭遇することがあります。音に迫力がないと、ヒット曲をかけたとしてもお客さんの反応がいまいちだったりします。

なんで音に迫力がないんだろう・・・?

いろいろ気になったので原因を調べてみました。

機材のせい?

音に迫力がないDJの共通点を思い起こすと「一体型PCDJコントローラーを使っている」というのがありました。たしかに、DJのあいだでよく言われるウワサで「一体型PCDJコントローラーはオーディオインターフェース単体に比べて、音がよくない」というのがあります。

そこで、一体型PCDJコントローラー(以下一体型)とオーディオインターフェース単体(以下I/F単体)とで、音の迫力が違うのかどうか確かめてみました。

調査方法

一体型とI/F単体を”周波数特性”で比較しました。これは「特定の周波数別(=音の高さ別)で、どれくらいの音量が出ているのか」を比較することができます。

一体型のほうが音が痩せるのであれば、目に見えてグラフに違いがでるはずです。

使用ソフト

  • WaveGene 1.50
    4096サンプルのスイープ波形を44100Hzで3分間出力したものをスイープ信号として使用
  • WaveSpectra 1.51
    周波数特性を確認するソフト Peak値で測定
  • Native Instruments Traktor
    スイープ信号を再生するのに使用 リミッターやオートゲインはOFFで再生

くわしく調査方法を知りたい方はこちらをどうぞ
周期スイープを用いた周波数特性の測定について

調査したDJ機材

機材のせい?(実測編)

まず試しに、NI AUDIO6と、マックブックエアーのヘッドホン端子とで比較テストを行いました。

MACvsNIA6_03

赤いグラフがAUDIO6、青いグラフがマックブックエアーです。

マックブックエアーを最大音量にしても音が小さすぎて比較にならず。ダメじゃん・・・。
教訓:DJするときはDJ用の機材を使おう!

さて、ここから本題。

NI AUDIO6をリファレンスとして、DDJ-SB2とMIXTRACK PRO 3を比較してみます。

DDJSB2vsA6_03

MTP3vsNIA6_03

一体型、大健闘。

周波数特性において、一体型はNI AUDIO6に引けを取りません。
若干違いは見て取れるものの、「音の迫力の違い」が感じれる差はないと思います。

※なおNumarkのだけ音が小さかったので、TraktorのGAINで+2dBほど足してあります。

じゃあエンコーダーのせい?

機材で差は出ないとすると、再生するソースに差があるのでは?

「iTunesで圧縮したMP3と、lameで圧縮したMP3とでは、音が変わる」という話がありますし、iTunesでCDの取り込みと楽曲の管理をしているDJはかなり多いので、そこをちょっと調べてみました。

lameで作った320kbpsのMP3に対して、iTunesからAAC 256kbpsとMP3 320kbpsを作り、曲を1拍だけループさせて周波数特性を比較してみます。

lameVSaac_03 lameVSitunesMP3_03

たいしてかわらず・・・。

よーく見ると、「lameは重低音と高音域をばっさりカットして真ん中重視」「itunesはAACもMP3も全体域でわりと残している」という傾向が見て取れますが、おもいっきり音が痩せたり太ったりはしていないようです。

自分的には ”iTunesのMP3はシンバルがシュワシュワした音になるから全部lameでエンコード” というポリシーでいますが、わりとそこらへんは各自好きか嫌いかの範疇になると思います。

もしかしてビットレートのせい?

iTunesのMP3を作るときに気がついたのですが、

iTunesのCD読み込み設定をMP3にすると、
デフォルトのビットレートは160kbps(良音質)になります。 

itunes_encoder_defalt_setting

もしかして・・・原因はこれ・・・?

というわけでiTunesのデフォルト設定で作ったMP3とlameで作った320kbpsのMP3を比較です。

320vs160_03

30Hz以下と10kHz以上で音が削れていて、全体的にこもった音になっています。
聞いた感じも、「あの日クラブで聞いた、PAのEQではどうにもならない痩せた音」に似ています。

というわけで、

「音に迫力のないDJは、iTunesのデフォルト設定のせいで発生する」

というのが結論っぽい。

なお、PCDJではなくCDでプレイするDJも、iTunesでCDを取り込んでる人は同じ現象に遭遇します。

まとめ

DJはいますぐiTunesを開いて

「編集」→「設定」→「一般」→[インポート設定]のボタンを押し

MP3 160kbpsになっていないか確認しよう!!!

おすすめの設定は
MP3だったらカスタム(ステレオビットレート 320kbps)
AACだったらiTunes Plus
です。

なお、設定を変えても「これまでに取り込んだCDの音質は上がらない」ので、
MP3 160kbpsだった人は、また同じCDを取り込みなおす必要があります・・・・・・・・・。

おまけ

  • WAV、FLAC、MP3 どれがいいの?
    • 普通にDJしていればほとんど差が出ないっぽい。
    • 「マスターテンポをかけて速度を超絶遅くしたときに、WAVのほうが荒れない」というのはああるけど、それくらいしないとわからないと思う。
    • 十分にストレージの容量がある人は、ロスレスだのWAVだの使えば悩まずに済みますが、そうでなければMP3 320kbpsで十分かと。

おすすめ機材

すこしでもケーブルのノイズを減らしたければEXFORM製のケーブルがおすすめ。あと目立つ。

 

DJ用のオーディオインターフェースをお探しならNIのAUDIO2が安くて最強です。おすすめ。

 

「WAVやロスレスで取り込みたいけどMacの容量足らないよ!」という人は、SSDを自分で交換するキットというのもあります。対応機種をよく確認してレッツトライ。

参考リンク

iTunesのMP3エンコーダとLAMEを音声波形で比較、異なるところはどこか検証 – 道すがら講堂

検証:WAVと320kbps mp3はクラブで聴き分けられるのか!?:FLYING COW – DJ Q’HEY blog:So-netブログ