マイナビニュースの『これでラブラブ長続き!? 同棲して最初に決めるべきルールとは』という記事が話題になっているようです。お金、家事、食事、習慣と4つに分けて、同棲が長続きするための経験者によるルールが紹介されています。例えば、
「お菓子やデザートなど、相手の買った食べ物を断りなしに食べない」(24歳/神奈川県/女性)
や、
「トイレの便座を下げる」(27歳/千葉県/女性)
は、細かい話ですが、「ああ、そうだな」と納得できるものです。ただ、中には、同棲中ならまだしも、それを設定することが結婚後(特に妊娠出産後)に、足かせになるようなものがります。老婆心ながら注意喚起のために、ネチネチと小姑チェックをしました。
「生活費として毎月お互いの給料から2万円ずつ出し合って、食材や雑貨、ふたりで使うものはその中から使う」(26歳/神奈川県/女性)
まず、生活費を同額給料から支払うこのルール。一見公平であり、必要十分な生活費を支払えば、残りは自分が稼いだものとして使うというのは合理的な気もします。しかし、結婚すると世界が変わります。まず、同棲期間中であれば、生活費の残りは特有財産(個人個人の財産)です。一方、結婚後は、特に夫婦財産契約(婚前契約)で規定していない限り、生活費をどう出し合おうと、生活費の残りは全て実質的共有財産(夫婦の財産)です。これが何に影響するかといえば、離婚時です。特有財産は離婚時には財産分与の対象となりませんが、実質的共有財産は対象となります。
相手は好き放題生活費の残りを使っていて、自分は残しているとき、相手の浪費が本当に一人だけのためのものであったか後になって証明するのは困難ですから、自分の残している財産だけが離婚時の財産分与の対象になる可能性があります。
発言小町の参考トピ:離婚時、貯金について 抹茶 2011年8月17日 20:38
またこのルールが長く適用されてきていた場合、例えば妊娠出産リストラなどで一時的に無収入になり、生活費を入れられないことが大きな負い目となります。
発言小町の参考トピ:何かおかしいと思い始めている結婚生活 山田 2012年4月3日 3:47
「ゴミ出しや洗濯はどちらか手があいてる方が行い、掃除はなるべくふたりでやる」(29歳/埼玉県/女性)
「早く帰った方が夕飯を作る」(27歳/東京都/女性)
この種の「家事はできるほうがやる」ルールも、一見公平に見えますが、大きな罠があります。このルールを作ると起きる悲劇は「やりたくない方が忙しいフリをする」です。「最近、まじ、忙しいわー。今日も仕事で全然寝てないわー(チラ、チラ」などと徹夜や忙しい自慢をアピールすればするほど、家事をしなくて済む。経済学的には家事をしないことへの負のインセンティブが働くわけです。特に、女性の方が最初は精通しやすい育児の場合、男性は「俺がやると時間かかるし、やっぱりできるほうがやるほうが効率的だよね」などと、育児を全て女性におっ被せる荒業をしてきます。
発言小町の参考トピ:共働き、生活費は折半、家事は・・ アゲハ蝶 2005年10月14日 8:56
「電気・水道は、つけっぱなし・出しっぱなしにしない」(29歳/神奈川県/女性)
こういう努力はして当然です。しかし、この「~しない」の世界が拡大していくと、気付いたら節約をすることが目的にすり替わっていることがあります。その努力をしたことでどれだけの節約が可能か、努力をすることによる精神的・肉体的な負荷に対するコストパフォーマンスを確認しないと、節約に縛られたストレスフルな生活を送ることになります。ルールを破られた側も、例えばパートナーがたまたまトタバタしてエアコンを付けっ放しにして外出した時など、事情がある場合でさえ、決めたルールが破られたことに対してイライラしてしまう。
発言小町の参考トピ:お金にけちけちしてしまう、つらい。 はなぞう 2012年3月30日 12:34
ネチっこく突っ込んでみましたが、ざっくり言ってしまうと、マイナビニュースの同棲生活におけるルールは、諍いが起きる度にそれを排除するため対処療法のルールが多いように思います。それ自体は生活の知恵ではありますが、結婚生活は諍いが起きるのは必然ですので、諍いを潰すルールは際限がなくなりルールだらけになり、ルールを守って生活するのが息苦しくなってしまう。
このため、諍いが起きにくくなるための、防衛(予防)のためのルールを予め決めることが望ましいと思われます。各家庭によって違うでしょうが、発言小町ウォッチャー暦6年目の自分として、色々な家庭内トラブルを読んできてこんなところかなと思うルールを以下列挙いたします。
■お金についてのルール
・収入の多寡・有無、家事負担の大小により生活費負担を臨機応変に変更すること
・双方が希望する子どもへの教育、両親の介護に必要な費用を予め計算すること
■食事・家事についてのルール
・相手が自分のためにしてくれた行為は、出来がどうであろうとまずは感謝の意を示すこと
■習慣についてのルール
・一定期間に起きた出来事を話す時間を定期的に設けること(例:週一回土曜の夜一時間)
・相手が話していることを否定しないこと
・不満は口にしなければ相手に伝わらないと理解すること
・不満は軽いうちにぶちまけること
・相手の親族とのやり取りは実子が原則対応すること
・宗教、政治の方針を明らかにするか、明らかにしないかを決めること
・話がこじれたときのための仲裁をする第三者を決めること
・どうしたら気持ちのいいセックスができるか話し合うこと
以上です。
あまり具体性がなくピンと来ないですかね。どれも、「諍いは必ず起きる」という発想の元、諍いの芽が大きくなる前に話ができる環境を作るためのルールです。落ち着いて話ができさえすれば大抵の問題は解決できるはず。話ができない環境であったり、話をしても解決できないような問題があるのであれば「はい、次行きましょう!」です。