顔を覚えてもらうには月１では不足？ : ぽえむ 用賀店

1ヶ月半ぶりに再訪。

仕事帰りの平日17時前にお店に着くと、左側真ん中の区画の奥側のテーブルにマスターが1人ポツンと座っていました。
前回は衝立を隔てて奥側のテーブルに座ったのですが、「こちらにどうぞ」とご店主の居た区画に案内されたので、今回はその区画の手前側のテーブルに腰を下ろしました。

いただいたのは、コーヒーがパナマ 秋味 700円、スイーツがクラシックショコラ 480円（いずれも税込）。

パナマ 秋味は、パナマ・ボケテ渓谷にあるバホモノ農園のティピカ種100%を中煎りしたコーヒー。コクがあり、焙煎の香りを楽しめ、それでいて苦味の無い飲み易いコーヒーでした。

クラシックショコラは、しっとりした口当たりでチョコレート感満点。このコーヒーのお供にぴったりでした。

前回初めて訪れたときは、確かなかったと思うのですが、この日は店内に懐かしの昭和歌謡が。初めはちあきなおみの「喝采」、それから演歌が流れていました。
「ひと昔前の喫茶店と言えばクラシック音楽が流れていたものなのに、うちのお店はそれらしくないでしょ？」と謙遜されるマスター。
話題はやがて最近多く訪れる若者についての印象に及び、現在のマスターがお店に立ち始めた頃と比較すると一見礼儀正しい子が多い一方、こういう喫茶店に慣れておらず、ドリンクを注文せずケーキだけを注文しようとする子がいる、等々。
前回来店した後、次回は昔の用賀界隈の話をマスターに伺おうと思っていたのに、マスターの話題に合わせていたらついつい聞きそびれてしまいました。

マスターに前回来たときのことも話したのですが、私が来たことは全く覚えていらっしゃらないご様子。やはり月1程度ではダメなのかな？
年内にもう一度、お邪魔したいと思います。

私がお茶や紅茶と同様にコーヒーを日常的に嗜むようになってから約3年。その間、色々なお店でドリップバッグをテイクアウト購入したり、店内にてドリップコーヒーやアレンジメントコーヒーをいただいたりして来ました。
私が暮らす用賀近辺でも、以前からあるお店、最近新しくできたお店を何軒か訪れ、その中には行きつけのお店も幾つかできました。
そんな中、私が用賀に転居して来た当初からその存在に気付いていながら、未だに訪れたことの無いお店が一軒残されていました。それが、このぽえむ用賀店さんです。

調べたところによると、「ぽえむ」さんは日本最初の珈琲専門チェーン店で、1966（昭和41）年に東京・阿佐ヶ谷にて創業。1971（昭和46）年に創業者が株式会社日本珈琲販売共同機構を設立し、「ぽえむ」の名前でフランチャイズ店を全国に展開。最盛期には全国80店舗にまで増えましたが、現在は都内10、神奈川・埼玉・沖縄各2、千葉・長野・大阪・高知各1の計20店舗となっているようです。
確かに、あの「ドトールコーヒー」さんも、コーヒー焙煎・卸売業を営む有限会社ドトールコーヒーを設立したのは1962（昭和37）年ですが、コーヒーショップのチェーン展開を始めたのは「カフェ コロラド」が1972（昭和47）年、「ドトールコーヒーショップ」が1980（昭和55）年からですから、ぽえむさんはコーヒー専門チェーンとしてはドトールコーヒーさんより少し先輩なんですね。今やドトールコーヒーさんは1,000店舗超だそうなので、大分差が付いてしまいましたけど。

このお店の前は良く通りかかるのですが、店内を覗くと何故かカウンター内にいる老マスターと良く目が合ってしまうのと、店内が結構狭いということがあり、何となく敬遠していたような気がします。
でも、この日は意を決して仕事帰りに寄ってみることにしました。

夕方17時頃にお店に着くと、店内には男性の老マスターと常連らしいワンちゃん連れの初老女性1人のみ。数日前の夕方に通りかかったときは1人客が4人もいて込み合っていたのですが、この日は幸いにもゆったりした雰囲気です。

店内配置は、右側にキッチン、左側に仕切り板で手前から4区画に区切られた客席があり、それぞれ2人掛け用のテーブルが2卓ずつ置かれていますが、一番手前のテーブルの入口寄りには鉢植え、一番奥のテーブルの右側の椅子にはぬいぐるみが置かれていて、この2卓は実質1人掛けとして使われているようです。更に、キッチンの奥にも客席スペースがあり、4人掛けと2人掛けテーブルが1卓ずつ置かれています。
先客の女性は手前から2番目の区画の奥側のテーブルに着席していて、私はその奥の区画の奥側のテーブルに腰を下ろしました。

卓上に置かれたメニューを見て、コーヒーはフレンチ バリアラビカ アイス 700円、スイーツはジャーマンクラシック 500円（いずれも税込）を注文。6分程で運ばれて来ました。

フレンチ バリアラビカは、インドネシア・バリ島北東部にあるパトゥール湖畔で収穫されたアラビカ種を深煎りしたコーヒー。
やや苦味がありますが後を引く程のことはなく、深煎りらしい香ばしさを楽しめます。

ジャーマンクラシックは、クルミ、クランベリー、アーモンド、マカデミアナッツ、クリームチーズを生地に練り込んだドイツ風の焼菓子。
生地よりナッツなどの方が多い感じで、とても食べ応えがあります。

20分程滞在した後、退出前の最後の会計時にマスターと暫し懇談。
用賀に20年暮らしてこのお店の前を何度も通っていたのに入店するのはこの日が初めて、と話すと、どうして？私が怖い顔してるから？と心配そうなマスター。いえいえコーヒーに目覚めたのが最近なので、と答えると安堵したご様子です。
お店の歴史をお尋ねしたところ、オープンは1976（昭和51）年。駅前の珈琲譚さんが開店したのが1987（昭和62）年ですから、それよりも11年前。恐らくこの界隈では一番の老舗だと思われます。
また、マスターは2代目で、1989（平成元）年から働いておられるとのこと。マスター歴34年の大ベテランです。
マスターによると、こういうレトロな喫茶店が少なくなって来たせいか、最近若い人が結構訪れるようになったものの、コーヒーそっちのけで写真ばかり撮っているとのこと。
喫茶店の雰囲気を楽しむのは結構ですが、折角良いコーヒー豆を取り揃えているのですから、コーヒーもじっくり味わってもらいたいですよね。

用賀には私のお気に入りのLEPO COFFEE STANDさん、WOODBERRY COFFEE ROASTERSさんのような今時のコーヒー専門店が増えて来ましたし、スターバックスやドトールといった大手のチェーン店もいつも多くの客で賑わっています。
でも、古くからの住民に愛されているぽえむ用賀店さんや珈琲譚さんのような昔ながらのレトロ喫茶も欠くべからざる貴重な存在。これまでこちらにはご縁の無かった私ですが、これからは時々お邪魔して、マスターから色々なコーヒーの話や用賀の昔話を伺いたいと思います。