清水銀座の老舗 : 食道楽

ちびまる子ちゃんでお馴染みの静岡県清水市…じゃなくて、今は静岡市と合併し静岡市清水区にある食道楽さん。
まさにちびまる子ちゃんの舞台になっている清水銀座にある老舗ふぐ料理やさんです。

出張で静岡には泊りで行くことがまあまあ、あるのですがいつも静岡駅周辺で飲み歩き。
おでん横丁とかね。
知人からおすすめの店が清水にあるとのことで、初の清水飲みです。

雰囲気のある夜の清水銀座をてくてく…
雰囲気あると言えば聞こえは良いのですが、夜は早いようで既に人影がありません。
地方の商店街はどこも厳しいですね。


創業80年の老舗フグ料理店。
旬はこれからの冬場です。
フグ料理だけでなく、和食全般が美味しくいただけるそうで、静岡らしくウナギも人気とのこと。
夏場ならウナギをメインでお願いしてもいいかもね。
今年はコロナ禍でこちらも苦戦されていたようですが、テイクアウトでウナギ弁当なども人気だったようです。

これまた雰囲気のある店構えからのれんをくぐるとカウンターに席が5～7席程度でしょうか。
小上がりも2卓。
このあたりは気軽に一人や少人数で飲み食いができるスペース。

奥にはテーブルの個室と、団体も入れるお座敷があるそうで、この日はテーブル席にお一組いらっしゃいました。
平日の夜、他にお客様はいらっしゃらずのんびりできそうな雰囲気です。

カウンターに座りビールを注文。
瓶ビールで黒ラベルを所望。
乾燥した中を歩いてきたのでビールが美味しい。

すぐに店主がおつまみ（お通し？）を出してくれます。
ゼラチンを使わないフグの皮の煮凝り、他2点。
煮凝りが溶け出さないうちに箸をつけます…


んんんん…んまああああい！
旨味が口のなかでとろけ出します。
これはたまらん…飲み過ぎないように注意しないとまずいぞ…

お料理の方はあれこれ楽しみたかったのですが、なにせ初めてのお店ですから何を注文したらよいのやら…
ということで大将に最初から最後までおまかせでお願いしました。


先付三種が美味しすぎて、貧乏くさいわたしは一気に食べるがもったいなく感じてしまいチビチビと箸でつまみながらビールを2本目。
あまりにチビチビやってるから、次の料理が来ちゃいました(笑)

やっぱりここはフグでしょう。

ふぐさしの登場です。

さすがフグ料理の名店。
国産の良いフグを使われているのですね。
ふぐの楽しみでもある触感が見事です。
弾力があり美味しい。
もうね、盛大に大皿をひとりで食べたくなりますよ。

冷凍ものの、それも外国産のふぐになるとこうはいきません。
「ふぐってそんなに高級なの？」って思っちゃうほど、良いものとの差がはっきりします。


大皿を頼むような甲斐性が無いのでふぐを少しずつ味わいながら食べる私。
大将が奥からやってきて「お飲み物はいかがないさいますか？」

そうだよね。ビールじゃなくて酒だよね。
大将に純米酒で銘柄お任せで注文。
お米の味のする純米酒が好きなんです…なんて言うと大将の好みとどうやら一緒らしい。
それならば大将のおすすめでいきましょう。

静岡のお店で飲む最初のお酒は静岡県袋井市の國香酒造が醸す特別純米酒。
お米らしい香りと甘みがしっかり味わえる、それでいて主張しすぎない食事によく合うお酒です。
ちなみに袋井と言えばメロンの名産地。
と言うことで最後のデザートの際はメロンが出てきたので一緒に写真を撮らせてもらいました。


例によりチビチビとふぐさしを楽しむ私。
ああ…フグ皮はつまみに最高だなぁ…なんて言ってると次の料理が登場！

アツアツのふぐから揚げです。
もちろんこれも国産とらふぐ。

「アツアツですが、両手で持ってかぶりついちゃってください！」
大将がワイルドに行けというのでやってやりましたよ(笑)
ええ、写真も撮り忘れました(笑)

ああ…
これだよね、ふぐの…美味しいふぐのから揚げの触感って。
たぶんうちの子供が食ったら「美味しい鶏肉」とか言いそうです。
でも美味しいとらふぐのから揚げって魚介類とは思えないほど、弾力豊かな触感なのです。
でも、あくまでも弾力だけであって鶏肉とは違います。
鶏肉だと繊維を感じますが、ふぐのから揚げだと弾力を感じつつやさしく噛み切れるんですよね。

繊細な味のふぐをから揚げにする際のコツって揚げ方だけでなく、味付けだと思うのです。
こちらのから揚げの味付けは、少なくとも僕は満点をさしあげちゃいます！
本当に美味しい！
これもね、大皿に山盛りにして好きなように手づかみでワイルドに食べたい！


ワイルドにと言えばこちらの大将は地元でバンド活動をされていて、清水銀座では有名な御方。
そのバンドの雰囲気だけをとらえるとすげえワイルドな方だと思っていたのですが、お店にたつととても雰囲気のよろしい物腰のやわらかい方でした。
奥様もお優しい雰囲気で、ひとりでカウンターに座る私を気遣っていろいろとお話しをしてくれる。
私は一人だと本を読みながら飲むのが好きですが、こちらの大将や奥様との会話はとても心地よく、老舗ながら敷居の高さなどを感じずアットホームで優しい雰囲気が最高でした。
うん、ここに再訪する際は本は持参しなくていいな。

　
焼酎よりも日本酒が好きなんですと大将と話していたら「それなら焼酎の富乃宝山で有名な西酒造が作った日本酒がある」とおすすめいただきました。
飲んでみましょう。

純米吟醸 天賦
芋焼酎造りで有名な蔵が醸した日本酒は飲みやすい！

もともと磨きすぎて香りの強くなった大吟醸の香りが苦手な私（あれがいいんだろうけど）
このお酒だって磨かれた吟醸酒ですが、どちらかというとすっきりした純米酒といった感じ。
香りが主張しすぎず、飲み口はすっきり。
これは日本酒初心者でも飲みやすく、料理の邪魔をしないのでしっかりした食事にも合いますね。
ふぐのから揚げにはぴったりです！


から揚げだけでなく肉料理にも合いそうだなぁ…なんて思っていると、それを見過ごしたように出てきた料理が黒毛和牛のハツ焼き。
おお…肉だ肉だ！
両手でから揚げ食べてから、ワイルドモードに突入か？

黒毛和牛のハツはフグ料理に通づる弾力感ある触感が楽しめる逸品。
もちろん焼き具合、お味ともに美味しい！
これも分厚いステーキで食いたい！
もうね、こちらの料理はすべて「大盛で！」と頼みたくなるものですよ。
和食でそんな食べ方は品が無いと言われそうですが(笑)
　

お酒を飲み干すと大将が再び奥から顔を出し「いかがでしたか？焼酎の蔵が作ったお酒はどうやら十四代を目指したという話しです」

なるほど…山形の高木酒造の醸す十四代ですか…そういわれれば…いや、そうだったかな？
確認してみなくちゃ…で、大将、あるんですか？十四代。


はい、出てきました十四代純米吟醸。
いや～、良いお酒を出してくれる店です。
お酒と一緒に出てきた料理は天ぷら。

静岡の地物の野菜もふんだんに使われた盛り合わせ。
さすが揚げたて、サクッとした食感がたまりません。
お酒、とまりませんね。
野菜天の揚げ方も良好です。
衣はサクっとさせながら、野菜ならではの歯ごたえも残ってる。
塩と天つゆの両方を用意してくれたので、野菜ごとに使い分けました。


カウンターの目の前でやかんが音を立てながら湯気をあげています。
どうもこれでお燗するらしい…
うん、お燗も美味しい季節です。
ここはフグ料理やさん…ならば…

フグヒレ酒を注文。

カウンター内で奥さんが酒をあたためながら、その横でヒレをあぶります。
うーん　良い香り…
その良い香りのヒレがわしの頼んだ酒に入るんだな？
はよ！
奥さんはよ！
酒…ヒレ酒はようくれ！(笑)

あぶったヒレを湯のみに入った酒に投入され蓋をされる。
マッチを擦り、ふたをずらし火を近づけるとヒレ酒のアルコール分に「ぼわっ」と青い炎が灯る。


いただいたヒレ酒はとても濃い香りと出汁が出ています。
んまああああああい！

これはつまみはいりませんね。
この香りだけでたくさん飲めちゃいますよ。
あ、いや、牡蠣ですか？
ええ、好きです、大好きです、いただきます。

既にこの頃は良い塩梅で酔っており、2種類の生牡蠣は産地が異なりましたが失念しております。
とにかくここまでの流れでお分かりになるとおり新鮮で美味しいのは言うまでもありません。
　
　
ヒレ酒であたたまり、飲み干しました。
せっかくだから熱燗を追加で入れてもらおうかなぁ…
そう思ったタイミングで〆の雑炊が登場します。

ええ、ひとりですからフグ鍋はしていません。
でも出てきましたふぐ雑炊！
まさか貴方に会えるとは思っていなかっただけに喜びもひとしおだよ雑炊！

良く飲み食いする僕に合わせてくれたのか、じゅうぶん満足できる量で出てきた雑炊。
鍋のあとにやるのではなく、わざわざ作ってくれたふぐ雑炊だけあって抜群に美味い！
こんな美味い雑炊って食ったことないんじゃないか？

ヒレ酒の湯飲みに追加で入れてもらった熱燗も美味しく、身体がほっかほかになりました。

最後に袋井の名物、メロンをいただいて本日の楽しい時間は終了です。


お値段的には決して安い店ではありません。
ふぐ料理ということと、その内容を考えれば高くはないと思います（むしろ安いでしょう）
ただ、例えばもっと美味しいフグ料理屋さんもあるかもしれません。
でも私には雰囲気が最高でした。
それを加味すれば高い店だとは思いませんでした。

お酒はビールの後は日本酒ばかりでしたから、他のどんなお酒があるかわかりません。
メニューを見せてもらえばよかったと後悔しています。

グループで出かけ、個室などでも落ち着くと思いますが、個人的には少人数であればカウンターもしくは小上がりが気楽で楽しいお店だと感じました。


しかし良い店でした。
ホカホカの体で夜の清水銀座を歩いて帰りました。
ああ…この清水銀座でまるちゃんは遊んでたのか…そう言えばビーバップハイスクールのロケでも使われたって大将が仰ってたなぁ…
そんなことを考えながらの千鳥足。

また来るよ、清水銀座！