昭和のままの古い商店街アーケードの下、先人達の訪れた町割烹で酔う : あさや

長野県は前の会社で15年程前まで営業で5年間出入りした。
佐久平駅は新幹線誘致で何も無かった平野に町を作り上げた。
そして、こんな私もイオンの建設に多少なりとも貢献した。
とか言いながら実は私は廃墟及び寂れゆく田舎町にエモさを゙感じる変態である。
新幹線誘致で発展した新しい地方都市佐久平駅周辺なんかには全く興味が無いのだ。

そんな私がふらりと訪れたのは岩村田。（イワムラダと濁音になるのが下品で良い。）
昔は宿場町で少し離れた川沿いに遊郭もあったらしい、今は昭和の頃に建てられたであろうボロボロのビル達と
小豆色の塗装を施した無骨な鉄骨アーケードが残る中央ビル商店街が退廃的で実にエモい。
特に夕暮れ時にシャッターが殆ど閉まった姿が寂しげで美しい。
だが、予想に反して学生が歩いていたり、車の交通量も結構多い。
やはり佐久平付近は人口がそれなりに居る地方の都会なのだ。
…と言う訳でそのアーケードの真ん中辺にある、昔ながらの和食屋の趣きの「あさや」さんにお邪魔した。

店内に入るとすぐ右手奥に個室でもあるのか、地元の初老リーマンがプチ宴会をしてる声が聞こえた。
右手には予想に反して昔ながらのサテンの゙ようなカウンター席が３つ。（昔の写真だと５つあったが…。）
左手の壁際にはテーブル席4人掛けが３卓。店の外観から左手の壁の向こうに団体用の座敷があると見た。

本当は有名ブランドの佐久鯉のコースを頂きたかったのだが、一人旅なのでお断りされていた。
実は前日、電話で御主人に確認したのだが2名以上でないと前日まで予約しても提供しない。
但し、その日に2名以上の鯉料理の予約があれば１名でも対応可だそうだ。どうやら仕入の問題らしい。
材料を無駄にしたくない職人気質が見えて、いや、天晴です。

だから、今夜は飲み食いしたいものをテキトーに頼んで岩村田の地酒、シブい「寒竹（かんちく）」を堪能するのだ。最初は生中から行って、さっそく長芋きざみと鶏たたきを奥さんにお願いする。
長芋きざみは粘りとコクが強く、実に上質で美味い。自然薯と間違えそうな位だ。
奥さんに「美味い」と伝えたら「ここいら辺の長芋は有名なんですよ。」との事。

ん～、確かに美味いっすよ。これだけで酒行けちゃうわ。
だから、一気に生を飲み干し、店の近くにある戸塚酒造店の「寒竹」１合を先ずは常温で。
うん、地味で尖ったとこはないけど、辛口でバランスが良く飽きの来ない昔ながらの酒で美味い！
イマドキの香りばかり強い酒とは違う昔ながらの酒だ。

良く見たら皿や酒の徳利、醤油瓶がかなりの年代物、重くて重厚。
そう言えば前は旅館もやってたとか、今は佐久平駅周辺にしか観光客は泊まらないそうだ。

鶏たたき、ちょっと時間かかりましたが来ました。ポン酢で頂きます。適度に歯ごたえがあり、
噛めば噛む程、鶏の旨味が口の中に広がります。量もあるし、たまらんですな。
エンジンかかって来たぜ。次は燗酒１合でよろしく！

ん～～。燗酒もイイね～。今、ダイエット中だから、鶏たたきをチビチビ食べながら、酒に走るか。
もう、１合燗酒お代わりお願いしま〜す。酒は佐久の花とかがありますが瓶売りなので、お高うございます。
だから、１合売りありの亀の海の純米吟醸お願いします。

Google先生に聞いたら、同じ佐久市の中込（ナカゴミ。ゴミって読まなくても…。）の酒なんですね。
軽い感じで後から甘味と果実系の香りが鼻を抜ける。美味いけど、イマドキの流行りに寄せてるかな？
でも、良い酒。もう一杯お代わりしちゃお。

最後はうな丼とさっぱりレモンサワーで締めます。
うな丼はふっくら柔らか、タレも甘辛ですが関東に比べたら、塩辛くなく優しい味。
ご飯もふっくら、特に突出してはないけど、普通に美味いオール４的な味わいです。

あれっ？良く考えたらダイエット中でした。醉うと制御不能になり人間、駄目ですな。
もう、久々に静かに寛げて、最後の最後はハイボールを追加で！

生真面目な長野人のお店らしく、干渉もされず適度に放置され、一人飲み堪能できました。
最後はキャッシュでお支払い。

うぃ〜、しこたま酔いました。最後はアーケードの裏にある東京下町のミニ京成立石みたいな
昭和な横丁いわんだゴールデン街を見学して帰りましょう。

皆、佐久平駅辺りで飲み食いするだろうけど、やっぱ岩村田も無理してでも覗いて欲しいな。
但し、小海線は１時間に１本しかないから気をつけてね。
本当の佐久の真髄は岩村田にあり。お忘れなく。