sato4の日記: QuickTime悪用トロイ
かつてMSの製品、Internet ExplororやOutlook Express にはWebサイトやメールを開いただけで感染する脆弱性があった。
不具合というよりも、そういう設計にしていたことが原因の脆弱性だ。
多数の被害発生と、その作りこみの甘さに批判が集まり、現在でもMS製品が脆弱であるという理由として考える人も多い。
それらの脆弱性は幾度となく修正され、現在では既知の問題は放置はされていないと思われる。
さて、同様にそのアプリケーションを普通に使っているだけでマルウェアに感染する仕様を持ったものがある。
それがQuickTimeである。
ウィルスの心配がないMac君を生み出したアップル。そのアップルが世に出した製品の中でも世界中に広がっているのがQuickTimeである。
おそらくiTunesよりも普及率は高いのではないだろうか。
そのQuickTimeの"HREF Tracks"という機能が、マルウェアに悪用されていて、実害も発生している。
ITMediaの報じるところによると、北米で大きなシェアを持つSNSであるMySpace上に置かれたQuickTimeの動画を再生すると、QuickTimeのHREF Tracksを使ってローカルマシンにトロイの木馬を仕掛けられてしまうものがあるという。McAfeeによると、これはQuickTimeの「セキュアではない機能」を悪用したものであり、脆弱性ではないという。
たしかに、この悪用被害は数ヶ月前から多発していた。それにもかかわらず、アップルが修正しないのは不具合ではなく正当な機能であるからという理由だ。
冒頭のMSと比べてみる。悪名高いMSは「セキュアではない機能」を脆弱性として扱って改良を重ねてきた。シェアはまだ小さいが支持者の多いアップルはどうだろう?「セキュアではない機能」は正当な機能であり、脆弱性ではないとして基本的には未修正だ。
QuickTimeの機能を使ったマルウェアの攻撃対象は、おそらく全部がWindowsだろう。WindowsのライバルたるMac OS Xをもつアップルとしては、Windowsユーザに被害が出ても気にしないということなのだろうか。
そういえばiPodにWindows向けのウィルスを混入して売ってしまったときも、Windows批判を述べていた。
トロイの木馬による被害のパターンの一つに、まずダウンローダー(これもマルウェアである)をリモートから実行させ、トロイの木馬の本体をダウンロードさせるものがある。今回もそのパターンだ。
ならば、そのダウンローダーを勝手に実行してしまう機能を持ったツールは何なのか。
「IEはウィルス」と呼ぶ人がいる。QuickTimeは?