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米国株はITバブルに次ぐ割高

シラーPERは過去10年間の利益を元に算出された株価の割高さを測る指標だ。

シラーPERの長期チャートを示す。

(https://www.multpl.com/shiller-peより引用)

12月9日時点で、米国株のシラーPERは38.68で2021年の38.58を超えた。これより高いのは2000年のITバブル時だけだ。

シラーPERが38を超えた過去2回はいずれも大きな下落が起こっている。
ITバブル崩壊でS&P500は46.3%下落した。
2021年年末からの調整では24.8%下落している。

 

shinonomen.hatenablog.com

シラーPERと10年後リターンには強い負の相関がある。

シラーPERが38を超えると10年後リターンはほぼマイナスであることが分かる。
ただし、シラーPERが38を超えてから10年経ったのはITバブルの一事例しかない。グラフ中でシラーPERが38を超えているのは全てITバブル時であり、ITバブル時に買うと10年後リターンはほぼマイナスと言っているに過ぎない点は注意が必要だ。

とは言え、ITバブル期以外のデータでもシラーPERと10年後リターンには負の相関がある。シラーPER38超えの現在の米国株は長期期待リターンが低いのは確かだ。


米国株が割高だとして、どうすれば良いのだろうか。
日本株など米国株よりは割安な株を買うという方法もあるが、米国株が暴落すると、他の地域の株も連れ安するので、あまり良い退避場所とは言えない。
対策方法としては大きく分けて消極策と積極策の二つある。

1新たに買う量を減らす
消極的な対策は新たに大きくは買わないという方法だ。米国株を定期購入している人は、購入額を減らしても良いかもしれない。
NISAには年初一括投資派がいる。シラーPERが38を超えたまま越年した場合、一括投資するのはやめた方が良いだろう。

2リバランス
より積極的な方法はリバランスだ。株式と債券(もしくは現金)の比率が一定割合になるよう、定期的に調整するリバランスは、リターンを高めるという研究結果がある。
米国株の上昇で現金比率が下がっている人は、当初定めた現金比率になるよう、少し売っても良い。
ドル建てMMFは年利4%以上ある。米国株が割高なうちはMMFで運用した方がリスク当たりのリターンは高いように感じる。

ただし、シラーPERが38を超えたのは過去2回しかない。過去2回と違って今回は大きな調整は起こらず割高さがじわじわ解消される可能性もある。
暴落に備えて米国株は全部売るみたいな極端なことはしない方が良いだろう。


まとめ
1.米国株のシラーPERは38.68でITバブルに次ぐ割高。
2.シラーPERが38を超えた過去2回はいずれも大きな下落が発生。
3.考えられる対策は購入量を減らすかリバランス。