熟成させた刺身が美味い。〜「塩締め」の作り方〜
刺身は一般に新鮮なものが美味しい、と言われている。確かに新鮮な刺身は美味しい。さわやかな風味としこっとした食感が魅力的だ。だけど、新鮮なだけが刺身じゃない。数日たって熟成した刺身も美味いんだ。新鮮な刺身にはない濃厚な旨味と柔らかな食感がある。僕はもっと多くの人に熟成した刺身の美味しさを知ってほしいと思っている。
というわけで、わりと簡単に熟成した刺身の美味しさが楽しめる調理法「塩締め」を紹介します。
塩締めとは?
僕はここ2、3か月、魚の「塩締め」にハマっている。「塩締め」というのは切り身に塩を振って置いといたものだ。塩を振ることで水気が抜けて味が濃くなる。
写真はサクラマスの塩締め、熟成期間は5日間*1。干物のような旨味はあるけど、干物のような強い香りはない。とろりとした食感が魅力だ。
「塩締め」というと聞きなれないけど、珍しいものじゃない。「塩締め」したものを昆布で包めば昆布締めになり、合わせ酢につければ酢締めになる。塩振りだけで他の処理をしなければ「塩締め」、というわけだ。
「塩締め」の作り方
作り方はいたって簡単。ただし、作業中の衛生面には気をつけよう。
- 切り身に塩をやや多めに振る。目安は魚肉に対して1%重量ぐらい。好みで加減すればいい。
- キッチンペーパーや保鮮紙で包んで水気を吸い取る。
- その上からラップで包んで乾かないようにする。
- 冷蔵庫で保管。1〜2℃のチルド室がベストだけど、普通に5℃くらいでも良い。
- 一日一度くらい様子をみて、キッチンペーパーが湿り過ぎてたら、新しいもので包みなおす。
- 3〜7日ぐらい経ったら食べごろ。好みや魚の種類によって異なるので頃合いを見つけよう!
熟成した「塩締め」はそのままでも美味しい。醤油をつけてもいい。オリーブオイルをかけてカルパッチョにしてもいい。ワインビネガーを絡めればマリネにもなる。いろいろ試してほしい。
熟成した刺身の美味さを知ってほしい
以前寿司屋で、飯とよく馴染む柔らかいイシガレイが出てきたことがあって、熟成具合の良さを誉めた。そしたら大将は「熟成させてるというと気持ち悪がられることがあるからアピールはできない」と嘆いていた。上手に熟成させて美味しい頃合いで食べてもらうのはとても優れた技術だ。なのに気持ち悪がられる。これは悲しい。
自分で熟成した刺身を作って美味しさを楽しみ、寿司屋でもっと美味しい熟成した刺身を食べてプロの技術を楽しむ。そうすれば、料理するのも食べるのも、もっと楽しくなると思う。
まずは「塩締め」を試してみてください。