年々過激化する各ファストフードチェーン店同士の月見戦争。玉子で玉子を洗う熾烈な戦いが繰り広げられるのが恒例だが、今年も戦闘が本格化しつつあるもよう。
2023年9月6日より、マクドナルドが今年の月見バーガーの販売を開始したのだ。マックは「月見バーガー」という概念を生み出した本家。歴史は競合する他社をぶっちぎっており、注目度も高い。さっそく食べてみたぞ!
・牛すき
マックの公式HPによると、今年の月見は「七味香る牛すき月見」。よく見ると、”辛味が苦手な方はご注意ください” という注意が添えられている。
ほう、今年は辛さで勝負する気だろうか? お値段は単品で520円から。一部店舗やデリバリーでは販売価格が異なるとのこと。
他には「月見マックシェイク 長野県産シャインマスカット(190円~)」と、「チキンマックナゲット 柚子胡椒マヨソース(5ピースで240円~)」も今年の新作のようだ。
ということでゲットしてきたのがこちら。残念ながらナゲットの新作ソースは売り切れてたので、バーガーとシェイクのみだ。
・牛すき
それでは見ていこう。
開封すると、こんな感じ。あー、すき焼き系バーガーっぽいビジュアルですね。唐辛子由来と思しき赤い粒子も見てとれる。
バンズは、つるんとしたタイプの黄色いやつ。
引っぺがすと、そこには赤みがかったソース。公式HPに書かれているトマトクリーミーソースだと思われる。
最初の具材は、いつものベーコン。
月見を名乗るための最低条件こと玉子。半熟系ではなく、そこそこハードに加熱されたものだ。
そしてチーズにまみれたパティ。
最後が、今作の命と言っても過言ではない すき焼き成分。いちおう肉っぽい細切れの何かも見える。
・テクい
バーガーを構成する各要素はだいたい把握できた。マック的にはいつものことだが、それぞれの要素自体は、ぶっちゃけたいしたことない。
玉子だけとか肉だけといった、具材それぞれのクオリティに注視すると、わりと他社が圧勝しがちだと思う。
それでもマックが強いのは、何だかんだで組み合わせのテクニカルさにあると思う。個々の戦闘力は弱くとも、それらが混ざって起こる化学反応の力で戦うみたいな。今年もそのパターンだった。
月見系を月見系たらしめる最大の要素は玉子。これは宇宙の不文律として存在していると思う。
ケンタの「とろ~り月見ツイスター」だって、バーガーであることは捨てても玉子は律義に使っているし、初参戦からいきなりレギュレーション違反じみた「フルムーンバーガー」を投下した無法者のコメダですら、玉子の使用だけは順守している。
月見において、玉子は絶対なのだ。なのにどうだろう。今年のマックの新作は、玉子の気配が稀薄ではなかろうか?
特に、玉子にとって最大のアピールポイントであろう黄身のパワーがかなりおさえられている気がする。
味の大半を占めるのは すき焼き系フレーバー。玉子については、普段はあまり注目されない白身が、食感の面でそのプリプリ感を強く主張してきている。
プリっとした食感の、トマト入りピリ辛すき焼きバーガーみたいな。実は去年も すき焼き系だったのだが、味付けの方向性がそこまで強気では無く、玉子のマイルド感はしっかり感じられたと記憶している。
今年は全力でステータスをすき焼きに振ってきたなという感じ。もしかしたら続々と参戦してくる他社との差別化を狙い、あえて玉子を封じたのかもしれない。
今年のマックの月見は、いい意味で月見らしくない、玉子要素が控えめな調整だった。辛さについては言うほどではなく、「スパビー」の方が辛いと思う。
王者マックがいきなりの変化球とは。これから他社も今年の月見バーガーを販売予定だが、マックのムーヴが戦いにどう影響してくるのか気になるところ。今年も月見戦線から目が離せない。
参考リンク:マクドナルド
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.
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▼月見マックシェイクは特にムーンっぽさは皆無だった。普通にシャインマスカットのシェイクでおいしいです。