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2025年、AI(人工知能)活用がいよいよ広がり、デジタル化が加速する中、管理職にも求められる役割が大きく変化しています。

「ランチタイムを学びの時間に」。1月16日の無料ウェビナー「NIKKEIリスキリングCafe」は、パーソルイノベーションが運営するReskilling Camp Companyの代表、柿内秀賢さんをお招きし、AI時代の管理職について語っていただきました。

〈目次〉
■デジタルとビジネスを結ぶ架け橋 ビジネスアーキテクトとは
■現場一人ひとりにスポットライトを当てる 管理職の仕事
■執着を手放し「役に立たない」を乗り越える

柿内さんはこれまで150社、2000人以上のリスキリングを支援し、学び直しの現場をつぶさに見てきました。そのときに痛感したのが管理職の「ビジネスアーキテクト」としての重要性だったといいます。

これまで柿内さんにはNIKKEIリスキリングのPodcast「聴くNIKKEIリスキリング」にも出演していただいたほか、インタビュー記事でも学び直しの現場について語ってもらっています。デジタルに精通し、かつ業務変革とビジネスを生み出す力をもつ存在、AI時代の新しい管理職像について聞きました。

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デジタルとビジネスの架け橋 ビジネスアーキテクトとは

ビジネスアーキテクトという言葉自体がまだまだ耳慣れない言葉かもしれません。柿内さんは「端的に言うと、テクノロジーをビジネスで活かすための旗振り役です」と説明します。

経済産業省などは、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めるために必要な人材とスキルをまとめた「デジタルスキル標準」という指針を定めました。その中で、DXを推進するために必要な5つの人材を上げており、その1つがビジネスアーキテクトです。ほかに「データサイエンティスト」「サイバーセキュリティ」「ソフトウエアエンジニア」「デザイナー」がいます。

データ分析の専門家やアプリ開発などのエンジニアと、ビジネスをつなぐプロジェクトリーダーのような役割を担うのがビジネスアーキテクトです。「戦隊もの」でいうならばアカレンジャーのような存在です。

会社がいざDX推進を打ち出しても、現場の変革がなければ、DXは絵に描いた餅。個々の現場でDXを強力に進めるリーダーが求められているといいます。日本の企業だと管理職の多くがチームを引っ張っており、「新しく外部からリーダーを招くよりも現場の実態に精通する管理職がアップデートした方が早い」(柿内さん)

管理職がデジタルに詳しくなり、ビジネスに生かせるようチームを引っ張っていく。それこそがこれから求められる管理職像だと柿内さんは語ります。

現場のどこに課題があるのかが見極められなければ形だけのDXになってしまうことも少なくありません。たとえば請求書作成に関して業務改善をしようとしてうまくいかなかった例をあげます。請求書の送り間違いを防ぐためにExcelで管理していたものをアプリケーション化しようとしても、結局アプリに入力するときにミスが発生する。Excelに入力するかアプリに入力したかが違うだけで本質は変わっていないために起きたことだといいます。

「業務プロセス全体を見直して、データをもとにどの仕事をどのように変えればいいかを考える。それを最も考えるべきなのは管理職の人たち」(柿内さん)。

現場一人ひとりにスポットライトを当てる 管理職の仕事

現代の管理職は、様々な課題に直面しています。日々の業務、予算、労務管理、情報漏洩への対応、そして人材育成。柿内さんはそんな多忙の中でも、一度立ち止まって業務改善について考える必要性を指摘します。

「同じことを何回も繰り返しているだけの業務や、この仕事あんまり意味ないなって思っている業務をそのままにするのではなく、新しい取り組みをして業績向上につなげる。壁を乗り越えるマインドも重要です」(柿内さん)

現場で働くメンバーの一人ひとりにスポットライトを当てることも大切だといいます。人それぞれに得意不得意はあるもの。ある大手メーカーのものづくりの現場ではビジネスアーキテクトが、ミスに気付くのが得意な事務員とともにデータの可視化や管理の自動分析などを進め、業務改善が成功に導いたといいます。それぞれの得意を伸ばし、不得意を補い合う。DXにも適切な配役が欠かせません。

執着を手放し「役に立たない」を乗り越える

管理職がビジネスアーキテクトとしてすべきことは何か。柿内さんは、問題と解決べき点を特定し、仮説を立てて繰り返し解決策を実行していくことが必要だと語ります。

「デジタルを業務に活用しようとすると、『役に立たない』とか『意味がない』みたいなネガティブな気持ちが生まれやすい」(柿内さん)。たとえ一度うまくいかなくても、問題の根本に粘り強く迫るための考え方の訓練をする必要があるといいます。

もう一つ重要なのが振り返りの姿勢です。柿内さんは「自分のやり方、残してきた成果に執着してしまいがち。結局本当の課題は何だったのか、誰の何を解決したいのかが曖昧になる」と指摘します。執着を手放し、フラットな目線で問題に向き合う。これからの管理職に求められる重要な姿勢なのです。

Point
・企業のDXには、現場を知る管理職のリーダーシップとアップデートが不可欠
・デジタル化は目的ではなく、現場の本質的な課題を解決する手段
・執着を手放し、解決したい問題の根本を特定する

今回のNIKKEIリスキリングCafeでは、このたび新しく始まったコミュニティサイト「NIKKEIおとなの学びラウンジ」で、ウェビナーの「感想戦」も実施しました。

「おとなの学びラウンジ」は 同じ志をもった「仲間」や、信頼できる「講師」、そして 「なりたい自分」に出会える場所としてオープンしました。

・おとなの読書ログ
・ウェビナー見逃し配信
・限定のイベント(読書会など企画中です)

などのコーナーがあり、NIKKEIリスキリング会員であれば、どなたでも参加できます。リスキリングCafe実施前に事前の質問や、他の参加者の方との交流もできます。

今回は、ゲストの柿内さんにも「ラウンジ」をご覧いただき、感想戦の様子をご覧いただきました。

感想の中には……

・まさに生成AIをはじめとした革新的技術をビジネスと結びつけるのは、IT側の人間ではなく現場の人間だと感じています

・手ごたえモーメント。点を打ちまくると、ある瞬間突然線がつながる感じ。絶対の「正解」がない中で、今打っている点は絶対に線になると信じることが大事なのかなと思いました。

・自分の経験に基づく考えに執着することなく、今の会社のビジネスとして何を変えなければならないかをフラットに考える。それがリスキリングのきっかけになると思いました。

などの声が寄せられました。感想戦に参加してくださった皆様ありがとうございました!

次回ウェビナーでもリアルタイム視聴や感想戦を実施する予定なので奮ってご参加ください! アーカイブ動画は2025年2月下旬公開予定です。

NIKKEIリスキリングは「変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする」をテーマにした日本経済新聞社のWEBメディアです。生成AIなど具体的なビジネススキルのスキルアップの方法や、複業兼業や起業、経営人材の目指し方などキャリアアップにつながるトピックを記事で紹介しています。
経営者や各分野の専門家による無料ウェビナー「NIKKEIリスキリングCafe」も定期的に開催。ちょっと楽しく、だけど真面目に学び直しをしたい人に役立つ情報をお届けしています。

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