『空色ユーティリティ』『バディゴル』『オーイ！とんぼ』　女子ゴルフアニメがブーム？

　「女子ゴルフアニメ、最近多くない？」というのはアニメファンなら感じているだろう。今回はそのラインナップを振り返りつつ、この“女子ゴルフアニメブーム”について考えてみたい。

三者三様過ぎる女子ゴルフアニメ

　現在放送中の『空色ユーティリティ』は、実は一連の女子ゴルフアニメのなかでは最初に世に出た作品となる。と言っても、それは2021年12月31日に放送された1話限りの短編の話で、これをベースにしたTVシリーズが2025年冬から放送されている。

　『空色ユーティリティ』は自分だけの“スペシャルな特別”を探す女子高生の青羽美波が、天才肌ゴルファーの茜遥やインフルエンサーを目指す星美彩花と共にゴルフを通じて成長するという物語。本作が生まれたきっかけは監督の斉藤健吾がゴルフにハマったことだそうだが、そんな熱い思いをあまり感じさせないすっきりとした“日常系青春スポーツコメディ”で、アニメファンであれば親しみやすい作風だ。

　続く『BIRDIE WING -Golf Girls' Story-』は2022年と2023年に放送された2クールのオリジナルアニメ。架空の国のスラム街で賭けゴルフを生業とするイヴ、プロゴルファーの両親を持ち自身も日本で活躍する天才の天鷲葵というふたりの少女を主人公とする作品……とあらすじだけ書くと比較的普通に見えるかもしれない。だが奇抜な必殺技や変形するコースの存在、さらにマフィアとの絡み、唐突な「ガンダム」ネタなどエンタメ精神あふれる要素が数多く、当初は“イロモノ”的な扱いをされることもあった。

　しかしイヴと葵の宿命のライバル関係や、その他の美少女＆美女との激闘の数々など終始盛り上がりっぱなしのストーリーは特筆もの。アクの強さは否めないものの、多くのアニメファンの心を鷲掴みにした傑作となっている。

　『週刊ゴルフダイジェスト』（ゴルフダイジェスト社）という専門誌で10年以上続く連載作というややニッチな存在ながら、2024年にアニメ化を果たしたのが『オーイ！とんぼ』。本作では鹿児島のトカラ列島・火之島で育った、ゴルフの才能を秘める中学生の少女・大井とんぼの成長が描かれる。

　元プロゴルファーの五十嵐一賀（イガイガ）が火之島にやってくるところから始まり、島の特色や島民との触れ合いなども描写されのんびりした雰囲気のある第1期、とんぼが熊本の高校に進学し、九州女子選手権でライバルとしのぎを削る第2期とそれぞれに魅力的で、各クールのラストではとんぼの成長に涙すること必至だ。