『攻殻機動隊』公安9課の頼れる上司・荒巻課長、ビジネスパーソンが指針とすべき名言3選
今年原作連載開始35周年を経て、今なおSF漫画の金字塔として名を馳せ、様々なメディアミックスが行われている『攻殻機動隊』。作中、公安9課の実質的な創設者として登場するキャラクターが荒巻課長だ。
義体化率もバックグラウンドもバラバラな9課のメンバーを束ね、軍や政府要人たちとの交渉役も務める、まさに頼れる上司・荒巻課長。アニメシリーズで彼が発言した様々な名言の中から、ビジネスで参考にしたい名言をピックアップして紹介したい。
「我々の間には、チームプレーなどという都合のよい言い訳は存在せん。有るとすればスタンドプレーから生じる、チームワークだけだ」
最初に紹介するのは、シリーズタイトルの「STAND ALONE COMPLEX」という言葉の意味を体現したTVアニメシリーズ第1期5話にでてくる名言だ。
アニメシリーズ第1期では、「笑い男事件」の真相を追う中で、捜査の見立てや容疑者に違和感を抱き、別の人物へ独自捜査を実施しようとする少佐・草薙素子(荒巻にとっては実質の部下に当たる)に対し、荒巻が「我々の間には、チームプレーなどという都合のよい言い訳は存在せん。有るとすればスタンドプレーから生じる、チームワークだけだ」という言葉をかける。これは、草薙が荒巻に報告した違和感や意見を尊重し、独自捜査を進めさせるセリフなのだが、同時にタイトル「STAND ALONE COMPLEX」=「個の複合」の意味や、公安9課という組織の隊員同士の力関係のフラットさを表したセリフとなっている。
部下からの報告や提案に上司として「許可を出す」のではなく、あくまでも戦闘のプロフェッショナルとして信頼し、各自の現場判断に任せて任務を遂行させる。まさに、できるマネージメントの鑑と言えるのではないだろうか?
「頭は立場が上の時に下げてこそはじめて効果がある」
公安9課が襲撃され壊滅状態になった際、荒巻は公安9課の隊員たちを生かすため法務大臣にある提案を持ちかけるが、大臣の反応を見てすぐに引き下がる。その際、大臣から「なぜもっと頭を下げて頼まない?」と聞かれた荒巻は、「頭は立場が上の時に下げてこそはじめて効果がある。違うか?」と言い放ち、その場を去るのだ。
ビジネスで頭を下げる瞬間というと、「謝罪」や「クライアントをはじめ立場が上の人へのお願い」というイメージがあるが、確かにここぞという瞬間に「立場が上の人間が頭を下げる」方が交渉には有利に働く。自身の組織が壊滅し、逃亡中の隊員たちの命がかかった交渉だからこそ、立場が弱い状況で頭を下げても足元を見られると判断し引いたのだ。組織のトップたるもの、状況の悪い時ほど冷静に状況を捉え、効果のある施策を取るべき、という荒巻の経営者論を体現したセリフと言える。
「死ぬな・・・必ず生きのびろ!」
アニメシリーズ1期の24話。政府による特殊部隊規制法案の施行など、公安9課を壊滅させる動きが活発化する中、荒巻は草薙に連絡を取る。「総理をうまく説得できた?」と聞く草薙に対して荒巻は「メンバーを全員9課に集合させろ」とだけ言葉をかける。「他に命令は?」と再び質問を投げかけた草薙に対し言ったのが「死ぬな・・・必ず生き延びろ!」だ。
それまではどんなに難しいミッションでも冷静に指示を下していた上司が、組織がピンチとなった際に言い放ったセリフと考えると、かなりエモい。と同時に、部下想いの面も伝わり、社内での株が上がりそうな一言とも言える。実際ビジネスの現場で使うことは難しそうなセリフだが、なかなか言えないセリフだからこそ、いざという時には心に響くものだ。何かあった際、こうした一言を部下に言えるかっこいい上司でありたいものだ。