稲垣吾郎の尽きない音楽への探究心 ラジオ番組を通して注ぐ、新しい才能への愛情とリスペクト

 稲垣吾郎が架空のレコードショップ店長に扮してパーソナリティを務めるラジオ番組『THE TRAD』(TOKYO FM)では、Spotifyが今年飛躍が期待される国内の新進気鋭アーティストをピックアップする「RADAR: Early Noise」特集が毎年のお楽しみになっている。今年も1月28日放送回にSpotify音楽事業部門の芦澤紀子氏が登場し、2025年期待のアーティストたちを紹介した。

 この特集が多くのリスナーにとって楽しみになっているのは、何よりもパーソナリティである稲垣がわくわくしていることが伝わってくるから。この日も「これ楽しみなんですよ、毎年。新しいアーティストと出会うことができていますからね」と声を弾ませていた。

 稲垣といえば、その美意識の高さからさまざまなこだわりを持って、丁寧な暮らしを送っている印象が強い。ともすれば、コーヒーは1杯につき豆を60粒厳密に数えて淹れる……など、稲垣が舞台『No.9 -不滅の旋律-』で演じたベートーヴェンさながら、自身の生活で取り入れるものはすでに固まっているのではないかとも思わせる。

 しかし実際は、そんな舞台のシーンを踏まえて今年の節分の豆まきは「大豆じゃなくてコーヒー豆に?」なんて冗談を言うほど彼は柔軟だ。もしかしたら、それだけ確立した“自分”というものがあるからこそ、新しい何かをありのままに、よりフラットに、受け入れることができるのではないだろうか。

 
 
 
 
 
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 振り返れば、稲垣は音楽のルーツについて「全部友達からの影響」と語っていたことがあった。若い頃からDJや音楽好きなファッションデザイナーとの交流があり「いろんな音楽を教えてもらいました」と。その交遊録には坂本龍一や小沢健二、カヒミ・カリィ、小西康陽など、豪華なメンバーが名を連ねていることからも、実に多様な音楽に触れてきたことが窺える。

 この特集についても「新しいアーティストとの出会い」と表現していることから、稲垣にとって音楽とは単に楽曲を聴くだけではなく、その音色を紡ぐ「人との出会い」という感覚を持っているように思える。

 番組では2024年に活躍したアーティストとして、本名も顔写真も非公開で謎多きシンガーソングライターのtuki.の話題になると、稲垣が「会ったことない!」とチャーミングに言った場面が微笑ましかった。それと同時に、稲垣のできるだけ多くの音楽=人と直接会いたいという願望を垣間見ることができたようにも思えた。

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