ぼったくりバー、閉店セール、GPS置き引き……悪趣味YouTube、無限ループの罠(トリプルファイヤー吉田靖直)
ソリッドなビートに、なんとも形容し難いユーモラスな歌詞で人気を誇るバンド「トリプルファイヤー」。作詞を担当するボーカルの吉田靖直は『タモリ倶楽部』や大喜利イベントに出演するなど、独特なキャラクターを活かして幅広いフィールドで活躍している。
そんな彼がYouTubeでつい観てしまうのが、「ルールを破ってのうのうと生きている奴を正義で叩こうという発想の動画」だという。ぼったくりバー、閉店セール、GPS置き引き……なぜ我々はこういった動画の無限ループにハマってしまうのか。
ルールを破ってのうのうと生きている奴を正義で叩こうという発想の動画が嫌なのだが……
コロナ禍で家を出るのも憚られる空気のなか、ひとりでやるべき作業がたくさんあってもなんとなく身が入らないまま、本を読む気力もなく、ダラダラとYouTubeばかり観ていた。
『ニューヨークのニューラジオ』を流しながら、『天鳳』(オンライン麻雀)をやるのが至福の時間だった。ほかに観るのも、『ジャルジャルタワー』や、『よろチキチャンネル』など芸人のものが多い。
以前はなんとなく苦手意識を持っていたが、ここ数年は専業のYouTuberのチャンネルもちょいちょい観る。すしらーめんというメントスコーラの発展系みたいな実験をしている人は、子供のころにやってみたかったことを叶えてくれているようでワクワクする。
(芸人でもあるが)フワちゃんのチャンネルを観ると、常人離れした陽気さに少し感動してしまう。
最近はYouTuberヒカルの「【カメラ止めろ動画出したら訴えるぞ】毎日嘘の閉店セールしてる店の闇暴いたら逆ギレしてきてブチギレ口論になった…」という煽情的なタイトルの動画が話題になった。
何年間もずっと閉店セールをやっている店というのがたまにある。すべての商品を売り切るまでが閉店セールだという店側の理屈があるとしたら、商品を買い占めれば本当に閉店するのか?という多くの人が抱いたことがあるような疑問を実際に試してみた、というのがこの動画だ。
ヒカル氏は商品を買い占めた数日後に再び店を訪ね、相変わらず営業していることを確認する。「閉店セールで閉めるって言ってたのは嘘やったんですか?」と問い詰めると店員と口論になるが、その達者な話術でオーナーに閉店の約束を取りつけさせる。翌日も店を見に行き、本当に閉店しているのを確認した、というのが動画のあらましだ。
その後の動画で閉店セールの動画はやらせだったと述べられていたが、事の真偽は私にとってはわりとどうでもいい。私は、ルールを破ってのうのうと生きている奴を正義で叩こうという発想の動画が嫌なのだ。しかしそうは言いながらそのような動画に時間を忘れるほど熱中し、趣旨の近い関連動画を辿っているうちに数時間が経過していた経験が多々ある。
「心が曇ることは絶対にしてはいけない」というミルクボーイ内海氏が自室の壁に掲げていた言葉にグッときた