シンガーソングライターとグラビアモデルの両輪で活躍してきた藤田恵名が、シングル『DEAD STROKE』をリリースする。アニメ『バキ 大擂台賽編』のエンディングテーマとして制作された破壊衝動満載のこのロックチューンは、攻撃的と評される藤田のスタイルが心おきなく反映されたもの。一方でカップリングでは、等身大の自分の弱さもさらけ出している。サウンド面でブレーンを務める田渕ガー子も交え、感情揺れ動く藤田恵名の現状を聞いた。
『バキ』という作品だから伝えられた言葉
――「戦闘力が上がる」楽曲をコンセプトにしてきた藤田さんにとって、今回のタイアップは待望だったのではないでしょうか。
藤田 そうですね。なので最初は今までどおり作れば良いと思っていたのですが、やはり『バキ』のタイアップとなると、「これでいいのか」と考え込んでしまって、歌詞を何度も書き直しました。一曲にこれほど時間を使ったことは今までなかったですね。
――知名度のある作品ですし、プレッシャーになったと。
藤田 それもありますし、何度歌っても喉を傷めないようにすることもテーマだったので、負担になりそうな箇所は1文字単位で詞を削ったりして。
――アニメ制作側から、具体的な提案はあったのでしょうか?
田渕 曲の打ち合わせは藤田本人ではなく、私が引き受けました。「オープニングテーマがゆったりとしたテンポになるので、藤田さんにはいつもどおりすっ飛ばした楽曲で」というオファーでした。
――その中でも本楽曲のポイントは?
藤田 「死ぬか去るかここで突き付けろ」とか、生意気に思われるような言葉を、『バキ』という作品を通して表に出せたのは大きかったですね。「魂は売らない」という言葉も、このサウンドと作品のイメージならまっすぐ伝えられるし、実際にうまくいったかなと思います。

田渕 サウンド面では、いつもよりメタル寄りですね。特にアニメタイアップなので、入りの5秒はすごく大事。なので、コードも少し違和感の残るようなものにしました。
――藤田さんの楽曲やパフォーマンスからは“強さ”を感じますが、その原動力はどこからくるのでしょうか?
藤田 悔しい、という感情が大きいかもしれません。バカにされたりないがしろにされたりした経験が多いので、「今に見とけよ」という気持ちを歌で発散しているところはあります。普段から思ったことをメモしているのですが、ちょっと見せられないくらい過激な内容もあって……。しかもライブができない状況なので、性格がどんどん屈折していくのを感じます(笑)。
「想像していた自分とは違って、絶望の毎日です(笑)」
――カップリングの「バスルームジェットキャンディ」は、藤田さんがそんな自身の現状を達観しているイメージがありました。
藤田 これは先に(浴室で撮影した)ジャケット写真を撮影していて、そこからお風呂にまつわることをテーマにしました。自分の中には、潜在的に「(活動を)終わらしちゃえ、辞めちゃえ」という気持ちがずっとあるのですが、それでも歌っている自分がいて。その現状を客観的に、菩薩モードで見ている感じですかね(笑)。表題曲が外で戦った女の子だとすると、カップリングは自宅の風呂場や部屋で自問自答する姿を表現できればと。
――ちなみにジャケットのアイデアは藤田さんから?
藤田 はい。ただ、身体を“隠す”ことにはもう限界を感じつつ(笑)、今回は、クラッカーと水面を頼りにしました。
――将来的にチャレンジしたいサウンドはありますか?
藤田 今はロックなイメージがありますけど、藤田の歌謡曲を聴かせたいですね。自信、あるんですよ。親と一緒に良く聴いていたし、幼稚園の頃とか結構歌っていたので。
――今までのイメージから脱却できる感じはありますね。
藤田 今年で30歳なんですけど、想像していた30歳の自分とは違って、絶望の毎日です(笑)。予定では紅白に2、3回出ていたので……。だけど、年齢と共に右肩上がりになっていて、自分の伸びしろ、あるなって思います(笑)。まだ全裸ジャケットやっている自分を自分でほめたいですよ。

――若いものには負けないぞという気概が感じられますね。
藤田 はい。このステイホームの期間でギターの練習にも励んでいて、ライブが再開したときには成長を感じてほしいです。これからも右肩上がりでいこうと思います。
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