「眉毛を脱色しつつ身体にぴったりのサイズ感で衣装を用意しました」ウクライナ出身のコスプレイヤーに聞いた“こだわり”

2025.3.24
(左から)たくポムさん、ゆりっぺさん、ネトーチカさん

文・撮影=ソムタム田井 編集=森田真規


世界最大規模の同人誌即売会であり、2024年12月29日、30日の2日間で約30万人が来場した『コミックマーケット105』。東京ビッグサイトで行われた同イベントおよび、同日に付近で実施された『となりでコスプレ博2024冬』で、コスプレイヤーたちにインタビューを実施。“衣装やメイクに対するこだわりポイント”を聞いたレポートをお届けします。

コスプレイヤーに聞いた“衣装やメイクに対するこだわりポイント”

コスプレイベントといえば会場を彩るレイヤーたちの衣装を通して、その時期に旬のアニメやマンガ、ゲームなどを分析できるところも参加する上での醍醐味のひとつ。2025年も全国各地でさまざまなコスプレイベントが開催され、いずれも大盛り上がりとなっている。

そうしたイベントに興味はあるもののまだ参加したことがないという方に向けて、本稿では2024年後半に行われたコスプレイベントをプレイバック。取材時に撮影させてもらったレイヤーたちの写真を掲載しつつ、それぞれに聞いた“コスプレに対するこだわりポイント”と併せて紹介する。

ここでピックアップするのは、世界最大規模の同人誌即売会として知られ、2024年12月29日、30日の2日間で約30万人が来場した大型イベント『コミックマーケット105』と、その付近で実施された『となりでコスプレ博2024冬』に参加していた“ファンタジー世界が舞台のアニメ作品”のキャラクターに扮したコスプレイヤーたち。

屋内外に設けられたコスプレエリアをのぞいてみると、2026年1月にテレビアニメ第2期の放送が決定した『葬送のフリーレン』や、ファンタジーにグルメマンガの要素を織り交ぜて大ヒットした『ダンジョン飯』、ファンタジーから派生し、もはやひとつのジャンルとして確立した“異世界転生もの”に分類される『Re:ゼロから始める異世界生活』『オーバーロード』『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』『異世界スーサイド・スクワッド』などのキャラクターたちが集結。

『葬送のフリーレン』のメトーデに扮する、ウクライナ出身の高身長レイヤー・ネトーチカさんをはじめ、どのコスプレイヤーにも撮影のための長蛇の列ができていて、中には同じ作品のキャラ同士で集まり、大人数での“併せ”を楽しむグループの姿も見られた。

「私自身の眉毛は茶色で、メトーデの金髪のウィッグと合わせると少し不自然に見えたため、まずは脱色して色味を合わせるところから始めました。眉毛の脱色は初めてだったので少し痛かったですが、いい感じの色味に仕上がって満足しています。衣装はオーダーメイドで制作してもらったものなのですが、注文してから手元に届くまでの間に体重がかなり減ってしまって……今のスタイルに合わせてサイズを調整するのに、けっこう時間がかかってしまいました」(『葬送のフリーレン』メトーデ/ネトーチカさん)

『葬送のフリーレン』メトーデ/ネトーチカさん
『葬送のフリーレン』メトーデ/ネトーチカさん

「今回のコスプレで意識したのは“とにかく字幕とコミケを楽しむこと!”でした。前回の夏コミで知り合った“字幕コスプレ”のビリーナイスガイさんに協力してもらって、作中の名シーン(学校はじまって以来の才女)を再現しました。ちなみに夏コミでは『学校はじまって』と『以来の才女』の字幕は、それぞれ別の方が担当されていたんですけど、今回はビリーさんおひとりだったので、『以来の才女』は三脚で代用するかたちになっています。それでも私のポーズに合わせて随時、高さを調整してくださって。そのおかげで終始、コミカルな雰囲気の撮影を楽しませていただきました」(『ダンジョン飯』マルシル・ドナトー/鹿乃つのさん)

『ダンジョン飯』マルシル・ドナトー/鹿乃つのさん
『ダンジョン飯』マルシル・ドナトー/鹿乃つのさん

「こちらはドレスバージョンのアルベドのコスプレで、こだわったポイントはウィッグです。フィギュアのように無重力でフワッとした雰囲気を再現するために、髪には針金を仕込んでいます。ボリュームのある髪型なので部位ごとにパーツを分けて作成して、それらを組み合わせてこの形に仕上げました。羽根の造形もすごくこだわっていて、1枚1枚、羽根の筋をはんだで描き込みました。1枚につき約5000筋、そして羽根は約400枚あります。こちらも針金を仕込んでいるので、自由に形を変えられます!」(『オーバーロード』アルベド/白冥にあさん)

『オーバーロード』アルベド/白冥にあさん
『オーバーロード』アルベド/白冥にあさん

「身体のラインが出る衣装なので、かっこよく着こなせるように身体作りをがんばりました。食事を見直したり、体を動かしたり。お腹まわりを見る限り、しばらくビールを断ったかいがありましたね(笑)。もともとが海外コミックのキャラクターということもあり、欧米の方の顔立ちを意識したメイクに取り組んだのもこだわったポイントのひとつです。日本のアニメやゲームのキャラとはメイクの仕方もけっこう違っていて。そうしたさまざまな発見があったのも、新鮮で楽しかったです」(『異世界スーサイド・スクワッド』ハーレイ・クイン/ゆりっぺさん)

『異世界スーサイド・スクワッド』ハーレイ・クイン/ゆりっぺさん
『異世界スーサイド・スクワッド』ハーレイ・クイン/ゆりっぺさん

「メイクではエミリアのかわいくて優しい雰囲気を表現したくて、紫と白いラメのアイシャドウを使い、涙袋の影をピンクにしました。ウィッグは購入したものですが、三つ編みの部分が安定していなかったのでいったん外して、改めて縫い直して、一番しっくりくる位置に固定しました。スタイルをよく見つつ、若干の寒さ対策にもなるかなと思って、衣装の下にコルセットを仕込んできたのも今回のコスプレのこだわりポイントのひとつです」(『Re:ゼロから始める異世界生活』エミリア/波紅偉織理さん)

『Re:ゼロから始める異世界生活』エミリア/波紅偉織理さん
『Re:ゼロから始める異世界生活』エミリア/波紅偉織理さん

「こちらのコスプレをするにあたり、まずはダイエットをがんばって体重を11キロ減らしました。スレンダーでありつつ、“戦場に赴く強い女性”のフォルムも崩したくなかったので、バランスよくボディメイクをすることを心がけました。個人的に、エリナリーゼのアイコニックな部分は縦巻きロールだと思っていて、固めすぎると不自然な質感になってしまうし、固めないと重力に負けてしまうので、そのあんばいには気を遣いました。くるっと回ったときに、ふんわりと縦巻きロールも応えてくれるような質感にこだわっています。また、スーパーロングのウィッグは内側にバンスを4つ仕込み、一つひとつのロールに質量が出るようにしているのですが、けっこう重くて。立っていると頭がどんどんうしろに傾いていくのが難点でした」(『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』エリナリーゼ・ドラゴンロード/たくポムさん)

『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』エリナリーゼ・ドラゴンロード/たくポムさん
『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』エリナリーゼ・ドラゴンロード/たくポムさん

QJWebでは今後も、全国各地で実施されるさまざまなコスプレイベントに取材参加し、レポート記事を作成していく。連載形式で順次アップする予定なので、こちらもご期待いただきたい。

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ソムタム田井

(そむたむ・たい)ライター兼カメラマン。コスプレ文化の研究家として、『ORICON NEWS』『まんたんウェブ』『WebNewtype』『ファミ通.com』『Movie Walker』など、多数のWEBサイトや書籍に寄稿。コスプレイベントの企画やキャスティングを担当しつつ、世界コスプレサミット『Co..

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